リスケ中の融資は可能?リスケ中にできる8つの資金調達方法をご紹介
目次
資金繰りが厳しくなり、借入金の返済に困ったときはリスケを検討する必要があります。リスケにより返済条件を変更することで、資金繰りの改善が期待できるのです。しかし、リスケ期間中でも企業活動をしていく上では資金が必要になるのも事実です。
今回は、リスケ中も融資は受けられるのか、リスケ中にできる資金調達方法などを解説していきます。
リスケ(リスケジュール)とは
リスケとは、「リスケジュール」の略語であり、「返済条件の変更」のことをいいます。本来、約定弁済(契約に基づいた借入の返済)をしていく予定であったものが、なんらかの理由で経営不振になった場合、現預金減少、最悪は倒産を免れるために、銀行と話し合って返済内容を緩和してもらうということです。
借入金の返済条件を変更してもらうことで、経営の立て直しを図ることができます。
【具体的なリスケの方法】
- 一定期間、返済額を減額する
- 一定期間、元本支払いを据え置きする
- 返済期間を延長し、返済額を減額する
リスケのメリット・デメリット
リスケを実行することによるメリット・デメリットは以下のとおりです。
【メリット】
- 資金繰りを改善できる(現預金の減少を抑えられる)
返済に回す必要がなくなるため、条件緩和した金額分の余裕ができます。 - リスケ中は法的な回収措置をとられない(倒産を回避)
銀行からの強制的な法的処置から一旦回避でき、また、再建するための猶予が与えられるため倒産も回避できます。
【デメリット】
- 新規の融資を受けづらくなる
現在借りている融資の返済が厳しい状況であるため、新たに借入をして返済をしていく能力がないと判断され、新規融資は難しくなります。 - 返済期間が長くなる
想定していた約定弁済から条件が緩和される一方で、返済額の減少もしくは据え置きにより、返済期間は長くなることになります。 - 期間内に経営を改善させなければならない
リスケ期間の多くは、半年から1年程度です。その間に、経営改善しなければなりません。
リスケ中に融資は受けられるのか?
リスケ中に銀行や日本政策金融公庫からの新規融資を受けることは、基本的にはできません。信用保証協会の保証協会付融資のリスケの場合、他行からの新規融資も難しくなります。リスケをすると銀行からの信用格付け(債務者区分)が「要注意先」や「破綻懸念先」に低下します。信用度が下がると金融機関は融資を受け付けてくれません。
裏を返せば、経営再建でき、格付けが「正常先」に変われば、新規融資を受けられる可能性が高まります。
【5つの債務者区分】
- 正常先
- 要注意先
- 破綻懸念先
- 実質破綻先
- 破綻先
リスケ中にできる8つの資金調達方法
リスケ中でも企業活動をしていく上では資金が必要になります。リスケ中に融資が受けられないと、手元の資金だけでやりくりしなければなりません。
そこで、こちらではリスケ中でも資金を調達する方法を紹介していきます。
【リスケ中の資金調達方法】
- 他行からの借り換え
- 手形による融資
- 不動産担保融資
- 動産担保融資(ABL)
- 条件変更改善型借換保証
- 経営改善サポート保証
- 不動産売却・リースバック
- ファクタリング
他行からの借り換え
借り換えとは、「既存の融資を、新しい融資に切り替えること」(借り換えること)をいいます。これは同銀行内での切り替えであっても、既存の銀行から新しい銀行への切り替えであっても「借り換え」となります。借り換えはプロパー融資、信用保証協会保証付き融資の両方で可能です。
取引実績のない新しい銀行であれば、借入の一括返済(借り換え)を引き受けてくれる可能性があります。また、借り換えの際に増額できる場合もあります。つまり、借り換えにより、「追加融資を受けること」「返済条件が変わること」で資金調達が叶うということになります。
ただし、リスケ申請時から業績が回復しており、正常な返済に近いレベルまで返済ができる経営状態に戻っていることが必要不可欠です。
手形による融資
手形貸付とは、短期融資に該当する資金調達方法です。借り主側(企業側)が約束手形を振出し、その手形を担保に銀行から融資をしてもらいます。そして期日(原則1年以内)が到来したら、借り主側(企業側)は銀行へ一括返済することになります。
中小企業でも活用しやすいですが、期日までに返済ができないと「不渡り」となり、さらに6ヶ月以内に2度の不渡りが発生すると金融機関との取引停止、対外的な信用力の大幅な低下に繋がるため注意が必要です。
手形割引とは、約束手形の期日到来前に銀行や手形割引業者に買い取ってもらうことで現金化することをいいます。この場合、手数料を引かれた金額となりますが、業者によっては最短即日で資金調達が可能になります。
不動産担保融資
不動産担保融資とは、土地及び建物を担保に入れ、融資をしてもらうことをいいます。銀行だけでなくノンバンクでも扱っているのが特徴です。金融機関では扱わない築古や2番抵当、家族所有物件などの不動産も可能です。
信用力と担保不動産の価値を重視して審査を行うため、リスケ中でも融資に応じてくれる可能性があります。無担保ローンと比べて金利が低く(4~10%程度)、返済期間が長いこともメリットです。
ただし、不動産の価値や借り手の返済能力によっては十分な資金を得られない点や、審査などに時間がかかる点に注意が必要です。
動産担保融資(ABL)
動産担保融資(ABL)とは、企業の保有する資産を担保に融資をしてもらうことをいいます。動産とは、商品(在庫)や機械設備、売掛金などの流動性が高い資産のことです。売掛金は時期が来れば入金が約束されているお金であり、流動性が高いといえます。
さらに、この融資には、返済が難しくなったときに融資残高の8割をカバーしてくれる保証制度もあります。
【融資の条件】
- 取引先が複数あること
- 取引先から安定した売掛金が発生すること
- 融資によって事業が安定すること など
条件変更改善型借換保証
条件変更改善型借換保証とは、信用保証協会による借り換え制度です。中小企業・小規模事業者を対象に、既存の保証付融資を新たな保証付融資に借り換え、更に真水を追加(借入の増額)することを可能とします。複数の借入金を一本化することも可能です。
これは、金融機関および認定支援機関の支援を受けながら、自主的に事業計画の策定・実行を行い、その進捗状況を報告できる企業が対象です。
さらに、四半期に1回金融機関への定期報告が必要となります。
保証限度額 | 2億8000万円 |
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保証期間 | 15年(据置期間2年以内を含む) |
信用保証料率 | 0.45~1.90% |
資金使途 | 保証付の既往借入金の返済資金 |
経営改善サポート保証
経営改善サポート保証とは、経営サポート会議や中⼩企業活性化協議会等の⽀援により作成した経営改善計画に基づき、必要な資⾦を支援する制度です。こちらは信用保証協会付融資の一種であり、事業再生・経営改善を支援する目的があります。
そのため、通常の保証料率よりも安い利率で借入を行うことができます。
前述の通り、事業再生計画を作成し、計画書に沿った事業再生を進める必要があります。
保証限度額 | 2億8000万円(無担保8,000万円、有担保2億円) |
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保証期間 | 一括返済:1年以内、分割返済:15年以内(措置期間1年以内を含む) |
信用保証料率 | 責任共有制度の対象の場合: 0.8%、責任共有制度対象外の場合: 1.0% |
資金使途 | 事業再生計画の実施に必要な運転資金・設備資金 |
不動産売却・リースバック
企業が所有している不動産を売却することで資金調達する方法です。不動産を売却したあともリース契約を結べば今まで通り利用できる(リースバック)制度もあります。リース契約は毎月の利用料金が発生しますが、リース料は経費計上でき、節税対策になります。
不動産売却、リースバックともに売却代金が一括で入ってくる点にメリットがあります。資金の使用用途は自由で、固定資産税・火災保険・維持管理費・修繕費などの費用の削減も可能です。
ファクタリング
ファクタリング(売掛債権譲渡)とは、「売掛債権を売却することで、売上回収期日より前に現金化することが可能となる金融サービス」です。融資ではなく債権買い取りのため、リスケ中や赤字決算でも利用することができ、譲渡する売掛債権の売掛先の信用力が重視されます。最短1日で資金調達ができますが、手数料が一般の融資と比べて高額なため注意が必要です。
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ここまでお伝えしてきたとおり、リスケ中の資金調達は、簡単ではないもののできる手段は多々あります。
キークレアグループにある、キークレア税理士法人およびキークレア財務会計コンサルティングは認定経営革新等支援機関(認定支援機関)として認定されており、リスケ中の資金調達を含めた様々な支援が可能です。特に、財務コンサルティング法人との連携により、税務相談だけでは出来ない支援も多数実施しています。リスケ解消のための経営改善・資金繰りもサポート可能です。
認定支援機関などの詳細はリンク先をご参照ください。
資金調達コンサルティングとは?リスケ中に資金調達する場合の注意点
ここからは、リスケ中に資金調達を実行する場合の注意点をお伝えしていきます。
リスケ中は資金調達に頼らないのがベスト
基本的には資金調達に頼らずに、自社努力のみでリスケ解消を目指すのがベストです。金融機関にとってリスケ中の資金調達は、貸し倒れリスクを上げる行為であり、自転車操業を繰り返していると、破綻や倒産のリスクが高まると考えられるためです。
まずはリスケになった原因を分析し、資金調達をしないで済む方法はないかを十分に検討しましょう。財務分析や経営改善は専門家(税理士・財務コンサルティング)に相談することをおすすめします。
リスケ中は無理な返済をしない
リスケを行う目的はキャッシュフローの改善及び黒字転換です。しかし、リスケしたにも関わらず、返済額が首を締めて黒字化が進まないケースもあります。銀行から提示された計画通りに返済できない場合は、現実的かつ無理のない返済計画を提示しましょう。
そして、もし資金ショートが発生した場合は、正直に融資担当者に伝える必要があります。返済計画の見直し、金融機関との交渉も専門家(税理士・財務コンサルティング)へ相談することをおすすめします。
税金や社会保険料を滞納しない
「経営改善サポート保証」「条件変更改善型借換保証」はいずれも信用保証協会の保証付き融資です。信用保証協会の融資は税金や社会保険料の滞納をしていると原則受けることができません。いくら資金繰りが厳しくても、税金や社会保険料の滞納は避けるべきといえます。
リスケ中の資金調達でお困りの際は、実績豊富なキークレア税理士法人にご相談下さい。
ここまでお伝えしてきたように、リスケ中の融資は難しいですが、資金調達する方法はあります。資金調達を検討しているなら専門家のサポートをおすすめします。キークレアグループには、税理士法人だけでなく、会計整備・財務・労務等様々な専門家が所属しており、資金調達だけでなく経営全般のサポートが可能です。
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