退職者の住民税手続きとは?会社側が行うべき対応を解説
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住民税は前年1年間(1月~12月)の所得を基に税額が決定され、翌年6月から翌々年5月までの12回で納付します。
納付方法には、給与から天引きする「特別徴収」と、自身で納付書により支払う「普通徴収」があり、退職により切り替わる場合があります。
本記事では、退職者が出た際に会社が行うべき住民税の手続きや、退職時期ごとの対応、所得税との関係について分かりやすく解説します。
会社が行う退職者の住民税の手続き
従業員が退職する際の住民税手続きは、退職後に転職先が決まっているかどうかによって対応が異なります。
会社は、これまで特別徴収をしていた住民税について、退職後の未徴収分をどのように処理するか判断しなければなりません。
その際に必ず提出するのが「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書(異動届出書)」です。
退職日を含む月の翌月10日までに、従業員の住所地の市区町村へ必ず提出します。
退職者の住民税手続きは会社側の重要な業務であり、漏れがあると本人へ納付書が届かないなどのトラブルにつながります。
退職後の勤務先が決まっている場合
退職後すぐに次の勤務先が決まっており、給与が支払われない月が生じない場合は、住民税の特別徴収を継続することができます。
特別徴収とは、給与支払者である会社が従業員に代わって毎月の給与から住民税を天引きし、居住する市区町村へ納付する方法で、本人が納付手続きをする必要がありません。
この継続手続きを行うために用いられるのが、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」です。
退職後の転職先が決まっている場合、退職元の会社はこの届出書に 「特別徴収継続」 を明記し必要事項を記入して退職者に交付します。
退職者はこれを転職先の会社へ提出することで、新しい勤務先で引き続き特別徴収での住民税の納付をすることができます。
届出書は市区町村へ各会社から提出されることで、特別徴収の引継ぎが行われます。
退職後の勤務先が決まっていない場合
退職後の転職先が決まっていない場合は、退職時期によって住民税の納付方法が変わります。
一括徴収になるケースと普通徴収へ切り替わるケースがあるため、会社は時期ごとの動きを把握しておく必要があります。
退職時期1月~4月
1月から4月に退職する場合、会社が5月分までの住民税を一括徴収します。
住民税は6月から翌年5月までの課税期間となるため、年度末である5月分までをまとめて最終給与や退職金から控除する仕組みです。
一括徴収を行う際は、給与計算時に未徴収税額を算出し、最終支給額から控除します。そのうえで異動届出書に「一括徴収」と記載し、市区町村へ提出します。
ただし、最終給与が少額で未徴収税額を差し引くとマイナスになる場合は、本人の希望により普通徴収へ変更することも可能です。
一括徴収か普通徴収かは、会社と本人双方の確認が必要です。
退職時期6月~12月
6月から12月に退職する場合は、原則として普通徴収へ切り替わります。
普通徴収とは、市区町村から送付される納付書を使い、本人が年4回などに分けて納付する方法です。
この場合、会社は異動届出書に「普通徴収」と記載し提出します。その後市区町村から本人へ直接納付書が送付されます。
ただし、退職者が希望すれば、最終給与や退職金から未徴収分を一括徴収することも可能です。特に転職予定がなく納付忘れが懸念される場合には、一括徴収で納付しておくこともできます。
退職時期5月
5月に退職する場合は、通常どおり5月分の住民税を特別徴収します。住民税の納付は6月開始・翌年5月終了のため、5月は最終月にあたります。
そのため徴収残は5月分のみであり、一括徴収や普通徴収への切替は原則不要です。
ただし、退職後すぐに転職する場合、6月以降の新年度分については新会社で特別徴収が開始されるため、本人へその旨を説明し混乱を防ぐことが大切です。
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住民税だけでなく所得税に関する手続きも必要
退職時には住民税だけでなく、所得税の手続きも必要です。
退職者には年末調整前であっても退職後速やかに源泉徴収票を交付し、退職者が必要に応じて年末調整や確定申告作業で使用できる状態にする必要があります。
退職時に退職金を支給する場合は、給与と退職金の源泉徴収税額をそれぞれ計算します。
退職金は所得の分類上「退職所得」として扱われ、給与所得とは別に退職所得の源泉徴収票を、退職後1か月以内に交付する必要があります。
適切な処理により、退職者とのトラブルを未然に防ぐことが重要です。
また、退職日に係る社会保険料の控除に漏れがないかも確認し、法定調書合計表へ退職金の反映も忘れないようにしなければなりません。
退職者の住民税手続きについてはキークレア税理士法人にご相談ください
退職者の住民税手続きは、退職時期や転職の有無によって処理方法が異なり、実務上の判断が求められる場面が多くあります。
異動届出書の提出漏れや徴収方法の誤りは、本人とのトラブルや会社の信用低下につながりかねません。
また、住民税とあわせて所得税や退職金の処理も正確に行う必要があります。キークレア税理士法人では、退職者対応を含む給与計算・税務手続きの実務サポートを行っています。
退職者の住民税手続きでお悩みの際は、ぜひキークレア税理士法人へご相談ください。