法人で投資信託を行った場合の節税効果は?


目次
投資信託は、複数の投資家が資金を出し合い、資産運用会社やファンドマネージャーによって運用される資産管理の仕組みです。
個人で投資信託を行う場合は、利益に対しておよそ20%の税金が発生します。
利益が実現するまで税金は課されませんので、税金の支払いを先延ばしに出来る可能性があります。
また、法人で投資信託を行う場合は、投資信託以外の利益や損失と合算しますので、上手く活用することにより節税効果が期待できます。
法人の投資信託は節税になるのか?
法人で投資信託を行うと、投資信託以外の事業で得た利益や損失と投資信託で得た利益を合算することとなります。
例えば、投資信託での利益が100万円で、その他の事業で損失が100万円あるとしますと、合算した結果利益はゼロとなりますので税金は発生しません。
このように上手く活用できれば節税効果が期待できます。
ただし、その他の事業でも利益が発生していると、投資信託で得た利益全額に対して税金が課されますので、その点には注意が必要です。
法人が投資信託で節税する方法
上記のように、法人で投資信託を行う場合、上手く活用すれば節税効果が得られる一方で、節税効果が全く生まれないケースも考えられます。
ここからは法人が投資信託で節税するには具体的にどのようにすればよいのか、いくつか方法をご紹介します。
必要経費を計上する
法人で投資信託を行う際、経費に計上できるものがあります。
例えば下記のものが該当します。
- 購入時の手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額
- 投資信託を行うために購入したパソコンなどの端末、通信費や勉強会、セミナー費用
会計では、収入を得るためにかかった必要な支払は経費に計上するというルールがありますので、これらを必要経費として計上できるのです。
個人で投資信託を行う場合、上記のうち購入時の手数料、信託報酬、信託財産留保額など証券会社へ支払う手数料は控除可能とされています。
損益通算を活用する
- 個人事業主の場合
個人事業主が純損失(赤字)であった場合、その純損失の金額を翌年以後3年間繰越すことが可能です。 - 法人の場合
法人が純損失(赤字)であった場合、その純損失の金額を翌年以後10年間繰越すことが可能です。
※個人事業主も法人も青色申告をしている、などの要件があります。
例えば、前年100万円の損失で今年100万円の利益であるとすると、合算し利益はゼロとなり税金が発生しないこととなります。
この損失を繰越すことができる制度を上手く使うことにより、投資信託で発生する税金を抑えることができる可能性があります。
本業の赤字(黒字)と運用益(売却損)を相殺する
個人事業主の場合、事業での所得(利益)、投資信託での所得(利益)というようにあらかじめ区別したあとに税金を計算しますが、法人の場合は所得(利益)の種類を個人のように区別しません。
そのため、本業の赤字(黒字)と投資信託での運用益(損)を相殺された結果、利益(損失)が算出されます。
本業で100万円の利益、投資信託で100万円の損であれば利益はゼロとなります。
当然、本業で100万円の損失、投資信託で100万円の運用益があれば、同じ考え方で利益はゼロとなります。
分配金の益金不算入の適用を受ける
投資信託の中には毎月(定期的に)分配金を受取ることができるものがあります。
ここでは投資信託による分配金に関する税法上の処理を簡単にまとめます。
投資信託の分配金には「普通分配金」と「特別分配金」があります。
普通分配金とは元本を上回った部分のことをいい、特別分配金とは元本を下回った部分のことをいいます。
普通分配金を受取ると税金が発生しますが、特別分配金は元本の払い出しの性格をもつため、益金不算入の適用を受けます。
つまり、税法上収益とされず課税されないのです。
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投資信託による節税効果は法人と個人どちらが高い?
法人 | 個人 |
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個人で投資信託により利益を得た場合、およそ20%の税率で課税されます。
一方、法人税ではおよそ30%の税率で課税されますから、税率だけで考えると個人がお得だと感じることかと思います。
しかし、前述のとおり法人では経費計上が可能である、損失の繰越期間が長いことなどの理由から、投資信託について個人で行うのか法人で行うのか選択可能である場合、法人で行う方が得られるメリットは多い可能性が高いです。
しかし、経営者個人の所得の状況、投資信託の種類などによりどちらが有利であるか異なりますので、個別の事情により判断することが大切です。
投資信託など法人の節税対策は税理士への相談がおすすめ
投資信託を法人で行うことについて、メリットデメリットがあります。
ある法人においては、メリットであるが別の法人ではデメリットとなることもあります。
法人で投資信託を実施する際、会計処理や税務処理などは専門家に相談するべきでしょう。
キークレアグループでは、法人・個人事業の事業計画、次世代への事業承継や相続、そして資産形成に関してグループ全体でサポートできる体制が整っています。
資産形成を点で捉えると短期的な利益にとらわれがちになります。
税務・財務、事業承継まで含めトータルで検討することは必要です。
法人が投資信託を行う際の注意点
法人で投資信託を行う際の注意点として、非課税制度がない、特定口座を開設できない、ということを挙げることができます。
個人では用意されているこの2つの優遇制度が法人では使えないため、慎重に判断することが必要です。
特定口座を開設できない
投資信託という商品を購入する場合、証券会社に専用の口座を開設する必要がありますが、個人の場合、一般口座と特定口座のいずれかを選択することができます。
しかし、法人では特定口座を開設できません。
特定口座があれば取引で発生する収益・損失を証券会社が計算してくれ、確定申告で必要な情報を「年間取引報告書」という形で手軽に入手できます。
NISA・つみたてNISAを利用できない
NISAとは少額投資非課税制度のことをいい、運用益が非課税となります。
2024年から新しいNISA制度が始まり、大幅に制度拡充しました。
それまでは、一般NISAとつみたてNISAかのどちらか一方しか選べませんでした。
しかし新制度では非課税保有期間が無期限になり年間投資額の枠も拡大されました。
この大きなメリットであるNISA制度が法人では利用することができません。
保有しているだけで課税される場合がある
投資信託を短期で利益を得る目的で保有する場合、会計上「有価証券」として処理します。
この場合、期末に時価評価する必要があります。
つまり、現金化していないにも関わらず保有しているだけで課税されるのです。
いつでも換金可能な状態であるということは、現預金と同等の性質を持っていると考えるため、時価評価をすべき、という会計上のルールがあるためです。
なお、短期で利益を得る目的以外で投資信託を保有するのでしたら時価評価をせずに済む場合もあります。
法人が節税対策として投資信託を行う際はキークレアにご相談ください
法人が節税策として投資信託を行う際は専門家へ相談されることをおすすめします。
そもそも投資信託は資産の一種です。もちろん、節税になるのならぜひ取り入れたいところですが、どのように資産形成をしていくか、中長期的に検討することが最も大切です。
キークレアグループでは、中長期的な資産形成、そしてそれに伴うタックスプランニングをグループ一丸となりサポートしてまいります。
どうぞキークレアグループへご相談ください。