新型コロナウイルスの借入返済の対応方法について

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

新型コロナウイルス感染拡大が始まった頃、多くの事業者は先行きの不安から政府系金融機関などが準備した融資制度を利用し当面の資金難を解消しました。現在は制度を利用した事業者の過半数が返済をスタートしています。

返済がスタートした今、事業者は借入金を返済していけるのか、返済が難しい場合はどう対応していいのか、不安に感じることもあるのではないでしょうか。

ポストコロナ、ウィズコロナに向け、本業に注力するためにもその不安について早期に対策を打つことが必要です。

今回は借入返済の対応方法やキークレアが行っている支援についてご紹介いたします。

新型コロナウイルスの借入返済がスタート

2022年6月6日に中小企業庁が「ウィズコロナ・ポストコロナの間接金融のあり方」というレポートを発表しました。

このレポートによれば2021年12月末時点で、5割超のコロナ融資利用事業者が契約どおりに返済を開始しており、据置期間中の事業者はおよそ3割、条件変更・追加融資をした事業者がおよそ1割という状況となっています。

据置期間が終了した時点で返済困難であり、かつ、条件変更や追加融資もできないこととなり倒産というような事態にならないよう手を打つ必要があります。

新型コロナウイルス感染症関連の代表的な支援策は以下のとおりです。

名称 概略 売上減少 内容
*償還期間は使途による
機関
①セーフティネット保証4号 概略 ・低利低保証率
・保証料ゼロ
・3年間金利ゼロも可
売上減少 20% 内容
*償還期間は
使途による
・債務100%保証
・10年償還
(据置1年)
・限度8,000万円
機関 信用保証協会
②セーフティネット保証5号 概略 ・低利低保証率
・保証料ゼロ
・3年間金利ゼロも可
売上減少 5% 内容
*償還期間は
使途による
・債務80%保証
・10年償還
(据置1年)
・限度8,000万円
機関 信用保証協会
③危機関連保証 概略 ・低利低保証率
・保証料ゼロ
・3年間金利ゼロも可
売上減少 15% 内容
*償還期間は
使途による
・①②と併用可
・債務100%保証
・限度8,000万円
機関 信用保証協会
④セーフティネット貸付 概略 低利子 売上減少 内容
*償還期間は
使途による
・15年償還
(据置3年)
・限度4,800万円(国民)
・限度7.2億円
(中小事業)
機関 日本政策金融公庫
⑤マル経融資 概略 低利子 売上減少 5% 内容
*償還期間は
使途による
・7年償還
(据置3年)
・限度1,000万円
機関 日本政策金融公庫
⑥新型コロナウイルス特別貸付 概略 実質無利子・
無担保
売上減少 5% 内容
*償還期間は
使途による
・15年償還
(据置5年)
・限度6,000万円(国民)
・限度3億円
(中小事業)
機関 日本政策金融公庫
⑦危機対応融資 概略 実質無利子・
無担保
売上減少 5% 内容
*償還期間は
使途による
・15年償還
(据置5年)
・限度3億円
機関 商工組合中央金庫

※中小企業庁による参考資料はこちら
ウィズコロナ・ポストコロナの間接金融のあり方について

新型コロナウイルスの借入返済の対応方法

コロナ融資返済の対応方法について、第一に自助努力で返済可能かどうかを検討しましょう。

まずは月々の返済金額やいつから返済が始まるか確認し、現状の資金繰りで返済可能かどうかを予測することが第一歩となります。
そして、コロナ禍前からの借入があり複数の借入金がある場合は一本化も検討しましょう。

その後、返済条件の変更が必要かどうかの検討に入る、という流れで対応方法を考えます。

①自助努力で返済

コロナ融資返済の基本は自助努力で対応することです。

月々いくら返済しないといけないのか、いつから返済が始まるのか確認することから始めます。
そして、自社で資金繰り表やキャッシュフロー計算書を作成している場合は現状の返済能力でコロナ融資の返済が可能か早めに確認しましょう。

自社の返済能力を測る上で、借入金月商倍率は把握しておきたい指標です。(以下の計算式)

借入金月商倍率=借入金総額÷月商

一般的には3~4倍に収まる範囲が適正と言われていますが、業種・業態により適正値もブレが生じます。

現在は問題ない場合であっても、月ごと・3か月ごとなど、定期的に確認し返済能力の変化をいち早く把握することが早期対応の鍵となります。

このままでは返済が難しいと気づいた方は、収入を増やす・支出を減らす方法の検討が必要となります。返済は長期間ですので、その方法については継続してできるものでないとあまり意味を持ちません。

従って、収入の増加につながる販売方法や取扱商材の変更、支出減少につながる固定費の削減、そして売上に直接関わりのない固定資産(ゴルフ会員権や遊休資産)の売却も一定の効果があります。

収入増加を狙って、事業規模を拡大するなども考えられますが、この施策はある程度シェアを獲得した企業が好景気のときや業績が右肩上がりの際に行うことが一般的です。

まずは、無駄なコストがかかってないか、不必要な資産はないか、さらに効率のいい販売方法はないか、などのように新たな設備投資の必要がない方法やアイデアによる対応を模索しましょう。

②借入の一本化

複数の借入先がある場合、月々の返済額が多くなってしまうため資金繰りに与える影響は大きいといえます。また、借入先ごとに返済期限・金利などの条件が違うため管理のための事務負担もかかってしまいます。

この複数の借入を一本化することにより月々の返済額の減少や、金利が下がる可能性がありますので実現すれば財務に好影響を与えます。

一本化を検討する場合、自己資金で一度返済して改めて新規の借入を行うことが可能か自社の貸借対照表や資金繰り表を参考に顧問税理士に相談しましょう。

この方法を実行できれば、金融機関が行う格付けの低下を防ぎ、返済実績を作ることで新たな借入先をみつけることもできる可能性があります。
自己資金が手許になく、この方法がとれない事業者は複数の借入を一つにする借換えを検討しましょう。

複数の借入が保証協会の保証付きのものなのか、プロパー融資なのかで少々金融機関との交渉に違いが生じます。

保証協会の保証付きのものであれば、借入をまとめる商品が実際にあり制度として確立されています。プロパー融資の一本化については、積極的な金融機関とそうでない金融機関の差が激しく、事業計画書の作成が必要となることも多いので専門家への相談が必須となります。

借入を一本化することについて、注意すべき点もあります。
例えば、借換え手数料が発生するほか、既存金融機関から他行に移る場合は元々借りていた金融機関から将来融資を受けることができなくなる可能性があります。

③返済条件の変更

新型コロナウイルス特例リスケジュールにより返済条件の変更が行えます。

新型コロナウイルス特例リスケジュールとは新型コロナウイルスの影響で業況が悪化した事業者に対し最長1年間の金融機関へのリスケジュール(返済猶予)を要請するものです。

中小企業再生支援協議会(以下、「協議会」)が新規融資を含めた金融機関調整、資金繰り計画策定支援をすることで経営者の負担が少なくなります。中小企業再生支援協議会に所属する専門家が債権者(金融機関)の支援姿勢を確認した後、特例リスケジュールを申請します。すでにリスケジュール中の中小企業者も支援可能となっています。

リスケを実行する際は、リスケ期間中に必ず経営を立て直す心構えと、リスケ期間中は新規の融資を受けにくく、信用保証料が追加でかかるなどの注意点の確認も必ず行ってください。

新型コロナウイルスの返済計画の見直しが重要です!

税理士に新型コロナウイルスの借入返済について相談するメリット

税理士は会計・税務の専門家です。コロナ前・コロナ禍の業績から借入返済について問題がないか分析し、場合によっては対応策の支援も可能です。

あまりに当然のことで忘れがちですが、返済の原資は利益です。利益には税金が課されます。利益と税金の専門家である税理士だからこそできるアドバイスがあります。

日頃、顧問として業績を把握している税理士は、顧問先の資金繰りやキャッシュフローも把握しています。返済について心配事がありましたらまずは税理士にご相談ください。

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キークレアグループ一丸となって支援いたします!

092-406-6736092-406-6736

受付時間:8:30-17:30 / 定休日:土・日・祝日

新型コロナウイルスの借入返済についてキークレアが行っていること

キークレアには、財務のコンサルティングに特化したキークレア財務会計コンサルティング(株)があります。経営計画書の立案・調達再編・金融再編などの提案を得意とし、税理士法人、グループ一丸となりサポートいたします。

キークレアでは徹底した現状分析と、そこから浮き彫りになる課題の抽出を行い、実行支援とモニタリングをご提供しています。このサポートにより顧問先の財務指標の改善・銀行格付の改善・適正な資金調達につながっています。

税務担当者1人ではサポート・解決できないこともキークレアではグループ内、ワンストップで支援してまいります。

借入返済が難しい場合にとってはいけない対応

借入の返済がこのままでは難しいと気づいた場合、とってはいけない対応がいくつかあります。

例えば、社会保険料の未払いです。納付期限までに未納付の場合、まず督促状が届きます。
その督促状の納付期限も過ぎ、さらに未納付の場合は延滞金の発生、最終的には財務調査や差し押さえとなります。

仕入先に対する掛代金の延滞も避けたいです。企業間の取引では、都度決算するのではなく、信頼によって掛取引を行っています。

掛代金の未払いは、その信頼がなくなることを意味し、取引停止、商品の引き揚げ、法的措置まで発展することもあります。
主要取引先に情報が洩れると、今まで通りの商取引事態ができなくなる可能性もあります。

そして、従業員への給与未払も不信感を抱く原因となり、離職が重なると業務が回らなくなることも考えられます。

これらの対応によるリスクは取り返しがつかない事態になりますので、避けたいものです。

新型コロナウイルスの借入返済に関するQ&A

借入を一本化した後も借入をすることはできますか?

例えば、A行・B行・C金庫から3本の借入がある場合に、B行・C金庫の分を借換えによりA行に一本化すると、今後B行・C金庫からの借入はできなくなる可能性があります。

この場合にA行からの追加融資、新たな金融機関からの新規の融資の可能性は残されています。
信用保証協会付きのものなのか、日本政策金融公庫のものなのかなどによって条件も変わります。まずは税理士にご相談ください。

新型コロナウイルスの借入返済に関する国の支援制度を教えてください

  • 日本政策金融公庫が実施する「公庫融資借換特例制度」
    既存の公庫融資の借換え1本化だけでなく新規融資も可能とする制度
  • 信用保証協会が実施する「借換保証制度」
    いくつか保証付きの借入がある場合1本化し、月々の返済額を減らす制度
  • 中小企業再生支援協議会が実施する「新型コロナウイルス特例リスケジュール」
    最長1年間の金融機関へのリスケジュール(返済猶予)の要請する制度

入返済が難しい場合は廃業(倒産)を検討した方がいいでしょうか?

資産を売却してもなお負債が残る状態を債務超過と呼びます。この債務超過の状態であれば、代表者が連帯保証人になっているかどうかにより廃業後に返済義務が続くかどうか異なります。

中小企業が金融機関から融資を受ける場合、代表者が連帯保証人になることが多いですが、この場合、連帯保証人である代表者に廃業後も返済義務が残ります。

新型コロナウイルスの借入返済についてのご不明点や不安なことがあればキークレアにご相談ください

わたしたちキークレア税理士法人では、記帳代行・税務申告などの通常の税理士業務のみならず、お客様のビジョンに対するモニタリングを密に行い、グループ一丸となって連携しながら最適なサポートをお届けしています。

新型コロナウイルスの借入返済についても、徹底した現状分析を行い、お客様の課題を発見します。そして未来に向かって解決策をご提案いたします。

これまでの数々実績・ノウハウの蓄積により高度なサービスをご提供いたします。どうぞ安心してご相談ください。

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お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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