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相続税の非課税財産とは?対象となるものや生前にできる対策を解説

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

相続税は、遺産総額が「基礎控除額」を超えた分に対して課せられる税金です。
しかし、すべての遺産が課税対象になるわけではなく、そもそも税金がかからない「非課税財産」も存在します

この記事では、相続税が非課税となる財産の具体例をはじめ、税負担を大幅に軽減できる各種控除や、効果的な生前対策について分かりやすく解説します。
制度を正しく理解し、ご自身やご家族にとって最適な相続の準備にお役立てください。

相続税の非課税財産とは?

非課税財産とは、相続があっても相続税がかからないと法律で決められている特別な財産のことです。具体的には以下のものがあります。

  • 墓地、仏壇などの祭祀財産
  • 死亡保険金や死亡退職金の非課税枠
  • 公益事業に充てられる財産
  • 国や公共団体などに寄付した財産
  • 心身障害者扶養共済制度による給付金

墓地・仏壇などの祭祀財産

墓地や仏壇、神棚といった「祭祀財産」は、先祖供養など日常的な礼拝のためのものであり、原則として相続税は非課税です。生前にお墓を購入しておくことが節税対策として有効なのはこのためです。

しかし、純金製の仏像や高価な宝石類が施されたものなど、骨董品や投資対象として換金性が高いと判断された場合は課税対象となりますので注意しましょう。

なお、葬儀費用(お布施等)は遺産から控除できますが、香典返しは対象外です。また、香典や弔慰金は原則非課税ですが、会社からの弔慰金が一定額(業務上死亡で給与3年分等)を超えると死亡退職金として課税されます。

死亡保険金や死亡退職金の非課税枠

被相続人の死亡によって受け取る死亡保険金死亡退職金には、それぞれ別々に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設けられています
例えば法定相続人が3人なら各1,500万円まで非課税です。この枠を超えた部分の金額は相続税の課税対象となります。

また、この特例を利用できるのは受取人が相続人である場合に限られ、家族以外など相続人以外の人が受け取る場合は非課税枠は適用されません。

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公益事業に充てられる財産

相続や遺贈によって遺産を受け取った人が、その財産を宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業に役立てることが確実である場合、その財産には相続税がかかりません

具体的には、個人で学校、保育園、病院、あるいは寺社などを経営している人が遺産を引き継ぎ、その財産をそのまま経営や施設の維持管理のために使用する場合などが該当します。
社会的な貢献度や公益性が非常に高いと認められる財産だからこそ、遺族の負担を減らすために課税対象から除外されます。

国や公共団体などに寄付した財産

相続や遺贈によって引き継いだ財産を、国や地方公共団体、あるいは特定の公益法人などに寄付した場合、その財産については相続税の課税対象から除外されます

この特例を適用するためには、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内である「相続税の申告期限」までに実際の寄付を完了させる必要があります。

期限を過ぎてしまうと非課税にはならないため、相続した遺産を社会貢献に役立てたいと考えている場合は、スケジュールの確認も含めて早めに手続きを進めることが大切です。

心身障害者扶養共済制度による給付金

心身障害者扶養共済制度とは、都道府県や指定都市が運営する公的制度です。障害者を扶養する保護者が掛金を支払うことで、保護者死亡の際に障害のある家族へ一生涯にわたり年金が支給されます

この制度に基づき遺族が受け取る年金などの給付金は、障害のある方の生活安定や福祉の向上を目的としているため、相続税の課税対象から完全に除外されています。
残された家族の経済的自立を守るため、相続税がかからない仕組みとなっています。

相続税を軽減するために利用できる控除

非課税枠の適用後も基礎控除額を上回る場合、以下の各種控除を活用することで税額を大幅に軽減できる可能性があります

  • 配偶者の税額の軽減
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 小規模宅地等の特例による控除

配偶者の税額の軽減

配偶者の税額の軽減」とは、配偶者が相続した財産が一定額以下であれば、相続税が大幅に軽減される制度です
非課税となる限度額は、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分」のいずれか多い方となります。

例えば、正味の遺産額が4億円で配偶者の法定相続分が2分の1(2億円)の場合、多い方である2億円まで無税で相続可能です。
非常に強力な制度ですが、実際に利用する際は配偶者が将来亡くなった際に子どもが引き継ぐ「二次相続」も念頭に置く必要があります。

一次相続で配偶者が財産を多くもらいすぎると、次の相続で子どもへの税負担がはね上がる場合があるため、長期的な視点でのバランスが重要です。

相続税の配偶者控除とは?

未成年者控除

未成年者控除」とは、相続人が18歳未満の場合、算出された相続税から直接一定額を減額できる特例です

【計算式】
10万円 × (18歳 - 相続時の年齢)

年齢の1年未満の端数は切り捨てます。15歳3ヶ月なら「15歳」とみなし、控除額は30万円(3年分)となります。
本人の税額から引ききれない余剰分については、親などの扶養義務者の税額から代わりに差し引くことが認められています。

対象者は原則として日本に居住する「法定相続人」に限られるため、法定相続人にあたらない孫などは未成年でも対象外です。
また、生涯で複数回の適用が可能ですが、2回目以降は過去に利用した控除額分がマイナスされるため、受けられる額に制限がかかります。

障害者控除

障害者控除」とは、相続人が85歳未満の障害者である場合、相続税から一定額を直接減額できる特例です

【計算式】

  • 一般障害者:
    10万円 × (85歳 - 相続時の年齢)
  • 特別障害者:
    20万円 × (85歳 - 相続時の年齢)

年齢の1年未満の端数は切り捨てます。身体障害者手帳(1級または2級)を持つ障害者や重度の知的障害がある方などは特別障害者に該当します。

未成年者控除同様、自身の税額から引ききれない分は扶養義務者の税金から差し引けます。
対象は原則、国内に住所がある法定相続人に限られます。なお、生涯で複数回この控除を利用する場合、2回目以降は過去に控除した金額が差し引かれます。

相続税の障害者控除

相次相続控除

相次相続控除」とは、10年以内に相次いで相続が発生した際、税負担を軽減できる特例です
前回の相続で相続税を納めていた場合、一定額を今回の相続税から直接差し引けます。控除額は発生の間隔が短いほど多くなります。

なお、前回の相続からの経過年数を計算する際、1年未満の端数は切り捨てて計算します。

相次相続控除とは?

小規模宅地等の特例による控除

小規模宅地等の特例」とは、被相続人や生計を共にしていた親族が、自宅や事業に用いていた土地を相続する際、土地の評価額を最大80%減額できる特例です

相続税を劇的に引き下げられる有利な特例ですが、同居要件や土地の継続利用など、適用にはかなり厳格な条件が細かく定められているため、事前の慎重な確認が欠かせません。

小規模宅地等の特例とは?

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被相続人が生前にできる相続税の節税対策

生前贈与は相続税を抑える代表的な手法です。贈与税は相続税より税率が高めですが、国が設けた各種非課税枠を賢く活用すれば、将来の課税対象となる財産を効果的に減らせます

  • 年間110万円以下で贈与する
  • 相続時精算課税を活用する
  • 配偶者へ居住用の不動産を贈与する
  • 教育資金を一括贈与する
  • 結婚や子育ての資金を一括贈与する
【相続税対策】生前贈与の基礎知識

年間110万円以下で贈与する

1年間に受け取った額が110万円の基礎控除の範囲内なら、贈与税はかかりません。この枠は「もらう人」を基準とする点に注意が必要です。
例えば、同じ年に父から80万円、母から60万円をもらうと、合計140万円として課税対象になります。

また、毎年同じ時期・同じ金額を渡し続けると、最初からまとまった資金を分割しただけの「定期贈与」とみなされる危険があります。
金額や時期を毎回ずらし、都度「贈与契約書」を作成して証拠を残しましょう。

さらに注意すべきが「生前贈与の持ち戻し」です。亡くなる前3〜7年以内に行われた贈与は、110万円以下であっても相続財産に加算されて課税されてしまいます。
そのため、元気なうちからなるべく早めに贈与を始めることが確実な節税の鍵となります。

相続時精算課税を活用する

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子供・孫に対して資産を贈与するときに選択できる仕組みです
毎年110万円の基礎控除が引けるほか、通算で2,500万円に達するまでの生前贈与に贈与税が発生しなくなります。

大きなメリットとなるのが、将来の相続税を「贈与をおこなった時点の評価額」で算出できる点です。
これから値上がりが見込める土地や株式、あるいは賃料収入を生み出す物件などを早期に移転させておくことで、将来の相続税の負担を低く抑えられます。

相続時精算課税制度とは?

配偶者へ居住用の不動産を贈与する

婚姻期間が20年以上の夫婦間であれば、マイホームやその購入資金の贈与について、最大2,000万円まで贈与税が非課税になります
基礎控除と合わせれば2,110万円まで税金がかかりません。

通常の暦年贈与では、相続開始前の一定期間内(3年〜7年)に行われた贈与は相続財産に加算されて課税されますが、この特例を利用した分はその対象外となります。

そのため、直前の贈与であっても確実な節税が可能です。
ただし、同じ配偶者からは一生に一度しか使えない制度であるため、利用するタイミングの見極めが大切です。

直系卑属へ住宅取得資金を贈与する

子や孫がマイホームを購入・増改築する際、父母や祖父母から資金援助を受けると一定額まで贈与税が非課税になります
非課税限度額は省エネ住宅で1,000万円一般住宅で500万円です。令和8年12月31日までの贈与が対象です。

対象者は、18歳以上かつ贈与年の合計所得金額が2,000万円以下などの要件を満たす直系卑属(子や孫)に限られます。
また、この特例を利用して贈与された資金は、相続発生時に相続財産への加算の対象外となるため、相続税対策としても非常に有効な手段です。

教育資金を一括贈与する

教育資金一括贈与の非課税制度は令和8年3月31日をもって新規受付が終了しましたが、同日までに契約・拠出を完了した資金については、引き続き最大1,500万円までの非課税措置が適用されます。

対象は30歳未満の子や孫が、父母や祖父母などの「直系尊属」から教育資金として受け取った財産です。
令和8年4月以降の新たな口座開設や追加の預け入れはできませんが、すでに贈与を済ませた分については、期限後もこれまで通り教育目的に限り非課税で引き出して使用できます。

教育資金の一括贈与は、規定の年齢到達時や相続発生時に残額があると、状況に応じて贈与税や相続税が課されます。
将来確実に使い切れる適正な金額を見極めることが重要です。

孫の学費を贈与したい!

結婚や子育ての資金を一括贈与する

18歳以上50歳未満の子や孫が、父母や祖父母などの直系尊属から結婚・子育て資金を一括贈与された場合、最大1,000万円まで贈与税が非課税になります
本制度の適用期限は、税制改正により令和9年3月31日まで延長されました。

この非課税枠のうち、挙式費用や新居への引っ越し代といった「結婚資金」に充てられるのは300万円までが上限となります。
ただし、結婚指輪の購入費や新婚旅行代などは対象外です。残りの枠は不妊治療費、妊婦健診、分娩費、子どもの保育料などの「子育て資金」に利用できます。

教育資金の一括贈与と同様に、規定の年齢到達時や相続発生時に残額があると、原則として贈与税や相続税の課税対象となることに注意が必要です。

相続税の非課税財産に関するQ&A

被相続人が運用していたNISA口座の資産は、相続時にも非課税のまま扱われますか?

NISA口座内の資産は、相続税の計算においては全額が課税対象となります
NISAの非課税特典は「利益に対する所得税や住民税」が免除される仕組みであり、財産そのものに課される「相続税」は免除されません。

そのため、他の預貯金や不動産などと同様に、被相続人が亡くなった日の時価で資産価値が評価され、遺産総額に合算されます。
遺産総額が基礎控除額を超える場合には、その金額に応じた相続税が発生します。

死亡保険金の受取人が相続人でなくても非課税枠はありますか?

受取人が相続人ではない場合、死亡保険金の非課税枠は適用されません

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が用意されており、利用できるのは受取人が相続人のケースに限られます。
また、死亡保険金にかかる税金は、保険料の負担者・被保険者・受取人の組み合わせによって、相続税・所得税・贈与税のいずれかになります。

なお、相続税が課税される場合、相続人以外が受け取るときは税額が2割増しになる「2割加算」の対象となるため注意しましょう。

相続税を計算してみたところ、0円でした。それでも申告は必要ですか?

使う控除や特例の種類によって、税額が0円でも申告が必要かどうかが分かれます。

相続財産の総額から、死亡保険金の非課税枠や葬儀費用などの債務を引いた課税遺産総額が基礎控除以下なら、申告手続きは不要です
また、基礎控除を超えていても「未成年者控除額」や「障害者控除額」を差し引いて0円になるなら原則申告は要りません。

しかし、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった特例は、税務署へ申告して初めて適用される特例です。
これらを使って税金が0円になる場合は必ず申告を行いましょう。

相続税が非課税になるもの・ならないものでお悩みの際はキークレア税理士法人にご相談ください

お墓や仏壇、生命保険の非課税枠、各種税額控除には大きな減税効果があります。
しかし、申告することが適用要件となっている特例や、生前贈与の方法、保険金受取人の選び方など、相続の仕組みは非常に複雑です。

判断を一歩間違えると、特例が使えなくなったり、本来不要な税負担やペナルティが生じたりするリスクもあります。

「どの資産が非課税になるのか知りたい」「生前対策の進め方を知りたい」などとお悩みなら、ぜひキークレア税理士法人にお任せください。
相続に強い税理士がご家族の財産状況を丁寧にシミュレーションし、最適なプランをご提案して、大切な財産を未来へ守りつなぐお手伝いをいたします

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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