遺言書の検認とは?手続きの流れや必要書類、期限などを解説
目次
遺言書には、家庭裁判所での検認が必要なものと、そうでないものがあります。
検認とは、遺言書の内容や存在を確認し、後から偽造や改ざんが行われるのを防ぐために、家庭裁判所が行う手続きです。そのため、公証役場や法務局に保管されている遺言書については、偽造や改ざんの心配がないため、検認を受ける必要がありません。
本コラムでは、どのような遺言書が検認の対象となるのか、またその具体的な手続き方法について、わかりやすく解説していきます。
遺言書の検認とは
遺言書の検認とは、家庭裁判所が相続人に対して遺言書の存在とその内容を明確に伝えるための手続きです。
この検認では、遺言書の形状や加筆・訂正の有無、作成日や署名の有無など、検認時点での遺言書の状態を確認します。目的は、検認後に遺言書が改ざんされたり、偽造されたりすることを防ぐことにあります。
検認が必要な遺言書の場合、家庭裁判所で申立人の立ち会いのもと、裁判官が遺言書を開封して手続きが行われます。
そのため、遺言書を発見した場合でも、自分で勝手に封を開けることは法律で禁止されています。
検認が必要なケース
遺言書には、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3つの形式があります。
自筆証書遺言は、遺言者自身が内容を手書きし、署名・押印する形式の遺言書で、自宅で保管することが一般的でした。令和2年7月からは、法務局に預けられる「自筆証書遺言書保管制度」の利用も可能になりました。
秘密証書遺言は、遺言の内容を他人に知られないようにしつつ、その存在を公証役場で証明してもらう方法です。保管は主に自宅で行われます。
公正証書遺言は、公証役場において公証人が遺言者の意思をもとに作成するもので、公証役場が原本を保管します。
この3つのうち、検認が必要となるのは、法務局や公証役場以外で保管されている遺言書です。
一方、法務局または公証役場に保管されているものは、改ざんや偽造のリスクがないとされているため、検認の手続きは不要です。
| 遺言書の種類 | 検認の必要性 | |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 法務局の保管制度利用 | なし |
| 上記以外 | あり | |
| 秘密証書遺言 | あり | |
| 公正証書遺言 | なし | |
検認は遺言書の効力を証明するものではない
検認手続きにおいて注意すべき点は、検認そのものが遺言書の法的な有効性を認めるものではないということです。
検認を受けることで、以後の偽造や改ざんを防止できるとともに、不動産や預貯金口座の名義変更といった相続手続きにおいて、その遺言書を利用することが可能になります。
ただし、封を開けた際に日付が記載されていないなどの理由で、遺言書が無効であることが判明したとしても、検認は実施されます。また、たとえ遺言者が強要されて作成したような疑いのある内容であっても、検認自体は行われます。
そのため、遺言書の有効性に疑問がある場合には、遺言無効確認訴訟などの法的手段によって効力を争う必要があります。
遺言書の検認をしないとどうなる?
遺言書の検認を受けないと、偽造や変造の恐れがある以外にもデメリットがあります。以下で詳しくご説明いたします。
検認をしないと相続手続きを進められない
相続手続きを進めるうえで、法務局や銀行などの機関からは、検認済証明書が添付された遺言書の提出を求められることがあります。
そのため、検認が必要な遺言書については、検認を受けていなければ、以下のような手続きを行うことができません。
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 銀行口座の預金払い戻し
- 預貯金の名義変更
- 株式の名義書換
- 自動車の所有者変更 など
検認が完了していない状態では、これらの手続きがストップしてしまうため、速やかに家庭裁判所で検認を受けることが重要です。
検認せずに遺言書を開封するとペナルティがある
検認が必要な遺言書は、申立人が立ち会う中で、家庭裁判所にて裁判官が開封し、検認手続きを行います。
そのため、家庭裁判所での検認を受けずに勝手に遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料を科される可能性があります。
さらに、勝手に開封したことにより、他の相続人から「遺言書を偽造・改ざん・破棄・隠したのではないか」と疑いをかけられることもあり、相続トラブルに発展するリスクがあります。そうした疑いを晴らせなければ、最悪の場合、相続人としての資格を失うことにもなりかねません。
なお、誤って検認前に開封してしまったとしても、それだけで遺言書が無効になるわけではありません。この場合でも、できるだけ早く家庭裁判所での検認手続きを行うことが大切です。
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遺言書の検認手続きの流れ
遺言書の検認手続きは以下のような流れで行われます。以下で詳しくご説明いたします。
- 申立ての必要書類を準備する
- 家庭裁判所へ検認を申し立てる
- 家庭裁判所から検認期日の通知が届く
- 家庭裁判所で検認を行う
- 検認済証明書の交付を受ける
①申し立ての必要書類を集める
検認を申し立てる際には、以下のような書類の準備が必要です。
- 検認申立書
家庭裁判所の公式サイトから様式をダウンロードできます。 - 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 既に亡くなっている遺言者の子がいる場合は、その子の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
などが基本的な提出書類です。
相続人の構成や状況によって、求められる書類が異なるケースもあるため、申立先の家庭裁判所に確認することをおすすめします。
なお、戸籍などの原本書類は、コピーとともに提出することで検認手続きが完了した際に返却されます。検認が終わるまで、原本が必要な他の相続手続き(生命保険金の請求など)ができない点にも注意が必要です。
遺言書の検認【裁判所】②家庭裁判所へ検認を申し立てる
必要書類がそろったら、家庭裁判所に対して検認の申立てを行います。申立ては、裁判所に直接持参する方法と郵送による提出のどちらでも可能です。
検認の申立ては、次のいずれかの人が行うことができます。
- 遺言書を保管している人
- 遺言書を発見した相続人
申立てを行う裁判所は、遺言者の最終的な住所地を管轄する家庭裁判所です。申立人の最寄りの家庭裁判所ではないことに注意が必要です。
③家庭裁判所から検認期日の通知が届く
検認の申立てをすると、おおよそ1週間から1ヶ月ほどで、家庭裁判所から「検認期日通知書」が相続人や受遺者に郵送されます。通知を受け取ったら、指定された期日までに「出欠回答書」を返送する必要があります。
なお、検認には申立人以外の出席は必須ではなく、全員が揃っていなくても手続きは進められます。検認手続きを欠席したからと言って不利になることはありません。
④家庭裁判所で検認を行う
検認手続きでは、申立人の立ち会いのもと、裁判官によって遺言書が開封・確認されます。開封に立ち会うことができるのは、申立人や相続人などに限られます。付き添いで来た家族であっても、相続人でなければ原則として入室は認められません。
検認の際には、遺言書の形状や加除訂正の有無、日付、署名など、その時点での遺言書の状態が確認されます。申立人は、検認を受ける遺言書に加え、印鑑などを持参することが求められます。
⑤検認済証明書を受け取る
検認が完了した後は、「検認済証明書」の発行申請を行います。遺言書の原本は、検認済証明書が添付された状態で申立人に返却されます。この証明書を取得する際には、遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。
遺言書や検認済証明書は、原則として申立人のみに返されます。申立人以外の人が内容を確認したい場合は、申立人にコピーを依頼するか、家庭裁判所に「遺言書検認調書謄本」の交付申請をする必要があります。
なお、遺言書に検認済証明書が添付されていないと、不動産の名義変更や預貯金の相続手続きなどを進めることができません。相続手続きに必要となるため、必ず取得しておきましょう。
遺言書の検認手続きにかかる費用
遺言書の検認手続きにかかる主な費用は以下の通りです。
- 検認申立てに必要な収入印紙代:遺言書1通あたり800円
- 検認済証明書の発行に必要な収入印紙代:遺言書1通あたり150円
- 検認期日通知書の発送に必要な郵便切手代:金額は申立先の家庭裁判所によって異なります
また、自分で申請手続きを進めるのが難しい場合には、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に代行を依頼することも可能です。たとえば、弁護士に依頼した場合には、戸籍謄本の収集、検認申立ての代行、検認期日の同行などを含めて対応してもらえます。依頼費用は、一般的に10万円から15万円程度が相場とされています。
遺言書の検認手続きに期限はある?
遺言書の検認には法律上の明確な期限は設けられていません。ただし、相続が開始されたことや遺言書を発見したことを知った後は、「遅滞なく」手続きを行うことが求められています。
期限がないとはいえ、検認を受けなければ相続に関する各種手続きを進めることができません。そのため、できるだけ早めに対応することが望ましいとされています。
また、検認には戸籍謄本などの必要書類の準備から手続きの完了まで、1〜2か月ほどかかることもあります。相続全体の流れに支障をきたさないよう、余裕を持って進めることをおすすめします。
遺言書の検認後の流れについて
検認手続きが完了したら、遺言書の内容に従って相続手続きを進めていきます。
検認後のおおまかな流れは以下の通りです。
- 遺言書にすべての財産が記載されているかを確認する
- 遺言執行者が指定されているかどうかを確認する
- 遺言執行者が、遺言書の内容をもとに財産目録を作成する
- 各相続人が、自身に割り当てられた財産を確認する
- 不動産・預貯金・有価証券など、財産の種類ごとに相続手続きを行う
- 相続税の申告が必要な場合は、税理士に相談し申告手続きを進める
全ての財産が記載されていない場合
遺言書にすべての財産が記載されていない場合には、相続財産を漏れなく特定する作業が必要です。財産の一部が不明なまま相続手続きや遺産分割協議を進めてしまうと、後から新たな財産が見つかった際に、相続人同士で争いが生じるおそれがあります。
また、相続放棄などを検討している場合でも、財産の全体像が不明確なままだと正しい判断ができない可能性があります。そのため、相続手続きを始める前に、すべての相続財産を正確に洗い出すことが大切です。
遺言執行者が指定されていない場合
遺言書に遺言執行者の指定がない場合は、相続人の中から代表者を選び、その人が他の相続人から委任を受けて相続手続きを行うことになります。
ただし、遺言書の中に「相続廃除」や「相続廃除の取消し」、「子の認知」などに関する記載が含まれている場合には、遺言執行者の選任が必須です。このようなケースでは、家庭裁判所に対して遺言執行者選任の審判を申し立てる必要があります。
遺言書の有効性が疑われる場合
検認済証明書は、遺言書が家庭裁判所で検認を受けたことを示すものであり、その遺言書が法的に有効であることを保証するものではありません。たとえ、遺言者が脅迫されて無理やり書かされたような内容であっても、形式が整っていれば検認済証明書が発行されます。
もし遺言書の有効性に疑義がある場合は、家庭裁判所での調停や、遺言無効確認訴訟などの法的手続きを通じて、その効力を争う必要があります。訴訟等の結果として遺言の一部または全部が無効と判断された場合には、無効となった部分について改めて遺産分割協議を行わなければなりません。
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検認が必要な遺言書は、家庭裁判所で検認を受け、検認済証明書を添付することで、相続手続きに利用できるようになります。検認の手続きには1〜2か月程度かかる場合もあるため、できるだけ早めの対応をおすすめします。
ただし、家庭裁判所の検認を受けたからといって、その遺言書が法的に有効であることを保証するものではない点にご注意ください。
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