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法人の赤字決算を繰越せる?メリット・デメリットや要件など

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

法人経営において赤字決算は避けたいものですが、税務上は将来の税負担を減らすための「権利」にもなり得ます。

実は、法人税法上、発生した赤字を翌期以降に繰り越し、将来の黒字と相殺することで課税所得を低く抑えられるため税金を減らすことが可能です

この仕組みを正しく理解していないと、資金繰りを悪化させる原因にもなります。本記事では、無駄な税金を抑えるための「繰越欠損金」について解説します。

法人が赤字になると税金が免除される?

法人の赤字を翌期以降に繰り越せる?

法人の決算で生じた赤字は、翌期以降に繰り越すことが可能です。税務上、この赤字のことを「欠損金」と呼びます。

単年度で赤字が出ても、それを翌年以降の黒字(課税所得)と相殺することで、将来納めるべき税金を減らすことができます。これを「繰越欠損金の控除」といいます。

ただし、無条件に使えるわけではなく、所定の要件を満たした上で適切な申告を行う必要があります。

法人の赤字を繰越すメリット・デメリット

赤字を繰り越すことには大きな節税効果がありますが、経営全体で見れば注意すべき点も存在します。制度を活用する前に知っておくべきメリットとデメリットを解説します。

繰越欠損金のメリット

最大のメリットは、翌期以降に黒字が出た際、法人税の負担を大幅に軽減できる点です。

例えば、前期に1,000万円の赤字(欠損金)があり、当期に1,000万円の黒字が出たとします。繰越欠損金を使えば当期の利益と相殺でき、課税所得をゼロに近づけることが可能です。

結果として税金の支払いを抑え、手元資金を確保できるため、経営の再建や次なる投資への資金繰りが楽になります。

繰越欠損金のデメリット

デメリットは、繰越欠損金がある=過去に赤字を出したという事実が残る点です。節税にはなりますが、金融機関からの評価においては「収益力が低い」「返済能力に懸念がある」と判断されるリスクがあります。

赤字が累積している状態では、新規融資の審査が厳しくなる可能性も否定できません。

また、あくまでも税金の計算上において将来の黒字と赤字を相殺する制度であり、赤字そのものが解消されるわけではないため、本質的な経営改善は別途必要不可欠です。

繰越欠損金を利用する要件

①赤字年度の「青色申告」が適用の大前提

繰越欠損金を活用するには、赤字が発生した年度に「青色申告」をしていることが必須条件です。

これには事前の承認申請が必要不可欠です。後から変更はできないため、設立当初から青色申告の届出を推奨しています。

②翌期以降も連続して確定申告を行うこと

赤字年度が青色であれば、翌期以降は白色申告でも制度上は適用可能です。ただし、「連続して」申告書を提出していることが条件です。将来の黒字と相殺する大切な権利を守るためにも、毎期の確実な申告業務が求められます。

③帳簿書類の保存期間は「10年間」が必要

注意点は書類の保存期間です。通常は7年ですが、本制度(平成30年4月1日以後開始事業年度分)を利用する場合は「10年間」の保存が義務です。期間は、申告期限の翌日から起算します。

赤字はいつまで繰越せる?

赤字(欠損金)の繰越期間は、その欠損金が発生した事業年度によって異なります。

2018年(平成30年)4月1日以降に開始した事業年度に発生した欠損金については、最大「10年間」繰り越すことが可能です。

それ以前(2018年3月31日以前)の開始事業年度分については「9年間」となります。現在は多くの法人が10年間の繰越期間の恩恵を受けられるようになっています。

控除限度額

区分 期間 繰越控除された欠損金額のうち使用できる割合
中小法人等、再建中の法人、新設法人 事業年度に関係なく 100%
上記以外の法人 平成24年4月1日から平成27年3月31日開始事業年度 80%
平成27年4月1日から平成28年3月31日開始事業年度 65%
平成28年4月1日から平成29年3月31日開始事業年度 60%
平成29年4月1日から平成30年3月31日開始事業年度 55%
平成30年4月1日から開始事業年度 50%

繰越欠損金を使って控除できる金額には上限があります。

  • 中小法人等(資本金1億円以下など): 繰越欠損金を所得金額の「100%」まで控除可能。つまり所得をゼロにできます。
  • 大法人(資本金1億円超など): 所得金額の「50%」が上限となります。

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繰越欠損金を利用するときの注意点

繰越欠損金の控除には明確なルールがあり、発生した年度が最も古いものから順に優先して使用されます。新しい年度の赤字を先に充当することはできません。

また、黒字が出て控除が可能な年度に「今回は温存して、来期の大きな黒字でまとめて控除」といったように、任意の年度で利用をスキップすることも認められていません。

要件を満たす限り、古いものから自動的に順次適用されていく仕組みです。申告書においても、過去の残高や順序を正確に管理・記載することが求められます。

繰越欠損金と繰戻還付の違い

赤字が出た際の対策には、翌期以降の税負担を減らす「繰越欠損金」の他に、前期の税金を取り戻す「繰戻還付」という選択肢があります。

繰戻還付とは、当期の赤字を前期(1年前)の黒字に「繰り戻して」相殺し、前期に納付済みの法人税の還付を受ける制度です。
将来の利益発生を待つことなく「今」現金を確保できる点が、繰越欠損金との最大の違いです。

利用には、赤字年度と還付請求する年度の双方向で青色申告書を提出している等の要件があります。どちらを選ぶかは、法人の財務状況によって判断します。

  • 繰越欠損金が有利な例: 前期の納税額が少ない場合や、翌期以降に大きな利益による税負担増が見込まれる場合。
  • 繰戻還付が有利な例: 前期に多額の法人税を納めており、直近の資金繰りを改善するために早急な現金収入が必要な場合。

繰戻還付のメリット

繰戻還付の最大のメリットは、即座に手元資金を確保できる点です。

  • 納めた税金が戻る: 前期に納付済みの法人税から還付を受けられるため、直接的なキャッシュインとなります。
  • 資金繰りの改善: 将来の黒字を待つ必要がなく、申請すれば比較的早期に現金化できるため、赤字決算時の運転資金確保に役立ちます。

特に資金繰りが厳しい状況下では、将来の節税よりも現在の現金を優先すべき場面で大きな効果を発揮します。

繰戻還付のデメリット

資金確保に役立つ制度ですが、以下の点には注意が必要です。

  • 適用法人が限定される: 原則として資本金1億円以下の中小企業等しか利用できず、大企業は対象外です。
  • 地方税は即時還付されない: 繰戻還付は国税(法人税・地方法人税)のみです。地方税(住民税・事業税)には繰戻還付がないため、繰越欠損金として扱い将来の税額から控除される仕組みのため、納めた全額が今すぐ現金で戻るわけではありません。
  • 税務調査のリスク: 還付請求を行うと、その適正性を確認するために税務調査のきっかけになる可能性がある点も考慮が必要です。

繰戻還付を利用するときの注意点

繰戻還付で現金還付の対象となるのは「法人税(国税)」のみです。地方税については還付ではなく、将来の税額から控除される仕組みである点に留意してください。

また、この制度を利用するためには、確定申告書の提出と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出することが必須条件です。後からの提出は認められないため、申告期限内に確実に手続きを行う必要があります。

法人が赤字の時の節税は経営改善・財務にも強いキークレア税理士法人にご相談ください

赤字決算は経営にとって苦しい局面ですが、税務上の正しい処理を行うことで、将来のV字回復に向けた資金確保のチャンスに変えることができます。しかし、繰越欠損金と繰戻還付のどちらが最適か、あるいは融資への影響をどう考えるかは、高度な専門判断が必要です

キークレア税理士法人では、単なる申告業務にとどまらず、貴社の状況に合わせた最適な節税策をご提案します。さらに、財務コンサルティングの視点から、黒字化に向けた「経営改善」計画の策定や、足元の「資金繰り」改善までトータルでサポートいたします。赤字からの脱却と強い財務体質の構築を目指すなら、ぜひ一度私たちにご相談ください。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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