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医療法人の設立手続きの流れ|設立要件などの基礎知識を専門家が解説

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

医療法人の設立は、社会的信用の向上や節税効果が期待できる一方で、非常に厳格な要件と複雑な手続きが必要です。
都道府県知事の認可が必要となるため、個人事業の開業とは異なり、長期的な準備期間を要します。

本記事では、医療法人化を検討中の先生方に向けて、設立のメリット・デメリット、具体的な要件、申請から登記までの詳細な流れを専門家の視点で解説します。

医療法人の設立とは

医療法人とは、医師または歯科医師が常時勤務する病院、診療所、または介護老人保健施設などを開設・運営することを目的として設立される法人です。

設立には、業務に必要な資産や施設を備えた上で、都道府県知事の「認可」を受ける必要がある点で一般的な株式会社と異なります。

法人化することで、医業経営の永続性を高め、資金調達や事業承継の面でも有利な体制を整えることが可能になります。

医療法人化を検討すべきタイミング

医療法人化はタイミングが重要です。一般的に以下の条件に当てはまる場合、法人化によるメリットが大きくなる可能性が高いと言えます。

  • 個人の年間所得が1,800万円を超え、税負担が増加している
  • 社会保険診療報酬が年間5,000万円を超えている(自由診療含む総収入が7,000万円超)
  • 分院展開や介護事業への参入など、事業拡大を検討している
  • ご子息への事業承継を円滑に進めたいと考えている
  • 開業時に導入した医療機器の減価償却期間が終了する(開業7年目など)

医療法人を設立するメリット・デメリット

法人化には経営上の大きな利点がありますが、同時に事務負担の増加などの側面もあります。キークレアでは、両面を比較検討した上での判断をお勧めしています。

メリットデメリット
  • 所得税(超過累進税率)から法人税への切り替えによる節税効果
  • 給与所得控除の活用による役員報酬の適正化
  • 分院開設や介護事業などへの事業展開が可能になる
  • 対外的な社会的信用力の向上
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)への強制加入による保険料負担増
  • 交際費の一部損金不算入など、法人の経費ルールの適用
  • 登記や毎年の事業報告書の提出など、事務手続きの増加
  • 法人の資金を個人が自由に使えなくなる
医療法人とは?メリット・デメリットを税理士が詳しく解説!

医療法人設立の要件

医療法人は極めて高い公益性が求められるため、設立認可には法律に基づいた厳格な基準をクリアする必要があります。審査の柱となるのは主に以下の4点です。

  • 人的要件
  • 施設・設備要件
  • 資産要件
  • 法人名の要件

これら各要件の詳細について解説します。

人的要件

医療法人の運営体制を確立するため、原則として以下の役員構成が必要です。

  • 社員(構成員): 原則3名以上(設立時の社員総会等の議決権を持つ者)
  • 理事: 3名以上(理事長を含む)
  • 監事: 1名以上

※理事長は原則として医師または歯科医師である必要がありますが、一定の要件を満たす場合は医師・歯科医師以外でも可能です。また、監事は理事の親族や法人の従業員などが兼任することはできません。

施設・設備要件

医療を提供できる物理的な環境が整っていることが必須です。

  • 施設: 1箇所以上の病院、診療所、または介護老人保健施設を開設していること
  • 設備: 診療業務を行うために必要な医療機器、備品、什器が完備されていること
  • 安全性: 建物が建築基準法や消防法などの法令に適合していること

開設する診療科によって必要な施設は異なりますし、既存の施設を使うのか新設するのかによっても対応は変わってきます。

資産要件

法人として安定的かつ継続的に運営できる財産基盤が求められます。

  • 運転資金: 年間支出予算の2ヶ月分以上の運転資金を現金・預金で保有していること
  • 拠出金: 個人診療所の設備を法人へ引き継ぐための資金、または現物出資
  • 不動産: 建物が自己所有、または長期間(通常10年以上)の賃貸借契約が確約されていること

特に運転資金の証明は、設立認可審査において厳しくチェックされるポイントです。

法人名の要件

法人の名称には、品位や信頼性を保つため厳格なルールがあります。

  • 使用文字:漢字等のほかローマ字や数字も登記可能ですが、念のため自治体の確認が必要
  • 禁止事項:既存の他の医療法人と同一または類似した名称は使用不可
  • 広告規制: 「No.1」「最高」など、誇大広告や公序良俗に反する名称は不可
  • その他:「医療法人」の文字を含める義務があり、診療科名を入れることは原則推奨されない

医療法人の設立の流れ

医療法人の設立は、都道府県への事前相談から登記完了まで約6ヶ月以上を要する長期戦です。流れは大きく分けて以下の手順で進みます。

  • 説明会参加や定款作成、総会開催などの「事前準備」
  • 行政庁による厳格な審査を受ける「認可申請手続き」
  • 認可後の「設立登記」と完了届出

ここでは一般的な「社団医療法人」の設立フローを順を追って解説します。

医療法人設立の流れ

①医療法人設立説明会

設立手続きの第一歩は、都道府県が主催する説明会への参加です。

  • 多くの自治体で、まずは「設立事前登録」や「事前相談」が必要
  • 説明会は通常、春と秋の年2回開催されることが多い
  • 近年は東京都などを中心に、オンラインでの受講や資料配布のみの場合もある

必ず管轄の都道府県の最新情報を確認しましょう。

②定款の作成

定款は法人の憲法とも言える重要な規則です。

  • 必須記載事項: 目的、名称、事務所の所在地、資産に関する規定、役員に関する規定など
  • 各都道府県が公開している「モデル定款」をベースに作成するのが一般的
  • 厚生労働省のホームページにも標準的な定款例が掲載されている

独自ルールを盛り込む際は、医療法に抵触しないよう専門家への確認が必須です。

③設立総会の開催

設立者(社員)全員が出席し、定款の承認や役員選任を行います。議事録は認可申請の必須書類です。

議事録の主な記載事項

  • 開催日時・場所・出席者数
  • 設立の趣旨および定款の承認
  • 財産目録・事業計画・予算の承認
  • 役員(理事3名・監事1名以上)の選任
  • 本店所在地
  • 議事の経過と結果、署名捺印

④設立認可申請書の作成

設立認可申請書をはじめ、定款や事業計画書など、作成書類は非常に膨大です。

自治体により細部は異なりますが、役員の就任承諾書や履歴書、印鑑証明書、そして拠出財産の裏付けとなる残高証明書は共通して必須となります。

個人の確定申告書など、外部から取り寄せる書類も多いので、早めに手配を進めることがスムーズな申請の鍵となります。

⑤仮申請

本申請の前に、担当官による事前審査を受けます。

  • 目的: 書類の不備や定款内容の法的整合性をチェックするため
  • 補正: 指摘事項に基づき、文言の修正や追加書類の提出
  • 注意点: 指定された仮申請期間内に書類が整わない場合、その回の申請は受け付けてもらえず、次回(半年後)まで待つことになる

※自治体によって事前エントリーが必要です。

⑥本申請

仮申請での修正がすべて完了し、内容が確定した段階で本申請へ進みます。

  • 手続き: 書類押印手続きの手配(各役員、銀行、大家、リース会社など)
  • 通知: 書類上の不備や非営利性の確認が完了すると、本申請を受け付ける旨の連絡があります。ここから正式な審査が始まります。

⑦設立認可書の交付

申請書が受理されると、医療審議会で審議されます。

  • 審査: 医療法に基づき、資産要件や運営能力が適正か審査されます。
  • 交付: 審議を通過すると、都道府県知事より「医療法人設立認可書」が交付されます。通常、申請から認可まで2〜3ヶ月程度かかります。

⑧登記申請

認可だけでは法人は成立しません。法務局での手続きが必要です。

  • 期限: 認可書の受領から2週間以内に、主たる事務所の所在地で設立登記を行います。
  • 期間: 申請から登記完了まで1〜2週間前後かかります。
  • 完了後: 登記事項証明書を取得し、都道府県へ「設立登記完了届」を速やかに提出します。

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医療法人設立(登記)完了後に必要な手続き

実際に診療を開始するためには各行政機関への手続きが不可欠です。

保健所への手続き
  • 診療所の開設許可申請(原則、事前申請が必要)
  • 診療所開設届(許可後、診療開始から10日以内)
  • 個人診療所の廃止届(廃止後10日以内)など
厚生局への手続き
  • 保険医療機関指定申請(各月10~20日までに提出、受理後の翌月1日付けで指定)
  • 施設基準の届出(改めて届け出が必要で、保険医療機関指定申請と同時提出が理想)
  • 保険医療機関廃止届(個人事業分について廃止後1ヶ月以内(または遅滞なく)に提出)など
税務署への手続き
  • 法人設立届出書(設立から2ヶ月以内)
  • 青色申告の承認申請書(設立から3か月以内)
  • 給与支払事務所等の開設届出書(開設から1ヶ月以内)
  • 個人事業の廃業届出書(廃業から1ヶ月以内)など

医療法人の設立に必要な書類・費用

設立には、既にクリニックにある書類と、新たに作成する書類が必要です。

クリニック開業時にすでに作成済の書類
  • 役員、社員になる方の印鑑証明と履歴書
  • 医師免許証の写し
  • 現在の診療所の図面
  • 確定申告書(直近2期分程度)など
医療法人を設立するのに必要な書類
  • 定款
  • 設立趣意書
  • 設立総会議事録
  • 財産目録及び明細書
  • 事業計画書及び予算書
  • 負債残高証明書及び金融機関の引継承諾書
  • 銀行預金残高証明書  など
医療法人設立 医療法人設立認可申請 600,000円~
診療所開設届関係 診療所開設許可申請 100,000円~
診療所廃止届(個人事業分) 50,000円~
エックス線装置設置許可申請 50,000円~
保険医療機関関係 保険医療機関適用廃止届(個人事業分) 50,000円~
保険医療機関指定申請 50,000円~

医療法人を設立する際のスケジュール

医療法人の認可申請先は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県や政令指定都市となります。

多くの自治体で申請時期は年に2回程度と限られているため、タイミングを逃すと設立が半年以上遅れることになります。そのため理想とする設立日から逆算して準備することが大切です。

東京都と福岡県のスケジュール例を、下の表にまとめました。

スケジュール 東京都 福岡県
1回目 2回目 1回目 2回目
設立事前登録 6月~8月中旬 1月~3月中旬 4~6月下旬 9月~11月下旬
設立に関する説明 手引の確認・定款等の作成・設立総会の開催・設立許可申請書の作成
「人事・財産・施設・予算」に関する要件の把握と準備
仮申請書類の提出は郵送受付のみ
仮申請書類の審査 9月~12月 4月~6月 7月~9月 12月~2月
本申請書類の提出は持参による
医療審議会への諮問 1月~2月 7月~8月 10月上旬~ 2月上旬~
設立認可 2月中旬~下旬 8月中旬~下旬 10月下旬 3月上旬
認可書交付・法人運営と今後の手続きについての説明 2週間以内に法人設立登記を行い、完了後、都道府県に登記事項の届出
総括書類(設立認可申請書など)・財産関係書類(財産目録など)・人事関係書類(役員・社員名簿など)・施設関係書類・予算関係書類(事業計画書など)の作成・届出
法人診療所開設 2月下旬~3月上旬 8月下旬~9月上旬 10月下旬~11月上旬 3月上旬~3月下旬

医療法人を設立から運営まで医業に強いキークレアがトータルサポートいたします

医療法人の設立は、ご自身で行うことも可能ですが、膨大な書類作成と行政との折衝が必要となり、診療の合間に行うには限界があります。また、設立はゴールではなくスタートであり、その後の税務戦略や経営管理が重要です。

キークレアグループでは、税理士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人など7社の専門知識を結集し、設立認可申請から登記、その後の税務会計、労務管理までワンストップでサポート可能です。

「今のタイミングで法人化すべきか」というシミュレーションから、先生のビジョンに寄り添ってご提案いたします。まずは一度ご相談ください。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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