銀行から融資を断られる9の理由とは?融資を断られた場合の対処法


銀行に融資を申し込んでも断られてしまうケースがあります。そうならないためにも、銀行融資の審査が通らない理由を知ることが重要です。また、断られてしまった場合でも、その理由を改善することで、次の審査で融資を受けられる可能性が高まります。
こちらでは、銀行融資を断られる会社の特徴、断られた場合の対処法を解説していきます。
銀行融資を断られる会社の9つの理由
融資に関する明確な審査基準は、銀行からは公開されていません。
ただし、融資を断られた会社にはいくつかの共通点がみられます。
【融資を断られる9つの理由】
- 税金や公共料金などを滞納している
- 自己資金が少ない
- 銀行以外からの借入金が多い
- 決算が赤字である
- 融資枠がピークに達している
- リスケ中または過去にリスケしていた
- 事業計画書が雑・信憑性がない
- 提出書類などに虚偽がある
- 銀行内での格付けが低い
①税金や公共料金などを滞納している
国や地方自治体に納めるべき税金を滞納していると融資を受けることが難しくなります。融資の返済も滞納される可能性が高いと判断されるためです。特に「法人税」「所得税」「事業税」「住民税」「消費税」は滞納や未納がないか注意すべき税金といえます。
また、公共料金や社会保険料の滞納も、同様に融資審査に影響します。公共料金をカード決済にしている場合は、カード会社によって信用情報機関に登録される可能性もあり、更に注意が必要です。
②自己資金が少ない
自己資金がゼロ、またはあまりに少ない場合は融資を断られる可能性が高いといえます。資金管理能力や計画性が低いと見なされてしまうためです。創業資金の3割程度は用意するのが望ましいでしょう。また、自分で貯めてきた貯金だけが自己資金ではありませんが、「見せ金」は自己資金として認められないため注意が必要です。
【自己資金として認められるもの】
- 現金預金(自身または配偶者)
- 退職金
- 保険などの解約返戻金
- 株式・投資信託・有価証券
- 親族からの贈与金
- みなし自己資金 など
③銀行以外からの借入金が多い
ノンバンクや消費者金融など銀行融資以外の借入金が多いと、融資を断られる可能性が高まります。これは銀行での借入が難しかったからではないかと判断されてしまう可能性があるためです。
また、複数の金融機関からの借入や、事業の規模に比べて明らかに多額の借入を行っている場合は、返済能力を疑われることがあります。さらに、既に他の金融機関への返済の遅延が生じている場合、ほぼ審査に通過することはできないでしょう。
これらを返済してから申し込むことで、融資を受けられる可能性が高くなります。
④決算が赤字である
決算が赤字である場合は融資を断られる可能性が高くなります。2~3期続けて赤字を出していると、慢性的に赤字体質の会社であると認識されてしまうためです。
通常、融資審査をする際、決算書の提出を求められます。決算書を見た上で、その数字が悪いほど、返済できる見込みが低いと判断されます。
また、債務超過になっている場合も融資を断られる可能性が高くなります。ただし、赤字の原因がコロナ禍など一過性のものであれば、融資を受けられる可能性はあります。
⑤融資枠がピークに達している
1社が受けられる融資枠というものがあります。融資限度額に達すると、それ以上は借りることができません。既に融資を受けている、もしくは多額の融資を受けている場合は注意が必要です。
⑥リスケ中または過去にリスケしていた
リスケ中、または過去にリスケしていた場合、融資を断られることがあります。
リスケとは、「業績が悪化し、融資の元金返済が厳しくなった際に、約定返済から一定期間条件を変更すること(減額もしくは停止すること)」です。つまり、「リスケする=財務状況が悪化している」とみなされます。リスケ終了直後も融資を受けられず、業況が回復するまでは融資には応じられない場合が多々あります。
リスケ中の融資の詳細は以下リンク先をご参照ください。
リスケ中の融資は可能?リスケ中にできる8つの資金調達方法をご紹介⑦事業計画書が雑・信憑性がない
融資審査では事業計画書の提出を求められます。事業計画書が雑だったり、信憑性がなかったりすると、融資を断られてしまいます。
では、どのような事業計画書にすべきでしょうか。
それは、「資金使途(使い道)や必要額の根拠を明確にし、返済の確実性を示す」計画書である必要があります。また、銀行担当者との面談もあるため、事業計画書について自分の言葉で説明できるように準備しておくことが重要です。
事業計画書の詳細は以下リンク先をご参照ください。
融資を受けるための事業計画書の書き方とは?⑧提出書類などに虚偽がある
提出書類や面談で虚偽の内容があると、融資を断られる可能性が高くなります。銀行は運転資金または設備資金以外の資金使途を認めていません。当初申告した使途用途とは違う目的にお金を使うと、「資金使途違反」として一括返済を求められる可能性がある上、信用を失って次から融資を受けられなくなる場合があります。以下にその他虚偽の事例を挙げておきます。
【虚偽の例】
- 申請した使用用途とは違う目的にお金を使う
- 決算書を粉飾する
- 契約件数や売上見込み額を偽る
- 他社・他行からの借入を申告しない など
⑨銀行内での格付けが低い
銀行の格付けが審査の可否に影響する場合もあります。
格付けとは、「決算書をもとに企業財務状況を点数化したもの」であり、これにより「債務者区分」を決定し、「貸すか貸さないか」等の判断材料とします。
逆にいえば、業績を改善することで格付けが上がる可能性もあるため、融資が受けられる可能性が高まります。
格付けの区分方法や表記は金融機関によって異なります。以下はみずほ銀行の例です。
自己査定 (債務者区分) |
格付表記 | 債務者格付の定義 |
---|---|---|
正常先 | A1-A3 | 債務履行の確実性が非常に高く、与信管理上の安全性が非常に優れた水準にある先。 |
B1-B2 | 債務履行の確実性に当面問題なく、与信管理上の安全性が十分な先。 | |
C1-C3 | 債務履行の確実性と与信管理上の安全性に当面問題がない先。 | |
D1-D3 | 債務履行の確実性に現状問題はないが、将来の環境変化に対する抵抗力が低い先。 | |
要注意先 | E1 | 金利減免・棚上げを行っている等貸出条件に問題のある先、元金返済もしくは利息支払いが事実上延滞している等履行状況に問題のある先のほか、業績が低調ないしは不安定な先または財務内容に問題がある先等、今後の管理に注意を要する債務者。 |
E2 | ||
破綻懸念先 | F1 | 現在、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)。 |
実質破綻先 | G1 | 法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められる等実質的に経営破綻に陥っている債務者。 |
破綻先 | H1 | 法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者。 |
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銀行から融資を断られた場合の対処法
銀行融資を断られても再チャレンジできる場合があります。銀行融資に通らなかった場合は以下の方法を試みましょう。
- まずは理由を確認し、問題点を改善して再度申し込む
- 別の金融機関に融資を申し込む
- 融資以外の資金調達を検討する
まずは理由を確認!問題点を改善して再度申し込む
まずは融資を受けられない理由を明らかにすることが重要です。断られた理由が以下の場合は、再チャレンジできる可能性が高いといえます。問題点を改善して再度融資を申し込みましょう。
【融資を断られても再チャレンジできるケース】
- 自己資金が少ない
- 売上の根拠に説得力がない
- 資金計画に説得力がない
- 面接でうまく事業計画を説明できなかった
- 事業計画書が大雑把 など
銀行から融資が断られた理由を聞き出すには?
融資を断った理由を銀行が教えてくれないケースは多々あります。また、「総合的に判断して・・」などと具体的な理由に触れない場合もあります。これは、審査基準が外部に漏れるのを防ぎたいと考えるためで、詳細かつ明確に教えてくれることのほうが少ないと思っておいたほうがいいでしょう。
ただ、改善のためにもできるだけ教えてもらい、今後に活かしていくことが重要であるため、教えてくれない場合は以下の対処法を実践してみるといいかもしれません。
- 銀行は融資を断る理由を顧客に説明する義務があります。これを分かってもらった上で、銀行担当者と話をしてみましょう。
- 金融庁が定める「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」には金融機関のあるべき姿・とるべき行動の指針が記載されています。これに反して適切でない対応をされた場合には、指針について触れてみることで誠実な対応に改善され、融資が難しい理由を説明してもらえる場合があります。
- それでも説明を渋られる場合は、「金融庁に問い合わせてみることを伝える」というのも最終手段としては可能です。
別の金融機関に融資を申し込む
断られた理由によっては別の金融機関を探した方が良い場合があります。金融機関は融資の申し込み内容や断った理由を記録するため、同銀行内にはマイナスイメージが残り続けることになります。
【融資申し込み先を変えた方がいいケース】
- 個人信用情報に傷がついている
- 税金・保険料・公共料金を滞納している
- 前回融資を受けてからの間隔が短い
- 借入金の返済が遅れている
- 提出書類などに虚偽がある など
その場合、融資申込先の選択肢としては主に以下が考えられます。
- 日本政策金融公庫
- 信用金庫
- 制度融資
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の融資とは、主に小規模事業者・中小企業向けの政府系金融機関の融資であり、銀行と比較すると融資を受けやすいと言われています。
【メリット】
- 保証人や担保は不要
- 金利が低い(一定)
- 創業時期でも審査が通りやすい
【デメリット】
- 審査期間が長い
- 審査項目や提出書類が多い
- 融資を受けられない業種がある
詳細は以下リンク先をご参照ください。
日本政策金融公庫の融資の流れ信用金庫
信用金庫の融資とは、地域密着・地域限定の中小零細企業向け融資であり、銀行と比べて融資を受けやすいと言われています。
【メリット】
- 金利が低い
- 顧客やビジネスパートナーを紹介してくれる場合もある
【デメリット】
- 地域が限定される
- 出資して会員になる必要がある
詳細は以下リンク先をご参照ください。
融資を受けるならどっち?制度融資
制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会の3機関が連携・協調の上で実行している融資制度です。金融機関から直接融資を受けるよりも、審査に通りやすいと言われています。信用保証協会の融資に強い認定支援機関経由で申し込むと、さらに審査に通過しやすくなるでしょう。
【メリット】
- パッケージ化されていて融資目的・内容がわかりやすい
- 審査が通りやすい
- 行政が経営の相談を受けてくれる
【デメリット】
- 手続きが煩雑
- 審査期間が長い
- 信用保証協会への保証料が発生する
- 財務状況の良い企業にとってパッケージ化された融資は損してしまう場合がある
融資以外の資金調達を検討する
融資が難しい場合はその他の資金調達を検討することができます。具体的には以下の方法が考えられます。
ファクタリングとは、売掛債権等将来回収すべき金銭の権利をファクタリング会社に買い取ってもらい、一定の手数料を払うことで早期に売上を現金化することができる方法です。
メリット | デメリット |
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ビジネスローンとは、民間銀行・消費者金融・信販会社等が提供する、事業用資金のためのローン(金融商品)です。
メリット | デメリット |
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専門家のサポートを受ける
銀行融資においては、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
キークレアグループは、キークレア税理士法人及びキークレア財務会計コンサルティング株式会社が認定経営革新等支援機関(認定支援機関)として認定されていることが大きな特徴です。2社が連携することで、事業計画書や決算書などを適正かつ迅速に作成することができます。また、融資担当者との面談をサポートすることも可能です。その他、自己資金を増やすためのアドバイスや、銀行融資以外の融資についてもサポートすることができます。
銀行融資・資金調達に関するお悩みは、実績と経験が豊富なキークレアにご相談下さい。
ここまでお伝えしてきたように、銀行融資を断られる理由は様々であり、その理由を知り、対策をとることで融資獲得に繋がります。もし融資を断られた場合でも、再チャレンジできる可能性はあるので、諦めずに改善を図ることが重要です。
そして、銀行融資を獲得するなら、融資・資金調達に強いキークレアにご相談ください。財務コンサルティング法人との連携があり、「会計~税務~財務経営」といった資金調達に限らない様々な課題解決のご支援も可能です。お気軽にお問い合わせください。