医療法人とは?メリット・デメリットを税理士が詳しく解説!

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

医療法人のメリットは、税制上の優遇、資産保護、寄付・助成金の受け入れ、組織の専門性、信頼性向上、事業の継続性です。税制優遇により税金負担が軽減し、資産は保護されます。
寄付や助成金を受け入れて資金調達が可能で、組織の専門性を維持できます。

法的認可を受けた医療機関として信頼性が高まり、経営者の変更に強いです。
しかし、医療法人設立には条件と規制があり、専門家のアドバイスが必要です。
また、倫理規定と法的要件を遵守することが不可欠です。

医療法人とは

病院、医師が常時勤務する診療所、介護施設を開設するための組織は、一般的に「医療法人」と呼ばれます。
医療法人は、医療・介護サービスの提供を主な目的として設立される法的な組織です。
医療法人の主な目的は、医療・介護サービスの提供です。
これは医師や看護師などの専門家による診療、治療、介護サポートなどを通じて実現されます。

また、医療法人は地域社会や国全体の医療・福祉水準向上を追求し、研究、教育、公益活動などにも関与します
病院や介護施設の運営を通じて、患者や地域社会の健康と福祉に貢献する使命を担っています。
社団医療法人は医療関係者が会員で、主に医療機関を運営し、収益は再投資できます。
財団医療法人は独立法人で、医療・福祉、研究、公益に資金を充てます。財団法人は一般の寄付も受け入れ、法的には独立した法人です。

医療法人と開業医の違い

医療法人と開業医には違いがあります。
医療法人は分院が可能だが、開業医は開設できる施設数が1ヶ所のみであったり、医療法人の業務範囲は診療所・病院だけでなく、介護老人保健施設や看護師学校なども含まれるが、開業医は診療所・病院のみなど様々な違いがあります。
詳しくは以下の表をご覧ください。

開業医 医療法人
開設できる施設数 1ヶ所のみ 分院が可能
業務範囲 診療所・病院 診療所・病院
介護老人保健施設
看護師学校
医学研究所
精神障害者社会復帰施設など
役員報酬 売上から経費を差し引いたものが事業所得となる 役員報酬を設定する
(1期固定)
社会保険 従業員5人以上で要加入 従業員数かかわらず要加入
立ち入り検査 原則なし 定期的に実施
登記 不要 必要

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医療法人を設立する5つのメリット

医療法人を設立すると5つのメリットがあります。
税制優遇により税金負担が軽減し、資産は保護されます。

組織が専門性を持つため、医療サービスの質が向上します。
組織の継続性があり、長期的な医療提供が可能です。
詳しく見ていきましょう。

節税効果がある

1つ目のメリットは節税効果があることです。
まず、法人税の最大税率が23.2%なのに対し、個人の所得に対する税率は最大45%になるので、課税対象の所得額が多いほど、医療法人を設立するメリットがあります。

次に、給与所得控除は法人が従業員や役員に支給する給与に対して所得控除が適用され、従業員の税負担が軽減されます。
所得分散は家族や法人間で所得を分散させ、税金を最小限に抑える手法です。

退職所得控除は、退職した際の所得に対して適用され、税金を軽減できます。
最後に、経費計上として生命保険料を認識することができ、これにより経費が増加し、課税対象の所得が減少します。

社会的信用が高くなる

2つ目に社会的信用が高くなることです。
設立には都道府県知事の認可が必要であり、申請には手間と時間がかかります。また、法人会計を採用するために経費をかける必要があります。
医療法人化することで社会的信用が高くなり、金融機関からの融資を受けやすくなります

事業承継時の相続税がかからない

事業承継は、経営者が事業を次世代に移すプロセスです。
将来、子供が医師になり、クリニックを継ぐ場合、個人経営の場合、高額の相続税がかかる可能性があります。
一方、医療法人の場合、理事長の変更などの簡単な手続きで経営権を移転できるため、相続税負担を軽減できます。

これは法人組織の利点であり、事業の継続性を確保し、財産の保全をサポートします。
医療法人を通じた事業承継は、家族や経営の将来を考える際に重要な戦略となります。

事業展開しやすくなる

医療法人は多様な医療・福祉サービスを提供することが可能で、事業展開が柔軟で容易です。
患者の健康と福祉に多面的に貢献し、地域社会に不可欠な存在となっています。この多様性は新しい機会を開拓し、医療法人の成長と持続可能性をサポートします。

欠損金を10年繰り越すことができる

医療法人の場合、青色申告を採用することで、赤字決算が生じた際にその欠損金を10年間にわたり繰り越すことが可能です
これは法人としての税制特典であり、赤字を積み上げた場合でも将来の利益を相殺し、税金負担を軽減できる利点です。

対照的に、個人の場合は通常、赤字決算の欠損金を3年間に限って繰り越すことが認められています。医療法人は法人格を持つため、赤字の積み上げや繰越期間において個人とは異なる税制上の特典を享受します。この違いは、医療法人が事業の持続性を確保し、財務計画を安定させる際に有利な要因の一つです。

医療法人を設立する5つのデメリット

医療法人の設立にはデメリットもあります。
社会保険の加入が必須になる、出資持分のない医療法人しか設立できない、交際費の全額を経費に計上することができないなどの制限があります。
また、事務処理が複雑になるなど負担が増えることにもなります。
詳しく見ていきましょう。

事務処理が煩雑になる

医療法人と個人開業医の事務処理には違いがあります。
医療法人は法人格を持つため、会計や税務、法的手続きが複雑になることがあります。
法人としての経理、監査、法的文書作成が求められます。個人開業医の場合、個人としての経営が主体であり、単純な経理が一般的ですが、医療法人よりも税制上のメリットは制約されることがあります。

医療法人化の際の手続きは煩雑で、都道府県知事の認可が必要であり、設立計画書の提出や厳格な審査があります。
さらに、法人の運営には法的規制と規模に応じた業務処理が必要です。個人開業医は比較的シンプルな経営ですが、医療法人は法人としての責任と複雑な手続きが付随します。
適切な経営戦略と専門家のサポートが不可欠です。

社会保険の加入が必須になる

医療法人の役員や従業員は、健康保険と厚生年金に強制的に加入する必要があります
ただし、医師会に既に加入している場合、医師国保への加入も可能です。
医師国保は医師向けの健康保険制度であり、医療従事者向けに特別なサービスを提供します。

医療法人は従業員の社会保障を提供する法的義務があるため、これらの制度への加入は避けられません
健康保険や年金制度は、従業員の社会的安全網を確立し、医療法人の従業員の福祉を保護するための重要な措置です。

医療法人の解散は容易ではない

医療法人は公益性を重視し、地域社会への貢献が大前提です。
解散する場合、各都道府県の認可が必要で、解散の理由や方法、資産の処分などが詳細に審査されます。
公益法人としての役割を終える際、地域への影響や患者の安全を保障するため、厳格な手続きが求められます。
このプロセスは法的な枠組みを守りつつ、公共の利益を最大限に考慮するものです。

出資持分のない医療法人しか設立できない

持分なし医療法人は、出資持分を持たない法人形態です。
解散時、残余財産は国や地方自治体に帰属し、出資割合に応じた返還請求はできません
出資持分とは、法人に出資する際の個々の出資者の持分や権益を表すもので、持分法医療法人はこの出資持分を有する形態です。

持分法医療法人は「社会医療法人」「特定医療法人」などとして存在し、出資者(会員)が法人の経営に参加し、持分に応じて権利を持つ一方、責任も負います。
持分なし医療法人は、出資者の持分を持たないため、解散時の財産は公共機関に帰属し、返還請求ができないのが特徴です。

交際費の経費計上が制限される

医療法人の経費計上において、交際費には制限が設けられており、全額を経費として認めることができない場合があります
これは法人としての財務透明性を保つための規制で、公共の利益と資金の適切な利用を確保するためです。
医療法人は患者の健康と福祉に焦点を当て、資金の効果的な運用が求められます。

そのため、交際費には上限や制約が設けられ、経費計上が厳格に審査されます。
経費の適切な使途と公益性を考慮しながら、法人の運営と財政管理を行う必要があります。

医療法人化を税理士に相談するメリット

医療法人化に際して税理士に相談・依頼することは極めて重要です。
税理士は医療法人化に関する専門知識を持ち、以下の点で大きなメリットがあります。
まず、医療法人の専門知識と法的要件に精通しており、適切な戦略を提供し、法規制を遵守する支援が期待できます。

また、税務計画や節税策の提案を通じて、経営戦略の最適化と財政健全性の向上に貢献します。
さらに、必要な文書作成と提出のプロセスをスムーズに進め、煩雑な手続きを円滑化します。
税理士の選定に際しては、医療法人の専門知識、経験、信頼性、コミュニケーション能力、費用透明性を考慮し、組織の成功と法的遵守を確保するための適切なパートナーを選ぶことが不可欠です。

キークレアの医療法人化サポート
手続きや節税対策はお任せください!

キークレアは医療法人化のサポートに力を入れています。
医療法人化するまでは、事業計画の策定や資金調達において戦略的なアドバイスを提供します。
医療法人化後は、税務申告や法人決算の節税対策、税務調査対応を専門的にサポートします。

さらに、財務分析や経理代行により、財務健全性を保ち、適切な帳簿管理を確保します。また、法的コンプライアンスに関しても専門家は法規制の遵守をサポートします。医療法人は複雑な手続きと厳格な規制を伴うため、専門家のアドバイスとサポートは成功に向けた不可欠な要素です。適切な専門家を選び、スムーズな医療法人化と持続可能な経営を実現しましょう。

医療法人を設立する際の
事業計画書の留意点とは?

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医療法人を設立するのに最適なタイミング

医療法人化のベストタイミングは、メリットである節税効果や事業拡張性がデメリットを上回る時です。
一般的に、以下の状況が適しています。

  1. 社会保険診療収入が年間5,000万円を超えたとき:
    医療法人化による税制上のメリットが大きく現れます。
    法人税の適用が個人よりも有利であり、資産の保全と資金調達が容易になります。
  2. 自由診療も含めた総収入が年間7,000万円を超えたとき:
    自由診療収入を含む場合、事業規模が拡大し、法人組織の管理と運営が効果的になります。
    節税効果は更に顕著です。

医療法人のメリットを最大化にするためにもキークレア税理士法人にご相談ください!

医療法人化は多くのメリットを提供しますが、そのメリットを最大限に活用し、失敗や後悔を回避するためには専門家のサポートが不可欠です。
税制メリットの最大化、戦略的計画、法的コンプライアンス確保、カスタマイズされたソリューションの提供など、多くの面でサポートします。組織に合わせた最適な戦略を構築し、医療法人の節税効果を最大化し、財政の安定性を高めましょう。
医療法人化は経営戦略の重要な要素であり、専門家のサポートは成功への鍵です
医療法人のメリットを最大化にするためにもキークレア税理士法人にご相談ください。

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