【相続の手続き】生命保険金を受け取る方法と相続税について

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

今回は、相続が発生した際の生命保険金(死亡保険金)の受取手続きについてご説明いたします。
相続が発生した際の死亡保険金の受取りには様々な書類が必要になります。
相続が開始した日の翌日から3年を経過すると時効となり請求できなくなることもあります。
そのようなトラブルがなく、スムーズな受取りができるよう、このコラムを参考に手続きを進めて頂ければと思います。

相続が発生したら加入している生命保険を確認

相続が発生したら、まずは生命保険に加入しているかどうか確認します。
相続発生後、相続人が困らないように生前に受取人に知らせておく、または加入している保険の一覧を作成しておく方もいます。

もし受取人が、亡くなった方の生命保険加入について知らされていなかったとしても、次の方法で加入の手がかりを見つけることは可能です。

  • 保険証券などの書類を探す。
  • 通帳等で保険料の引き落としの履歴を確認する。
  • 生命保険会社から定期的に送付される郵便物を探す。
  • 年末調整の書類や確定申告書を確認する。

などの方法です。

どこに加入しているかわからない場合

生命保険契約について全く手がかりがない場合、「生命保険契約照会制度」で、生命保険会社42社へ保険契約の有無を一括で照会することが可能です。
明らかになるのは、どの保険会社で生命保険が締結されたかのみです。
なお、死亡した時だけでなく、存命中の契約者の認知判断能力が低下した場合(医師の診断書が必要です)にも照会がかけられます。

照会申請には、照会者の本人確認書類、相続関係がわかる戸籍謄本、死亡診断書等の写しが必要になります。
照会後2週間程度で契約の有無がわかりますので、その後は各保険会社に受取申請手続きをします。
ただし、この制度を利用できるのは法定相続人等、一定の人に限られますのでご注意ください

生命保険契約照会制度のご案内
生命保険協会 (seiho.or.jp)

生命保険金を受け取るまでの流れ

実際に死亡保険金を受け取る際の手続きについて解説致します。

  • 1.「書類を探す」
    保険証券を探します。
  • 2.「生命保険会社への連絡」
    保険契約者または保険金受取人が生命保険会社に被保険者が死亡した旨を書面や電話で連絡します。
    その際、証券番号、被保険者の名前、死亡日、死因などを伝えます。
    保険証券を用意した上で連絡するとスムーズです。
  • 3.「生命保険会社からの案内の送付」
    生命保険会社から保険金請求書と必要書類の案内が送られてきます。
  • 4.「書類の返送」
    生命保険会社の案内に従って書類を返送します。

その後、不備がなければ必要書類の到着の翌日から起算して原則5営業日以内に、保険金が指定した口座に振り込まれます。

生命保険金の請求に必要な書類

生命保険金の請求に必要な書類は一般的には以下の通りになります。
生命保険会社によって若干異なりますので、ご加入の生命保険会社に確認しましょう。

  • 保険金請求書
    保険会社から送られて来る書類に必要事項を記載します。
  • 受取人の本人確認書類
    運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等の写しが必要です。
  • 被保険者(亡くなられた方)の住民票(除票)
    被保険者の最後の住所地の市区町村に請求します。
  • 受取人の戸籍謄(抄)本
    受取人の本籍地の市区町村に請求します。
  • 受取人の印鑑登録証明書
    受取人の住所地の市区町村に請求します。
  • 医師の死亡診断書または死体検案書
    亡くなられたときに医師が発行します。
    原本は死亡地等の市区町村に提出します。他の手続きにも必要ですので、原本提出前に必要に応じて10枚程度コピーしておくとよいでしょう。
  • 保険証券
    紛失等で、手元にない場合は生命保険会社に相談しましょう。

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生命保険金に関する知っておきたい相続知識

死亡保険金の請求には時効がある

生命保険の保険金請求には時効があります。かんぽ生命保険で5年、その他の生命保険会社では3年の時効が設定されています。
一方で、時効を過ぎても対応してくれる生命保険会社もあるようです。
時効成立後であっても、請求漏れの生命保険契約があることに気づいた場合にはあきらめずに一度、生命保険会社に連絡してみましょう。
また生命保険契約の際は必要な手続きを円滑に進めるためにも、受取人に生命保険に関して、契約の詳細を伝えておくことが大切です。

相続放棄をしていても受け取れる

相続放棄とは、亡くなった方の相続財産をすべて放棄することです。
相続があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きをすることで認められます。死亡保険金については、受取人が相続放棄をした方でも受け取れます

死亡保険金は亡くなった方の財産ではなく、保険金受取人の固有の財産とされているためです。
受取人固有の財産は相続税法上、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。
また、医療保険の入院給付金で、受取人が亡くなった方となっているもの等は相続放棄をしている場合には受け取ることができませんので注意が必要です。

受取人が亡くなっている場合は受取人の相続人が受け取る

死亡保険金の受取人に指定されていた方が、被保険者先に亡くなってしまった場合には、受取人の相続人が死亡保険金を受け取ることになります。
被保険者の相続人ではないことに注意が必要です。

受取人の法定相続人が複数いる場合には法定相続分とは関係なく均等に分けることになります。
また、この場合、受取人の法定相続人であることの証明書類や法定相続人全員分の印鑑証明書が必要になるなど、受け取りまでの手続きが非常に煩雑になります。
また、思わぬ人に死亡保険金が渡ってしまうことになりかねませんので、保険金の受取人が先に亡くなった場合には、速やかに受取人変更手続きをすることをお勧めします。

生命保険金の受け取りに相続税はかかる?

相続税がかかるケースがあります。
生命保険金の受け取りには契約の形態によって相続税がかかるケース、所得税及び住民税がかかるケース、贈与税がかかるケースがあります。

生命保険契約では契約時に、「契約者」(保険料負担者)、「被保険者」(保険の対象になる人)、「受取人」を決めます。
この契約形態によって、課税される税目が変わってきます。
なお、このコラムでは契約者と保険料負担者が同一人物である場合を前提にご説明いたします。

生命保険に課される相続時の税金

父が亡くなった場合の、生命保険金受取人に課される税金を契約形態別にまとめました。

受取人に課される税金 契約者 被保険者 受取人
相続税
所得税・住民税
贈与税
相続税(生命保険契約に関する権利を相続)
  1. が負担した保険料をもとにに死亡保険金が支払われますので、に相続税が課税されます。
  2. が負担した保険料によっての所得になりますので、に所得税及び住民税が課税されます。
  3. が負担した保険料をもとにが死亡保険金を受け取ります。母からの贈与となりますので、に贈与税が課税されます。
  4. 被保険者は生存していますので、死亡保険金の支払いはありません。
    ただし、契約を解除すれば解約返戻金が支払われますので、解約返戻金に対して、相続税が課税されます。
    今回の場合、「生命保険契約に関する権利」は遺産分割協議の対象財産になります。

生命保険の非課税枠

生命保険には被相続人死亡後の相続人の生活を考慮し、非課税枠が設けられています。

計算式は
「500万円×法定相続人の数」です。

相続放棄をしたとしても非課税枠の計算人数に含めます。
非課税枠が死亡保険金の受取額より大きい場合には、受取額までを非課税とします。なお、非課税枠を適用できる生命保険金は、被保険者と保険料負担者が被相続人であり、受取人が法定相続人であるもの(5.1の①の場合)に限られます。

法定相続人以外の受取人や相続放棄をした人には非課税枠の適用はありません
また、入院給付金や特約還付金にも非課税枠の適用はありません。
結果として受け取ったのが相続人であっても、契約上の受取人が被相続人の時は便宜上相続人が受け取っただけとされるためです。

生命保険など、相続手続きや相続税の計算はキークレア税理士法人にご相談ください

生命保険契約は、その契約形態により相続税、所得税及び住民税、贈与税に課税のパターンが分かれるため、非常に専門的な知識が必要になります
特に「生命保険契約に関する権利」については、死亡保険金の受取がないため見落としやすい論点になります。
キークレア税理士法人には生命保険の相続手続きに慣れた税理士が在籍するとともに、必要に応じてキークレアグループの財務コンサル法人から、お客様のライフスタイルに合った生命保険をご提案することも可能です。

生命保険を含む相続税申告は、是非キークレア税理士法人にお任せください。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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