交際費と会議費はどう違う?対象の費目や4つの判断ポイント
目次
接待に使った飲み会の費用を会議費として処理することが可能なのをご存じでしょうか。
法人の交際費は税法上のルールによって、経費として認められる金額が限られています。会議費については、税法上の上限はなく、計上した金額が全て経費として認められます。
本コラムでは、混同を招きやすい交際費と会議費の違い、接待飲食の費用を会議費で計上するための要件、節税につなげるためのポイントなどについて詳しく解説していきます。
交際費と会議費の違い
交際費と会議費は一部の例外を除き経費として計上できます。2つの費用は内容が似ているため混同しやすいですが、経費にできる金額の制限に違いがあるなど注意が必要です。
節税効果もあるため、中身の違いをしっかりと理解していきましょう。
交際費とは
交際費とは、企業や個人事業主が、取引先や得意先との関係を円滑にするために支出する費用のことです。
法人の場合、企業規模によって損金算入額に異なる制限があります。例えば、中小企業は年間800万円までは全額損金算入できます。
個人事業主の場合、交際費は経費として認められますが、全額控除が認められるわけではなく、事業との関連性が求められます。
交際費の対象となる費目
- 取引先との接待飲食代
- 取引先へのお中元・お歳暮・香典・ご祝儀・手土産など
- 取引先との接待ゴルフ・旅行・観劇 など
交際費は対象者や内容の範囲が広く、一般的には取引先や顧客との関係を深めるための費用とされています。
しかし、国税庁は交際費の対象とならないものを明確に定義しているため、詳細を確認することが重要です。
会議費とは
会議費とは、企業や個人事業主が事業活動の一環として行う会議に関連する費用のことです。会議に関係した費用であれば、会議費として計上できます。
法人の場合、会議費には特別な損金算入の制限はありません。具体的な会議費の対象となる費目としては、以下のものが含まれます。
- 会議の会場費用
- 会議の資料代
- 会議の飲食費
これらの費用は、会議の目的や内容が事業に関連している限り、会議費として計上することが可能です。適切に会議費として処理することで、税務上のメリットを享受できます。
交際費か会議費か?4つの判断ポイント
交際費と会議費の区別は難しく、判断のポイントは費用の目的と対象です。具体的にどう区別するかについて、ポイントを説明していきます。
①1人当たりの費用が10,000円以下かどうか
法人の場合、取引先との飲食を伴う接待の費用については、参加者1人当たり10,000円が判断の基準です。
具体的には、1人当たりの費用が10,000円以下であれば、会議費として計上することが可能です。
ただし、税込か税抜きかについては、会社の会計処理方法によって異なるため、確認が必要です。
法人の場合、交際費には損金算入に金額の制限がありますが、会議費は全額経費として計上できます。そのため、法人では会議費として計上する方が節税につながります。
②集まりの名目や実態は何か
会議で一般的に提供される茶菓子やお弁当代などは、会議費として全額費用処理が認められます。
ただし、取引先との飲み会などの飲食は会議費として認められません。そのため、飲食を伴う会議の場合、必ず議事録を作成し、会議としての証拠を残すことが重要です。
議事録などがなく、会議として認められない場合は、交際費として扱われます。
③社外の人が会食に参加したか
取引先など社外の人が1人でも参加する会食の費用は交際費です。親会社や子会社の役員などであっても、社外の人として扱われます。
ただし、前述した通り、参加者1人当たりの費用が10,000円以下の場合、会議費として処理することが可能です。自社の社員のみの会食の場合の社内交際費は、10,000円基準の適用はなく、全額交際費です。
④飲食場所が社内か社外か
飲食場所が社内か社外かによっても、交際費と会議費の区分の目安になります。
社内のミーティングで提供されたお弁当や飲み物は会議費です。これは会議の運営や目的達成に直接関わるためです。
一方、社外の飲食店での接待や会食は交際費として扱われます。これは取引先や顧客との関係強化が目的であるためです。
会計処理の際には、費用の発生場所や目的を明確に区分し、適切な名目で計上を行うことが重要です。
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会議費で計上するときに気を付けるポイント
接待飲食に関わる費用を会議費として計上するためには、次のような注意事項があります。確認していきましょう。
接待飲食費を会議費で計上するには要件がある
接待飲食の費用を会議費として計上するためにはいくつかの要件があります。
- 参加者1人あたりの費用が10,000円以下であること。
- 取引先や仕入れ先など、社外の接待相手が1人以上含まれていること
- 一定の事項を記載した書類を保存していること
自社の従業員や役員の接待に関する費用は、会議費として計上することはできないので注意してください。
また、飲食物の詰め合わせを贈答する行為についても、お中元やお歳暮と変わらないので、原則交際費に該当します。
領収書やレシートに詳細の記載が必要
前項では、接待飲食の費用を会議費として計上するための要件の1つに、一定の事項を記載した書類を保存する必要があると説明しました。
具体的には、接待を行った飲食店で受け取った領収書に、下記の事項を記載して保管しておきましょう。
- 飲食のあった年月日
- 飲食に参加した取引先などの氏名または名称
- 飲食に参加した人数
- 飲食費用の金額、店名、店の住所
- その他参考となる事項
これらの事項が全て記載されていて、はじめて参加者1人あたり10,000円以下の接待飲食の費用を会議費として処理できます。
1次会と2次会で店が違えばそれぞれ計上できる
たとえば、取引先などの接待を行うための飲食で、1次会と2次会を開催したとします。
この場合、1次会と2次会でそれぞれ別の飲食店を利用しているケースだと、それぞれのお店での飲食費が1人当たり10,000円以下なら会議費として計上が可能です。
一方で、同一店舗で1次会と2次会を行い、2回会計を行って飲食代を支払ったとしても、1次会と2次会両方の飲食代を合算して1人当たり10,000円以下かどうか判定する必要があります。
お持ち帰りのお土産も計上できる
お持ち帰り用のお土産代も接待による飲食代と合算して1人当たり10,000円以下に収まれば、会議費として計上が可能です。
ただし、飲食したお店以外の品を購入した場合は交際費になりますので、注意が必要です。
会計処理の際には、どういった状況で支出した費用かを確認し、適切な科目で計上するよう留意してください。
経理業務や節税に関してはキークレア税理士法人にぜひご相談ください。
本コラムでは、交際費と会議費の違いについて確認していきました。
接待飲食に係る費用をどちらの勘定科目で計上するかで、税額が大きく変わってくることもあります。
しかし、法律に従って正しい処理をするのは容易ではありません。税金の専門家である税理士の助言を参考にし、法令に基づいた適切な処理を行うことが重要です。
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