法人の確定申告|期限や提出書類・手続きの流れなどを税理士が解説
目次
法人の確定申告は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に申告と納税を行わなければなりません。
税金の種類が複数あるため、税金ごとの確定申告の流れや必要書類を正しく理解して準備を進めることが大切です。
この記事では、法人の確定申告の基本や必要書類、手続きの流れ、遅れた場合のペナルティなどをわかりやすく解説します。
法人の確定申告とは?
法人の確定申告とは、事業年度の損益を確定させ、その結果に基づく税額を所定の様式で各税務機関へ申告・納付する手続きのことです。
対象税目は主に法人税・消費税(課税事業者)・法人事業税・法人住民税で、原則として事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に行う必要があります。
黒字・赤字を問わず申告義務があり、赤字でも均等割(法人住民税)などは納付が発生するため、忘れずに申告を行いましょう。
法人と個人事業主の確定申告の違い
法人は自社で定めた事業年度に基づいて申告し、税目は法人税・消費税・法人事業税・法人住民税が中心です。
一方、個人事業主は1月1日~12月31日が原則の計算期間で、所得税・住民税・(課税売上1,000万円超等の条件で)消費税が対象。
判定基準や様式、提出先も異なるため、法人成り時は特に注意が必要です。
| 法人 | 個人事業主 | |
|---|---|---|
| 所得の計算期間 | 法人が定めた事業年度に基づく | 1月1日から12月31日まで |
| 税金の種類 |
|
|
法人の確定申告の種類
法人が申告する主な税金は以下の通りです。
国税
- 法人税
- 消費税
地方税
- 法人事業税
- 法人住民税
税目により計算方法・提出先・必要書類が異なるため、個別に押さえましょう。
法人税
法人税は、会社が事業活動で得た「課税所得」に対して課される国税です。
課税所得は、会計上の利益(税引前当期純利益)に税法独自のルールで加算・減算(申告調整)を行い、欠損金の繰越控除等を反映して算出します。
基本的な流れは「収益-費用=会計利益」→「税務調整」→「課税所得×税率=法人税額」→「各種税額控除の適用」で最終税額が決まります。
税率は資本金や所得金額により異なり、中小法人には軽減税率が適用される場合があります。
適切な税務調整・控除適用のため、決算時の証憑整理と科目内訳の整備が不可欠です。
消費税
消費税は売上に係る消費税額から仕入・経費で支払った消費税額(仕入控除税額)を差し引いて申告・納付する税金です。
納税義務者は、原則として基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円超の法人、または特定期間(前事業年度開始後6ヶ月間)の課税売上高または給与等支給額が1,000万円超の法人、資本金1,000万円以上で設立した法人、適格請求書発行事業者に登録した法人などです。
なお、売上1,000万円以下で本来は免税事業者の要件を満たしていても、インボイスに登録すると一律で課税事業者となり、登録日以後は消費税の申告・納税義務が生じます。
原則的な計算は「課税売上に係る消費税額-控除対象仕入税額=納付(又は還付)税額」で最終税額が求められます。
法人事業税
法人事業税は、都道府県に納める税金で、法人の事業活動に対して課され、行政サービスの費用に充てられます。
課税対象は原則「所得割(利益に対する課税)」で、収益事業から生じた所得がベースです。
計算は概ね「所得×法人事業税率=法人事業税」で求められ、税率は自治体・資本金規模・所得金額などで異なります。
資本金1億円以下の法人の法人事業税は、原則として「所得割」のみが適用され、赤字の場合は課税されません。
ただし、一定の大企業の完全子会社や、過去に外形標準課税の対象だった法人は、資本金が1億円以下でも課税対象になる場合があります。
法人住民税
法人住民税は、法人が事業所を置く都道府県・市区町村に納める地方税です。
均等割と法人税割の2つで構成され、均等割は赤字でも資本金・従業者数・所在自治体に応じて一定額が課税されます。
法人税割は確定した法人税額に地方税率を乗じて算定されます(税率は自治体で異なり、税制改正に伴い見直されることがあります)。
赤字で法人税の納税が発生しない場合は法人税割の納付は不要ですが、均等割の納税は必要です。
法人の確定申告の期限はいつまで?
申告・納付期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。
例えば3月決算の会社の場合は、2025年4月~2026年3月分の申告を、2026年5月31日まで(期限日が土日祝のときは翌営業日)に行う必要があります。
法人の確定申告に必要な書類
税目ごとに必要書類が異なり、外形標準課税の対象や欠損金繰越、税額控除の有無など状況に応じて追加資料が求められることがあります。
最新様式や添付要件は所轄税務署や自治体、またはe-Tax/eLTAX上で必ず確認してください。
| 税の種類 | 必要書類 |
|---|---|
| 法人税 | 法人税申告書、決算書、勘定科目内訳明細書など |
| 消費税(一般課税) | 消費税申告書、付表など |
| 消費税(簡易課税) | 消費税申告書、付表など |
| 法人事業税 | 法人事業税申告書(第6号様式など) |
| 法人住民税(都道府県民税) | 法人都道府県民税申告書(第6号様式など) |
| 法人住民税(市区町村税) | 法人市区町村税申告書(第20号様式など) |
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法人の確定申告手続きの流れ
法人の確定申告は以下の流れで進めます。
- 決算の準備
- 決算書の作成
- 各税目の申告書作成・提出
- 各種税金を納付
- 提出書類を一定期間保存する
期末直前からでは間に合わないため、月次からの仕組み化が鍵です。
①決算の準備をする
法人税額は決算で確定する利益を基礎に計算するため、期中の正確な記帳が前提です。
決算整理では、期をまたぐ取引の前受・前払、売上・仕入の計上基準(出荷・検収等)、棚卸資産の評価、減価償却、引当金の計上、消費税の課税区分などを総点検します。
誤りは税額だけでなく資金繰りにも影響するため、日頃の記帳徹底と早めの書類準備が肝心です。
②決算書を作成する
事業年度が終了したら速やかに決算書の作成を開始します。
主な書類は以下の通りです。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 附属明細書(必要に応じて)
作成手順やポイントの詳細は、以下で解説しています。
法人の決算書の作成方法③申告書を作成し、提出する
決算書を基に、税目ごとの申告書を作成して提出します。
提出先は以下のとおりで、電子申告(e-Tax/eLTAX)を利用すると控えの管理や納付まで一体化できます。
| 申告する税金 | 提出先 |
|---|---|
| 法人税 | 所轄の税務署 |
| 消費税 (課税事業者のみ) |
所轄の税務署 |
| 法人住民税 | 事業所所在地の都道府県・市区町村 |
| 法人事業税 | 都道府県税事務所 |
④各種税金を納付する
納付期限は原則、申告期限と同じく事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。
期限に遅れると延滞税等が発生します。なお、前事業年度の税額が一定基準を超える法人は、事業年度の途中で税金を前払いする「中間申告・納付(予定申告)」が課されます。
中間申告とは
中間申告は、前事業年度の税額に応じて当期の途中で前払いする制度です。対象は法人税・消費税および地方税(法人事業税・法人住民税)。
法人税は「前事業年度の確定法人税額が20万円超」の場合に年1回、事業年度開始後6ヶ月経過日から2ヶ月以内(=8ヶ月目末日)に予定申告・納付します。
消費税は下表のとおり前事業年度の消費税額(地方消費税を除く)に応じて回数が変わり、年1回/3回/11回のいずれかとなります。
資金繰りに影響するため、納付スケジュールは事前に資金計画に織り込むことが重要です。
| 前事業年度の消費税額 (地方消費税額は含まない) |
中間申告の回数 |
|---|---|
| 48万円以下 | 無し |
| 48万円超から400万円以下 | 年1回 |
| 400万円超から4,800万円以下 | 年3回 |
| 4,800万円超 | 年11回 |
⑤提出書類を一定期間保存する
保存対象は、会計帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)、決算書(貸借対照表・損益計算書等)、申告計算明細、請求書・領収書・契約書、給与台帳、固定資産関係などです。
税法上は原則7年(欠損金が発生した(又は繰越控除を受ける)事業年度の帳簿書類は一律10年間保存が必要)、会社法上は計算書類等を10年保存が求められます。
法定保存対象外の申告書控・受信通知(電子申告)も、税務調査や金融機関対応のため保管しておくことをおすすめします。
法人の確定申告期限に遅れた場合のペナルティ
期限後の申告・納付には、延滞税や無申告加算税(状況により重加算税)が課されます。
また、2期連続で期限内申告がないと青色申告の承認が取り消されます。
もっとも、期限を過ぎても「期限後申告」は可能で、その場合は提出日が納付期限となります。
早めの申告・納付により加算税率が軽減されることがあるため、速やかな対応が肝要です。
法人の確定申告を自分で行うことはできる?
自分で行うことは不可能ではありませんが、法人税・地方税・消費税を横断する税務調整や各種届出の要否判断など、個人の確定申告よりも複雑です。
小規模法人で日常経理が整備されている場合は自社で対応する場合もありますが、誤りのリスクや工数を考えると税理士に依頼する企業が多数派です。
税理士に依頼すれば、正確な申告や資金繰りに配慮した納税設計、税務調査時のサポートを受けられることに加え、自社の業務負担の軽減も可能です。
確定申告を税理士に依頼する6つのメリット法人の確定申告で押さえるべきポイントと注意点
e-TaxやeLTAXを活用すると業務負担を軽減できる
e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)は、申告・納付・各種届出をオンライン完結できるシステムです。
控除証明の電子添付やダイレクト納付、受信通知の保管が可能で、提出漏れ防止や印紙・郵送コストの削減に有効です。
利用を開始するためには、マイナンバーカード等の事前準備と利用者識別番号の取得を早めに行いましょう。
法人成り初年度は個人と法人それぞれで申告が必要
個人事業主から法人成りした初年度は、個人としての所得と法人としての所得を分けて申告しなければなりません。
個人は翌年2/16~3/15頃に所得税申告、法人は事業年度末から2ヶ月以内に法人税等の申告が必要で、期限や様式が異なります。
法人成り初年度は、法人へ切り替わった年月日を起点に、その前後で売上・経費を明確に区分することが重要です。
開始時点の手続きと期ズレ調整を誤ると、税額・実務に大きな影響が出るため特に注意が必要です。
法人の確定申告に関するQ&A
法人の確定申告を税理士に依頼する場合の費用はいくらですか?
費用は年商規模や依頼範囲(記帳代行・月次監査・決算申告)、業種の複雑性、拠点数、顧問契約の有無で大きく変わりますが、相場は以下の通りです。
- 小規模法人(年商5,000万円未満)で決算・申告のみ:
10万~30万円前後 - 月次顧問あり(年商1億円未満):
月3万~5万円+決算15万~40万円 - 年商1億~5億円:
月5万~10万円+決算30万~80万円 - 記帳から申告までの「丸投げ」:
30万~100万円超
(規模・量により変動)
法人が休業中でも確定申告は必要ですか?
はい、休業中でも申告は必要です。
申告書の事業概況欄等に「休業中」と明記し、売上・費用がない場合はゼロで申告します。
無申告が続くと青色申告の承認取消や各種減税措置の適用に不利となる可能性があるため、必ず期限内に申告しましょう。
法人に売上が無い場合、確定申告書はどのように書けばいいですか?
いわゆる「ゼロ申告」を行います。法人税申告書の売上高欄は0円、損益計算書も収益0で作成し、発生している固定費や租税公課などの経費を計上します。
赤字の場合は欠損金の繰越により将来の節税効果が期待できますが、住民税の均等割は売上の有無に関わらず課税されるため、必ず申告・納付を行いましょう。
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法人の確定申告は準備する書類が多く、複雑な手続きが求められます。
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