相続人調査の方法|必要性やポイント、専門家に依頼すべきケース
目次
今回は、相続税申告や相続の手続きをするうえで重要な、相続人調査についてご説明したいと思います。
相続人調査をすることにより、誰が相続人であるかを確定させる必要があります。
相続税申告や遺産分割、相続財産の名義変更等各種手続をするうえで、相続人を確定させておく必要があるためです。
戸籍等を確認する必要があり、注意点もあるので、分かりやすくご説明したいと思います。
相続人調査とは?なぜ必要?
相続人調査とは、戸籍謄本等を確認して、正式な相続人を確定させることを言います。
相続税申告や遺産分割、相続財産の名義変更等各種手続をするために相続人を確定させる必要があるため、相続人調査は必要な手続きです。
調査に必要な期間の目安は戸籍の取り寄せも考慮すると、およそ1~2ヶ月でしょう。
相続人調査は、ウェブサイト等で戸籍謄本の確認方法を調べて、自分ですることも可能ですが、とても難しいので、専門家に任せることをおすすめします。
相続人調査の方法
被相続人の出生時から死亡に至るまでの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本を揃えることが必要です。
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本の違いは、表のとおりです。
戸籍謄本 | 個人の身分事項(出生や結婚、死亡など個人の一生)が記載された「戸籍簿」の写しをいいます。 |
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除籍謄本 | 戸籍内に誰もいなくなった戸籍謄本のことをいいます。 |
改製原戸籍謄本 | 法改正前の変更前様式の戸籍謄本のことをいいます。 |
具体的な調査方法は下記のとおりです。
- 戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本を市町村役場で取得する。
- 戸籍等の情報を確認し、相続人が誰なのかを確定させます。現在の本籍地よりも前の本籍地がある場合は、前の本籍地の戸籍等を取得し、情報を確認します。
- 相続人が確定したら、親族図を作成します。
亡くなった人に子供がいた場合にチェックする戸籍
亡くなった人に子供がいた場合、相続人は配偶者と子供になります(配偶者が先に亡くなっている場合は、子供のみ)。
この場合取得が必要な戸籍は下記です。
- 被相続人の出生から死亡時までのもの
- 相続人である子供の現在の戸籍
仮に、相続人である子供が、被相続人よりも前に死亡していた場合には、被相続人からみた孫へ相続されることになります。
そうすると、子供に関する相続人についても調査する必要があるため、死亡した子供の出生から死亡時までの戸籍が必要となります。
亡くなった人に子供がいなかった場合にチェックする戸籍
亡くなった人に子供がいなかった場合の相続人は、配偶者と被相続人の両親や祖父母、若しくは兄弟姉妹になります(配偶者が先に亡くなっている場合は、両親や祖父母か兄弟姉妹です)。
この場合に取得が必要な戸籍は、下記です。
- 各相続人の現在の戸籍
- 相続人が先に死亡している場合は、死亡の事実の記載がある戸籍
相続人調査を抜け漏れなく行うためのポイント
相続人調査を抜け漏れなく行うポイントは下記です。
- 市区町村役場で現在の戸籍を取得する。
- ①で取得した戸籍で確認した1つ前の本籍地の戸籍を取得する。
- ②で取得した戸籍の内容を確認し、②と同様に1つ前の本籍地があれば、また戸籍を取得する。これを、出生にたどり着くまで繰り返す。
戸籍の見方
まずは、その戸籍がいつ作成されたもので、いつまで有効な戸籍だったのかを確認する必要があります。
明治19年、明治31年、大正4年、昭和23年、平成6年に法改正が行われており、その改正がされた時までが有効なものとなるので、これらの年の記載を確認しましょう。
また、被相続人の婚姻の有無や養子縁組の有無、認知等の記載がないかについては見落とさないよう特に注意が必要です。
古い戸籍は確認が困難なことも
平成6年より前の戸籍は、役所の人が手書きしているものなので、非常に読みづらいので注意が必要です。なかにはどうしても判読できないものもありますが、その時は取得した役所に確認するしかないと考えられます。
また、古い戸籍は廃棄されたりしていることがあります。現在の保存期間は150年ですが、以前は80年でした。
廃棄されたことにより古い戸籍を取得できなかった場合は、役所から「廃棄証明書」(火事などで滅失してしまっている場合は「滅失証明書」)を発行してもらえます。この証明書を取得しても相続人の確定ができるわけではありませんが、名義変更手続き等では使用できます。
相続人調査を専門家に依頼すべきケース
相続人調査は手間のかかる作業なので、なるべく専門家に依頼すべきといえます。
特に下記のケースでは、戸籍の取得する数も多くなりやすいので、取得から専門家に依頼すべきです。
- 本籍の異動が多い戸籍や年代や様式の古い戸籍がある
- 相続人が配偶者と子供のみ以外である
- 相続人の所在が不明、相続人が外国籍を取得しているなど特殊な場合
相続人の調査を正確に行えなかった場合、相続税申告のミスやそれによる追加納税、名義変更等の相続手続きができないなどのリスクがあります。
相続人調査そのものに期限があるわけではありませんが、相続人を確定して行う手続きに期限が設けられていることが多いので、専門家に依頼してスムーズにその後の手続きに備えることをおすすめします。
依頼できる専門家は?
相続人調査を依頼できる専門家は、税理士・行政書士・司法書士・弁護士です。
税理士事務所や行政書士事務所については、事務所によっては取扱いがない場合(相続人調査のみの依頼を受け付けない場合)もあります。
4つの専門家にはそれぞれ表のような専門分野があるので、どのような理由で相続人調査が必要なのかを踏まえて、専門家を選びましょう。
税理士 | 税金申告 | 相続税申告が必要な場合 |
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行政書士 | 書類作成 | 相続人調査のみ依頼したい場合 |
司法書士 | 登記手続き | 不動産登記が必要な場合 |
弁護士 | 法律事件・事務 | 相続人同士が揉めそうな場合 |
一般的には相続があった場合はまず税理士に相談することが多いかと思いますので、相続人調査を含めて依頼ができるのかどうか確認することをおすすめします。
依頼した場合の費用は?
相続人調査を専門家に依頼した場合の費用相場は、どの専門家に依頼するかに関係なく、約3.5~5万円+実費程度のところが多いです。
ただし、依頼する事務所によって費用は全く異なりますので、ホームページで確認するか、見積を依頼して確認するようにしましょう。
相続人調査などの相続手続きはキークレアにお任せください!
今回は相続人調査についてご説明致しました。
相続人調査は、戸籍の取得から始まり、内容を確認して相続人を確定させるというとても手間のかかる作業です。
相続が発生し、実際に戸籍を取得する相続人の方は現役で働いている世代の方が多いです。この手間のかかる作業を仕事の合間を縫ってするのは大きな負担となります。
キークレアグループには行政書士法人もあり、また提携している弁護士・司法書士もいますので、ニーズに合った専門家が相続人の調査をすることが可能です。
相続人調査含め、相続手続きは是非キークレアにお任せください。