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相続税対策の方法15選|節税のためにできること・注意点など

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

遺産を相続する際は、その相続財産の額によって相続税が課税されます。相続人の相続税の負担を軽減するには、生前のうちに相続対策をしておくことが重要です。

このコラムでは相続人が相続税の支払いに苦しむことがないように、どのような対策ができるかをご説明いたします。

相続税対策とは

相続税対策をすることで、何もしなかった場合よりも相続税を軽減できる可能性があります。

例えば、相続財産の評価額を減らしたり、控除や特例制度を利用したりすることが相続税対策になると言えます。

相続税は相続財産の課税評価額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える部分が課税対象になります。

このコラムでは次の15個の相続税対策を紹介いたします。

  1. 110万円以下の暦年贈与をする
  2. 相続時精算課税制度を利用する
  3. 教育資金の一括贈与を利用する
  4. 結婚・子育て資金の一括贈与を利用する
  5. 住宅取得等資金贈与を利用する
  6. 贈与税の配偶者控除を利用する
  7. 小規模宅地等の特例を利用する
  8. アパート・マンションを経営する
  9. 生命保険を活用する
  10. 会社を設立して承継する
  11. 死亡退職金の非課税枠を利用する
  12. 養子縁組で基礎控除を増やす
  13. 墓地・仏具を生前に購入する
  14. 財産を寄附する
  15. 家族信託を活用する

生前贈与を活用した相続税対策

生前贈与とは、生きている間に財産を贈与することです。生前贈与を活用した相続税対策には以下のようなものがあります。

  1. 110万円以下の暦年贈与をする
  2. 相続時精算課税制度を利用する
  3. 教育資金の一括贈与を利用する
  4. 結婚・子育て資金の一括贈与を利用する
  5. 住宅取得等資金贈与を利用する
  6. 贈与税の配偶者控除を利用する
【相続税対策】生前贈与の基礎知識|メリットや改正など

①110万円以下の暦年贈与をする

暦年贈与とは、1年間(1月1日から12月31日)に一人の人が受けた贈与額の合計が110万円以下であれば贈与税が非課税であることを利用して将来発生する相続税の負担を減らす方法です。

ただし、毎年同じ相手に同じ金額を贈与していると連年贈与とみなされる可能性があります。

例えば毎年110万年ずつ10年間贈与を続けた場合、最初から110万円×10年間=1,100万円を贈与する意図があったとみなされ、一度に1,100万円を贈与した場合の税率となってしまいます。

②相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度とは、生前に贈与した「2,500万円の特別控除額+110万円の基礎控除額×贈与年数」までは贈与税が非課税となり、相続時に相続時精算課税制度を用いて贈与した財産の贈与時の価額を相続財産に加算して相続税の課税対象とする制度です。

暦年課税と相続時精算課税制度のどちらを利用したらいいかは、贈与にかけられる時間や金額によって異なりますので詳細なシミュレーションが不可欠です。

また、一度選択すると暦年課税を使うことができなくなるので注意が必要です。

③教育資金の一括贈与を利用する

教育資金の一括贈与とは、親や祖父母から30歳未満の子や孫へ教育資金を非課税で贈与できる制度です。

贈与を受ける者の前年の所得が1,000万円以下であるという所得制限があります。2026年3月31日の贈与までが対象です。非課税限度額は受贈者一人につき1,500万円です。

この制度は教育資金口座を開設することで行い、教育資金の領収書等を提出することで贈与税が課税されることなくお金を引き出すことができます。

また、受贈者が30歳になった時点で口座の残高が贈与税の課税対象になります。

④結婚・子育て資金の一括贈与を利用する

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは、親や祖父母から結婚や子育てのため資金を非課税で贈与できる制度です。
受贈者は18歳以上50歳未満であること、また贈与を受ける前年の所得が1,000万円以下であるという所得制限があります。

2025年3月31日の贈与までが対象です。非課税限度額は受贈者一人につき1,000万円です。このうち、結婚式等の費用の限度額は300万円です。

この制度は結婚・子育て資金口座を開設することで行い、決められた期限までに領収書等を提出することで贈与税が課税されることなくお金を引き出すことができます。

また、受贈者が50歳になったなどの場合に契約が終了し、口座の残高が贈与税の対象になります。

⑤住宅取得等資金贈与を利用する

住宅取得等資金贈与とは、親や祖父母から住宅の購入や増改築のための資金を非課税で贈与できる制度です。
受贈者と取得する住宅にそれぞれ年齢や所得要件、床面積、居住についてなどの詳細な適用要件があります。

2026年12月31日までの贈与が対象です。非課税限度額は取得する住宅が省エネ等の基準を満たしていれば1,000万円、満たしていなければ500万円です。

適用要件が細かく設定されていますので、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

⑥贈与税の配偶者控除を利用する

贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産(または取得のための資金)を非課税で贈与できる制度です。

非課税限度額は2,000万円で、基礎控除額の110万円と合わせると2,110万円となります。婚姻期間の他にも適用要件があります。

取得資金を贈与するよりも、相続税評価額で評価される不動産を贈与した方が価格が低くなります。しかし、不動産を取得後すぐに贈与すると、取得資金の贈与とみなされる場合があります。

また、不動産取得税や登録免許税がかかることにも注意が必要です。

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不動産を活用した相続税対策

不動産を活用した節税対策には以下のようなものがあります。

  1. 小規模宅地等の特例を利用する
  2. アパート・マンションを経営する
不動産で相続税対策をする方法

⑦小規模宅地等の特例を利用する

小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅や事業に使用していた宅地等について、相続税の課税対象額を減額することができる制度です。

被相続人のこれらの宅地等は残された遺族の生活を維持するために大切な相続財産であるため設けられている制度です。

特例の対象となる宅地は、被相続人の自宅、個人事業、貸付事業、同族会社事業として使っていた宅地があげられます。例えば、自宅は「特定居住用宅地等」に該当し、330㎡までが80%減額されます。

この特例には詳細な適用要件がありますので、利用する場合は税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

⑧アパート・マンションを経営する

賃貸アパートやマンションを経営することで、次の節税効果を得られます。

  • 不動産を購入すると、購入した物件は相続税評価額で評価されるため、評価額を購入金額の7~8割程度の額まで下げることができる。
  • 借入金で購入した場合は借入金を債務として相続財産から控除できる。
  • 賃貸することで、土地を借りる権利(借地権)や建物を借りる権利(借家権)が発生し、自身が自由に使うことに制限がでるため、その分を考慮して評価額を下げることができる。
  • 一定の要件を満たすと小規模宅地等の特例のうち、「貸付事業用宅地等」が適用可能となる。

その他にできる相続税対策

その他にできる相続対策は次の通りです。

  1. 生命保険を活用する
  2. 会社を設立して承継する
  3. 死亡退職金の非課税枠を利用する
  4. 養子縁組で基礎控除を増やす
  5. 墓地・仏具を生前に購入する
  6. 財産を寄付する
  7. 家族信託を活用する

⑨生命保険を活用する

契約者と被保険者が被相続人で、相続人が受取人である死亡保険金は相続税の基礎控除額とは別に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。これは、死亡保険金には残された家族の生活保障という目的があるためです。

例えば、配偶者と子2人が相続人の場合、500万円×3人=1,500万円までが相続税の非課税枠となります。この額を、受け取った死亡保険金の額を限度として相続財産から控除することができます。

なお、相続人以外の受遺者には非課税枠の適用はありません。また、死亡保険金と同時に支払われることが多い入院給付金等にも非課税枠の適用がないことに注意が必要です。

生命保険が相続税対策におすすめ!税金がかからない範囲やデメリットについて

⑩会社を設立して承継する

会社を設立し法人に財産を売却することで、相続によって財産を承継するよりも税金を抑えて資産の移転をできる場合があります。

例えば被相続人が賃貸物件を所有している場合、法人を設立して個人所有の賃貸物件を法人に売却することで相続財産から賃貸物件がなくなります(所得税を支払ったあとの売却代金は被相続人の財産として残ります)。相続までの賃貸収入がなくなるので、財産の増加を防ぐことができます。

一方で、法人の設立には費用がかかり、赤字でも法人税が課税されますので、課税される相続税の税率が低い場合は逆に不利になる場合もあります。

法人の設立を検討する場合は、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

⑪死亡退職金の非課税枠を利用する

死亡退職金は被相続人が勤めていた会社に死亡退職金制度がある場合に受け取ることができます。

死亡退職金には受け取った金額を限度として「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
この額を、受け取った死亡退職金の額を限度として相続財産から控除することができます。相続税の基礎控除額や生命保険金の非課税枠と併用することができます。

相続人以外の人が受け取った退職手当金等には非課税枠の適用はありません。

⑫養子縁組で基礎控除額を増やす

養子縁組をして子ども(法定相続人)の数を増やせば相続税の基礎控除額や死亡保険金、死亡退職金の非課税枠が増えるため、相続税を減らすことができます。

養子縁組には「普通養子縁組」(実親との親子関係が継続する)と「特別養子縁組」(実親との親子関係が消滅する)があります。

「普通養子縁組」の場合、法定相続人に含める養子の数には制限があります。

  • 被相続人に実子がいる場合…1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合…2人まで

一方、「特別養子縁組」の場合は実子とみなされるため、制限はありません。

また、節税目的の養子縁組(相続開始直前に養子縁組し、かつその養子に全く相続させないなど)は認められません。

⑬墓地・仏具を生前に購入する

お墓などの祭祀財産(位牌,仏壇,墓碑,墓地など)は相続税の非課税財産とされています。そのため、お墓や仏壇がない場合、生前に購入しておくことで相続税の節税対策になると言えます。

ただし、社会通念上著しく高額な祭祀財産、お寺などに墓地用地を貸している場合、墓地に墓石が建っておらず売却可能な場合は非課税財産とはみなされない場合があります。また、ペット用の墓地は非課税財産には含まれません。

⑭遺産を寄附する

財産を継承した相続人が相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)までに下記へ寄付した場合、課税対象とはなりません。

  • 国や地方公共団体
  • 特定の公益法人または認定非営利活動法人(認定NPO法人)
  • 特定の公益信託の信託財産

なお、相続財産を売却するなどして現金化してから寄附をすると適用の対象外となるため注意が必要です。また、遺言による寄附も被相続人の遺志とみなされるため適用の対象外となります。

⑮家族信託を活用する

家族信託とは民事信託の一形態で、家族内で財産管理をする方法です。財産を所有する親が委託者及び受益者になり、子が受託者となって財産の管理・運用・処分をする例が多いです。

家族信託では信託財産を指定して、契約書を作成します。
直接的な節税効果はありませんが、認知症になって資産が凍結されてしまうことへの対策として家族信託は多く活用されています。

相続税対策を税理士に相談するメリット

相続税対策を税理士に相談することで、税負担を抑えながら財産を子孫に引き継ぐことができます。
また、税理士に相続税申告を依頼することで、税務調査や追徴課税のリスクを軽減することができます。

キークレア税理士法人には、相続・事業承継専門チームがあり相続税申告の経験が豊富なスタッフが在籍しておりますので、安心してお任せ頂けます。

また、生前贈与対策や二次相続対策、節税や相続税申告もサポートさせて頂きます。

相続税対策を行う際の注意点

相続税対策を行う際、過度な節税対策をしてしまうと税務署から認められない可能性があります。
どれくらいなら大丈夫か、と不安な場合は事前に税理士等の専門家に相談しましょう。

また、相続人同士で遺産分割協議をめぐってトラブルになる恐れもあります。対処法としては、相続財産の一覧を作成して財産を明らかにしておくこと、被相続人と相続人が相続開始前に十分に話し合うこと、遺言書を作成すること、などがあります。

また、相続対策の段階から弁護士や税理士等の専門家に相談しておくこともトラブル回避には有効です。

相続税対策をお考えなら、専門家であるキークレア税理士法人にご相談ください

相続税は被相続人が所有していた財産が課税対象です。しかし、相続財産の全てに課税されるわけではなく、相続後の相続人の生活を考慮した様々な減額制度があります。

全く何も対策をしないまま相続が開始してしまう場合と、そうでない場合とでは納付する税額に大きな差が出ます。

キークレア税理士法人には相続税専門のスタッフが在籍しており、生前の相続対策から相続税申告、さらには二次相続対策まで幅広くご対応させて頂きます。
相続対策をお考えなら、専門家であるキークレア税理士法人にぜひご相談ください。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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