ROEは高い方がいい?ROEを高める方法や注意点を解説

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

みなさんは、ROEという指標をご存知でしょうか?
ROEとはReturn on Equityの略で、自己資本利益率と呼ばれている重要な財務指標の1つです。近年、株主や投資家を意識した経営をする企業が増加し、ROEが重要視されてきています。

ROEからわかることは何か、ROEを高めるための方法等、ここではROEについて解説していきます。

財務指標とは?見方と財務分析に特に重要な指標一覧

ROE(自己資本利益率)とは

ROE(自己資本利益率)とは、株主が投資した自己資本に対して、どれくらいの利益を生み出せているかの割合のことをいいます。
ROEが高いほど、自己資本を活用して利益を生み出せているということになるため、経営効率が良く、投資価値が高いと考えられます。株主目線で企業の収益性や効率性を図る指標でもあるといえるのです。

ROEはなぜ重要?基準は?

これまでの日本企業は、売上に対する本業での利益の割合である営業利益率を重視してきました。
しかし、近年においては、ROEを高めることを重要視している企業も増えています。これは、日本が欧米を模した評価方法へ移行してきている背景があるためです。

「株式会社は株主のもの」という意識が根付いている欧米社会では、ROEが重要指標であることは当然です。株主・投資家に経営の収益性や効率性を説明していくためにも、ROEを意識した経営をすることは大変重要といえるのです。

なお、グローバルで評価されるROEの基準は8%と言われています。ただし前提として、これは業種により目安が異なります。

ROEの計算式

ROEの計算式は以下のとおりです。

【ROEの計算式】

ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

当期純利益とは、法人税を支払ったあとの企業の最終利益です。
自己資本とは、貸借対照表の純資産のことであり、返済の必要がない資金です。株主や投資家が出資した資金、設立からこれまでの利益の累積等の合計がこれにあたります。

つまり、ROEを算出することで、投資に対して生み出された利益の割合がわかるため、経営の投資効率が可視化できるようになると言えます。

企業にとってROEは高い方がいいのか?

基本的には高ければ高い方が良いと言われています。単純に、ROEが高いほど投資額に対して効率的に利益を上げることができているということになるためです。ROEが高いと株価も上がりやすくなります。

しかしROEを意識しすぎるのも問題が生じてしまうため、注意が必要です。

高いといいわけではない…ROEのデメリットや注意点とは?

ただ、単に高ければいいというわけではありません。ROEの計算式から分かる通り、自己資本や当期純利益は操作できてしまうためです。

自社株買い(自己資本の減少)

自社株買いは、株式市場で自社株を購入することにより、その株式が買い戻されることをいいます。これにより自己資本が下がり、利益が変わらない場合も結果としてROEが高くなるのです。

借入金額の増加(利益の増加)

また、借入金額を増やすことで利益をあげている場合もROEは高くなります。借入を大きくしつつビジネスを拡大できている点では評価できますが、借入自体が増えている点でのリスクを考慮しなければなりません

その他にも、新型コロナウイルスなど急な経済危機で利益が一時的に下がりROEが下がるといった場合もあるため、一概に指標だけで判断するのは避けましょう。

ROEは負債が多いと高くなりやすい

前述のとおり、ROEは資産に対する負債が多いほど高くなることも考えられます。これについては、その分利益が生み出せていればいいのですが、業績が不振になった場合、多額の借入の返済不能を理由に倒産するリスクが高まる可能性があります。

投資家はROEが高いだけでなく、ビジネスとして持続的に利益を維持できているかも考慮し、判断する必要があります。

ROEが高くてもROAが低い場合は要注意

よく似た重要指標として、ROAがあります。ROAとはReturn on Assetsの略で、総資産利益率と呼ばれています
こちらの計算式は以下のとおりです。

ROA(%)=当期純利益÷総資産×100

総資産とは、貸借対照表の自己資本+負債のことであり、企業が資金調達した総額のことをいいます。これにより、総資産に対してどれだけ効率よく利益を上げているかがわかります。

これらから考えられることとして、ROEが高くてもROAが低ければ、負債の割合が多くなっているおそれがあります
どちらも重要なため、両方のバランスを見ながら財務状況を判断すべきといえるのです。

ROEとROAの違いとは?
各特徴や注意点をわかりやすく解説

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POINT

自身の会社の財務状況の把握、そこからどのような経営指標を重視し、どのような方向へ進むべきかといった具体的な手法をお伝えいたします。

ROEを高めるには?デュポン分析からみる改善方法

ここで、デュポン分析を用いたROE分析についても解説致します。デュポン分析の公式からROEを算出することで、ROEの本質が見抜けるようになります。

ROE=①売上高純利益率×②総資産回転率×③財務レバレッジ

ROEを上げるためには、この分解した3つの数値を上げることが重要となります。

  1. 売上高純利益率=当期純利益÷売上高
    売上に対する当期純利益の割合のことです。
  2. 総資産回転率=売上高÷総資産総資産を活用してどれほどの売上高を生み出したかを測る指標です。
  3. 財務レバレッジ=総資産÷株主資本株主資本(自己資本)の何倍の総資産を持っているかを表す指標です。

売上高純利益率を上げる

売上高純利益率とは売上に対する当期純利益の割合のことです。

売上高純利益率を上げる方法

  • 当期純利益を増やす(事業成長、新規事業への参入、企業の買収(M&A)による事業規模の拡大など)
  • コストを削減する
    (固定費や経費の削減によって収益性を高める)

総資産回転率を上げる

総資産回転率とは総資産を活用してどれほどの売上高を生み出したかを測る指標です。

総資産回転率を上げる方法

  • 売上をあげる
  • 投資事業や投資設備を見直す
  • 不採算事業からの撤退や、滞留資産の処分等により資産圧縮を図る

財務レバレッジを上げる

財務レバレッジとは株主資本(自己資本)の何倍の総資産を持っているかを表す指標です。

財務レバレッジを上げる方法

  • 借入金を増やす
  • 自社株を購入する
  • 配当を増やす

ただし、負債に過剰に依存すれば倒産リスクが高まり、かえってROEが低下するおそれもあるため、注意が必要です。

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ここまでお伝えしてきたように、ROEROAともに重要な経営指数であり、どちらも高い状態であることが理想的です。また、ROEが高い状態を維持することも重要となります。

ROEをはじめとする財務関連でお悩みがあれば、税理士に相談することをおすすめいたします。

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