孫の学費を贈与したい!非課税で行う方法や注意点など
目次
「孫の将来のために学費を援助したい」と考える祖父母の方は多いものです。しかし、良かれと思って渡した資金が、渡し方次第では「贈与税」の対象となり、受け取ったお孫様に予期せぬ税金負担が生じてしまう可能性があります。
学費の援助には非課税になる税法のルールがあり、それらを正しく理解することが重要です。
今回は、孫への学費贈与を非課税で行うための具体的な4つの方法や、行う際の注意点について税理士が分かりやすく解説します。
孫に非課税で学費を贈与する方法
孫への学費援助は、単にお金を渡せば良いというものではありません。法律上、贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意があって初めて成立する契約です。しかし、何も対策せずに高額な資金を渡してしまうと、受け取ったお孫様側に高額な贈与税が課せられてしまうリスクがあります。
「孫のために」という想いが負担にならないよう、正しい知識を持つことが大切です。ここでは、学費を非課税で贈与するための主要な4つの方法について、それぞれの特徴と仕組みを詳しく解説します。
①必要な都度直接贈与
税法上、親子や祖父母などの「扶養義務者」から受け取る生活費や教育費は、通常必要と認められる範囲内であれば贈与税がかからないとされています。祖父母は孫の扶養義務者に当たるため、この非課税措置の対象となります。
ただし、これには重要な条件があります。それは「必要な都度、直接これに充てるものに限られる」という点です。これは、入学金や授業料の納付期限に合わせて、その時に必要な金額だけを渡すことを意味します。
「将来のために」と数年分をまとめて渡したり、渡したお金を一度預金したりした場合は課税対象となる可能性があるため、あくまで「支払いのタイミングでその都度渡す」ことが鉄則です。
②暦年贈与
暦年贈与とは、 1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与財産の合計額に対して贈与税を計算する制度のことです。1年間に受け取った財産の合計が110万円以下であれば贈与税は非課税になります。
注意点は、この上限額が「もらう人ごと」に計算されることです。例えば祖父と祖母から各100万円を受け取ると合計200万円となり、110万円を過える分に課税されます。
ただし、110万円を超えた場合でも、祖父母から18歳以上の孫への贈与には「特例税率」が適用され、通常の税率より負担が軽く設定されています。
実施の際は、祖父母が孫の通帳を管理する「名義預金」とみなされないよう、孫本人が口座を管理し、実質的な支配権を持つことが不可欠です。
③教育資金の一括贈与の特例
「教育資金の一括贈与の特例」とは、祖父母が30歳未満の孫のために金融機関と契約を結ぶことで、孫一人あたり最大1,500万円までの教育資金を非課税で一括贈与できる制度です。
本来なら課税されるまとまった資金を、将来分まで先渡しできるのが特徴です。なお、本制度は期限付きの措置となっており、適用されるのは2026年(令和8年)3月31日までに行われた贈与に限られます。
④相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、原則60歳以上の祖父母または父母から18歳以上の孫または子へ、累積2,500万円まで贈与税なしで財産を渡せる制度です。
従来は将来の相続時に全額の精算が必要でしたが、税制改正により、新たに「年110万円の基礎控除」が設けられました。
大きなメリットは、この基礎控除内の金額であれば、相続時の財産への「持ち戻し」が不要になる点です。さらに、年間の贈与額が基礎控除額以下であれば、毎年の贈与税申告も行う必要がなく、事務負担も軽減されます。
教育資金の一括贈与の特例を利用するメリット
この特例の最大のメリットは、最大1,500万円という多額の資金を一度に非課税で贈与できる点です。使い道が教育費に限定され、金融機関のチェックが入るため、確実に孫の将来のために使ってもらえる安心感があります。
対象となる主な費用
- 入学金、授業料、施設設備費
- 学用品代、修学旅行費、給食費
また、学習塾やスポーツ教室、ピアノなどの習い事にかかる費用も対象に含まれます。ただし、これら学校以外への支払いは、非課税枠のうち500万円までが上限となる点には留意が必要です。
なお、本制度が適用できるのは2026年(令和8年)3月31日までに行われた贈与に限られます。金融機関によっては、契約を確実に成立させるために受付期限をそれ以前に設定している場合もあります。
特例を利用する際は期限に注意が必要です。
教育資金の一括贈与特例の適用要件
この特例を利用するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 贈与者:
父母や祖父母などの直系尊属であること。 - 受贈者:
30歳未満であること。 - 所得制限:
受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること。
これらを満たした上で、金融機関に専用口座を開設し、「教育資金非課税申告書」を金融機関に提出することで適用されます(金融機関から税務署に提出されます)。要件から外れると通常の贈与税の対象となるため、事前の確認が不可欠です。
教育資金の一括贈与特例の注意点
この特例は税制優遇が大きい反面、管理や手続きには厳格なルールが設けられています。利用を検討する際は、以下のデメリットやリスクを十分に把握しておくことが重要です。
- 専用口座の開設:
信託銀行などの金融機関で手続きが必要です。 - 領収書の提出:
払い出しの都度、学校や塾の領収書等を金融機関へ提出する手間がかかります。 - 解約の制限:
原則として、教育終了等の事由がない限り自由に解約できません。 - 使い残しへの課税:
契約終了時(孫が30歳など)に残額があると、その時点で贈与税が課されます。 - 相続時の扱い:
期間中に贈与者が亡くなった場合、残額が相続税の課税対象となるケースがあります。
制度は2026年3月末で終了予定!駆け込み贈与には冷静な判断を
本特例は、現行の税制において2026年(令和8年)3月31日をもって終了することが決まっています。
これから新たに利用を開始する方はもちろん、既に専用口座をお持ちの方が「追加で資金を贈与したい」と考える場合も、この期限までに入金を済ませる必要があります。
ただし、「制度が終わるから」と焦って限度額いっぱいまで入金するのは禁物です。前述の通り、孫が30歳になった時点で使い切れなかった残額には贈与税が課せられます。
期限を意識しつつも、「本当に将来使い切れる金額かどうか」を冷静に見極め、計画的に資金移動を行うことが重要です。
なお、期限までに預け入れた資金については、お孫様が30歳になるまでは、引き続き非課税で教育資金として使い続けることができます。 駆け込みで使い切る必要はありませんのでご安心ください。
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孫への学費援助に贈与税が課せられるケース
孫への学費援助であっても、無条件で非課税になるわけではありません。資金の使途や渡し方を誤ると、思わぬ贈与税が課せられる可能性があります。ここでは、課税対象となってしまう主なケースについて解説します。
教育費以外の用途に使った
非課税措置の前提は、資金が「教育」のために費消されることです。祖父母が学費名目で渡したとしても、孫がそれを株式投資や車の購入、あるいは自身の貯金に回してしまった場合、教育費とは認められず贈与税の課税対象となります。
特に「使い切れずに余った分を預金した」という場合も認められません。渡す際は目的を明確にし、確実に学費として使い切るよう管理する必要があります。
必要の範囲を超えた贈与
扶養義務者からの贈与であっても、社会通念上相当と認められる範囲を超えた高額な援助は、贈与税の課税対象となります。明確な上限金額は法律で定められていませんが、判断の目安は「実際に支払う学費等の額」です。
例えば、実際の授業料等が年間150万円程度であるにもかかわらず、1,000万円を渡すようなケースは明らかに過剰とみなされるため注意しましょう。
特例を利用しない一括贈与
特例制度を使わず、孫の預貯金口座へ数年分の学費をまとめて振り込むと、贈与税の課税対象となります。たとえ全額を将来の学費に充てる予定であっても、手元に一括で渡った時点で「通常の贈与」とみなされるからです。
課税を避けるには、面倒でも入学金や授業料の支払い時期に合わせてその都度渡すか、正式な手続きを経て「教育資金口座」へ入金するかの、どちらかを必ず選択しましょう。
孫の学費を非課税で贈与したいときに税理士へ相談するメリット
学費贈与には複数の非課税制度があり、資産状況や家族構成によって「どの制度を使うべきか」の正解は異なります。
税理士に相談することで、各制度の複雑な仕組みや適用要件を正確に理解できるだけでなく、将来の相続税対策まで見据えたトータルな判断が可能になります。
「都度贈与」の手間と「一括贈与」の効果を比較し、ご家庭ごとの事情に合わせた最善策を提案できるのが専門家の強みです。
自己判断による課税リスクを防ぎ、賢く資金を移動させるために、ぜひ税理士の知見をご活用ください。
孫へ学費を贈与するときの注意点
孫へ学費を援助する際は、確実に非課税とするための実務的な注意点があります。手続きに不備があり課税されてしまうと、その納税義務を負うのは受け取ったお孫様自身です。善意が予期せぬ負担とならないよう、以下のポイントを押さえて実行しましょう。
①契約書を作成する
親族間のお金のやり取りであっても、口約束だけでは客観的な証拠になりません。特に暦年贈与を行う際は、毎回「贈与契約書」を作成し、双方(孫が未成年の場合は親権者)が署名・押印しましょう。
万が一税務調査が入った際、契約書は適正な贈与であることの決定的な証明となります。また、将来的な相続争いや「言った言わない」のトラブルを未然に防ぐためにも、書面で記録を残すことは非常に有効です。
②銀行振込などで証拠を残す
現金での手渡しは、「いつ、誰から、いくらもらったか」という客観的な記録が残らないため、税務調査の際に事実関係を証明できなくなるリスクがあります。
証拠を確実に残すためには、銀行振込を利用するのが鉄則です。通帳に「日付」「金額」「依頼人」「受取人」の履歴が記帳されることで、資金移動の確実な証拠となります。手数料がかかったとしても、後々のトラブルを防ぐために記録化を優先しましょう。
③贈与税の申告をする
贈与税の申告は、各種制度を適用するための必要な条件です。特に「相続時精算課税制度」を利用する場合、贈与を受けた翌年の申告期間内に手続きを行わなければ、2,500万円の特別控除枠が適用されません。
申告を失念すると、控除なしで計算された高額な贈与税が発生するだけでなく、無申告加算税などのペナルティも課される恐れがあります。期限後の申告は認められないため、必ず期限内に済ませましょう。
④暦年贈与は時期や金額をずらす
毎年決まった時期に同額を渡し続けると、「最初から総額を与える契約だった」とみなされる「定期贈与」のリスクが生じます。
これに認定されると、毎年の金額が110万円以下であっても、総額に対して高額な贈与税が一括で課税されてしまいます。
対策として、年ごとに贈与する日付や金額をあえてバラバラにし、その都度契約書を結び直すことで、あくまで単発の贈与の積み重ねであることを証明しましょう。
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お孫様の輝かしい未来を応援する学費援助は、次世代への想いをつなぐ何よりの贈り物です。しかし、その方法を一歩間違えれば、本来払う必要のない税金が発生し、かえって負担をかけてしまうことにもなりかねません。
今回解説した通り、非課税で贈与するには「都度贈与」「暦年贈与」「一括贈与の特例」「相続時精算課税制度」など複数の選択肢があり、それぞれにメリットと注意点が存在します。
ご家庭の資産状況や将来の相続対策まで考慮した上で、最も効果的な方法を選ぶことが重要です。
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