法人の決算書の作成方法|基礎知識から作り方のポイントまでわかりやすく解説
目次
法人の場合、必ず事業年度ごとに決算書を作成しなければなりません。決算書は会社の経営状態を把握するためにも重要な書類です。
当コラムでは法人の決算書の作成手順、必要書類、ポイントなどを簡潔に、わかりやすく解説しております。
各パラグラフごとに、参考となる別のコラムのリンクを掲載しておりますので、より詳しく知りたいテーマにつきましては、是非そちらもご参照ください。
決算書とは
決算書とは、通称であり、「決算報告書」とも呼ばれています。
法人では決算書の作成が法律で義務付けられているのに対し、個人事業主の場合、決算書が必要なのは確定申告が青色申告の場合のみです。
決算書は、主に貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の5つの書類から構成されます。
貸借対照表は会社の財政状態を、損益計算書は経営成績を、キャッシュフロー計算書は資金の出入りを、株主資本等変動計算書は純資産の変動要因を、それぞれ表すものです。個別注記表とは他の決算書類からは読み取れない内容を補足説明するものです。
中でも重要視されるのは「財務三表」といわれる貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書です。
決算書の作成はなぜ必要?
決算書は、会社内部で活用する目的と、外部に報告する目的のために作成されます。
まず、会社内部では自社の財政状態や経営成績の把握に使われます。この結果を受けて、今後の経営方針の決定に生かすことができます。
次に、外部報告用です。第一に税務署への確定申告に利用されます。第二に会社の成績表として、銀行など金融機関への融資審査にも活用されます。
第三に株式会社の場合、会社の所有者である株主に報告し承認を得る必要があり、投資家や債権者などの利害関係者への報告することもあります。
決算書作成のために必要な書類
決算書の作成にあたっては、数値の根拠となる書類を用意することから始めます。
取引の根拠となる銀行の通帳や、領収書、請求書から、取引の実態に即した記帳を実施し、それを勘定ごとに取りまとめることで、会社の事業年度内の事業活動が見えてきます。
具体的に重要な3つの書類について解説いたします。
総勘定元帳
総勘定元帳とは勘定科目ごとに取引が記録されている帳簿で、すべての会社で作成が義務づけられております。仕訳帳で記帳された内容が、総勘定元帳に転記されてきます。
保存期間はその事業年度の確定申告書提出期限の翌日から7年間となります。膨大な枚数になるため、転記の際にミスも起きやすく、会計ソフトを利用するのがおすすめです。
領収書綴り
領収書綴りとは、領収書を綴じこんだ重要な会計書類のひとつで、すべての会社で作成が義務づけられております。
領収書は金銭の支払いの証拠となりますので、あとで領収書を確認したいときや、税務調査時にも大きな役割を果たします。
領収書の保存期間は、原則、法人は7年、個人事業主は青色申告の場合は7年、白色申告の場合は5年となっております。
勘定科目内訳明細書
勘定科目内訳明細書とは、貸借対照表や損益計算書の、特定の16種項目の勘定科目について内訳を示したものです。
法人税の申告書の添付書類のひとつで、法令によって提出が義務付けられております。
正確な開示が求められるため、会計ソフトなどを利用して、日々きちんと帳簿をつけておくとよいでしょう。
法人の決算書の作成方法
- 当年分の取引を反映した記帳を行う
- 決算整理仕訳を行う
- 仕訳した勘定科目ごとに総勘定元帳へ転記する
- 試算表を作成する
- 決算書を作成する
- 各種税金の申告書の作成・納税を行う
①当年分の記帳を行う
- 記帳に必要な資料を集める。
- 通帳のコピーや領収書・請求書を整理し、取引実態を正確に反映した記帳を完成させる。
- 領収書・請求書の整理し、領収書綴り作成する。
- 帳簿のデータと実際の残高を突き合わせ、内容が合致するかを確認する。
【記帳に必要な書類】
- 通帳
- 領収書
- 請求書
- オンラインバンキングの利用明細 など
②決算整理仕訳を行う
決算整理仕訳とは、事業年度をまたぐ取引について、今期分と来期分に期間配分する作業の事です。
決算整理仕訳によって期中に行った仕訳の修正や追加を行うことになり、正確な貸借対照表と損益計算書の作成が可能となります。
具体的には次のような処理を行います。
- 売上原価の計算
- 経過勘定の計上
- 減価償却費の計上
- 有価証券の評価替え など
③仕訳した勘定科目ごとに総勘定元帳へ転記する
仕訳した各勘定科目を、勘定ごとに総勘定元帳に転記します。総勘定元帳は、決算書を作成するうえで特に重要な種類となります。
手作業で転記すると、数字の間違いや転記漏れなどミスが起こりがちなので、会計ソフトを使うなどして事前にミスを防ぐことがとても重要です。
④試算表を作成する
試算表とは、仕訳帳から総勘定元帳に正確に転記されているか検証するために、決算書の前段階で作成する書類で、記帳の整合性をチェックするための集計表としての役割を持ちます。
試算表の借方、貸方の合計値が一致しているかどうか確認し、合計値が異なる場合には仕訳やデータ入力にミスがあるため見直しが必要となります。
⑤決算書を作成する
試算表に問題がなければ決算書を作成します。決算書の作成には膨大な資料と時間、正確な会計の知識が必要とされます。
スピーディーかつ正確に決算書を作成するためには、会計ソフトや税理士などの専門家の利用が有効です。
貸借対照表 | 期末時点における、会社の財政状態を表す決算書のひとつ。 |
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損益計算書 | 会計年度中の、会社の経営成績を表す決算書のひとつ。 |
キャッシュ・フロー計算書 | 会計年度中の、資金の出入りを表す決算書のひとつ。 |
⑥各種税金の申告書の作成・納税を行う
決算書を作成し、残高が確定したら、各種税金の申告書を作成し、適正に納税しなければなりません。
法人が申告する主な税金は「法人税」(「法人所得税」、「法人住民税」、「法人事業税」)と「消費税」です。
法人の税務申告には非常に複雑な計算が必要となるだけでなく、税金の種類によって申告先が異なるなど、計算以外の実務的な知識も必要となります。
そのため、税金の計算や申告を税理士に依頼する企業が圧倒的に多いです。
なお、申告書の作成は税理士の独占業務であり、税理士以外に頼むと違法となるため注意が必要です。
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効率的に決算書を作成するためのポイント
決算書の作成には手間と時間がかかり、何より専門的な知識が不可欠です。
そのため、自社で毎日に記帳を行い、決算書を作成するのは、非常に効率が悪く、本業に支障をきたすおそれがあります。
決算書の作成を効率化するポイントとは、会計ソフトを活用すること、そして、税務及び会計の専門家である税理士に依頼することです。
会計ソフトを活用する
本業が忙しくつい記帳を後回しにしてしまうと、決算前に膨大な作業をすることになり、ミスも起こりやすくなります。
そのため、日頃からしっかりと帳簿付けをすることはとても大切です。ただし、毎日発生する取引を手書きやエクセルで記帳するのは非常に大変です。
会計ソフトを使えば、日々の仕訳にかかる手間と時間を大幅に削減できます。また、入力したデータをもとに、仕訳帳や総勘定元帳だけでなく、試算表や決算書の作成も自動で作成できます。
税理士に依頼する
決算書を自社で作成するのは非常に大変です。記帳には専門的な知識と、膨大な手間がかかり、多くの時間を失う可能性が高いです。
更に、法人の税金の仕組みは複雑なうえ、頻繁に税制改正があります。決算書や税金の計算にミスが発生し、思わぬペナルティを課されることになる可能性もあります。
税務及び会計の専門家である税理士に依頼することで、正確な決算書をスピーディーに作成できるというメリットが生じます。
そのため、決算業務という煩雑な手続きを任せることができるため本業に専念することができます。
また、税金の計算も正確にできる税理士であれば、決算書の作成から納税まで、安心して任せることができます。
決算書の作成・申告サポートはキークレアにお任せ下さい!
キークレアグループでは、決算書の作成から税務申告までしっかりサポートさせていただきます。
また、経理体制整備や、経理代行サービスも充実しております。記帳から、決算書の作成、各種税金の申告まで、すべて代行することも可能です。
また、グループ傘下に財務コンサルティング法人がございますので、財務分析や資金調達のご相談も可能です。
また、決算書作成を効率化できるクラウド会計導入支援サービスも行っております。
更に、社労士法人、行政書士法人、不動産事業も実施しております。
お客様の様々なニーズに対し、ワンストップでお応えできるところが、キークレアグループの最大の強みです。
決算書の作成を税理士に依頼した場合の費用は?
決算申告のみを依頼した場合の費用相場は15万~25万円程度と言われておりますが、会社の規模や売上高、従業員数などによって異なります。
顧問契約した場合は、顧問料とは別に決算申告費用が発生いたします。その場合は月額顧問料の4~6か月分程度がひとつの目安となります。
顧問契約をした場合、毎月出費が発生してしましますが、その分、節税対策、融資のアドバイス、経営相談など、より手厚いサポートを受けられるというメリットがございます。
決算書はいつまでに作成する?提出期限について
原則として、法人税や消費税は、決算日の2か月以内に申告しなければなりません。そのため、これに間に合うように決算書を作成する必要があります。
しかし、これには例外があります。会社法上、事業年度終了の日から3か月以内に株主総会を実施すればよいとなっております。
株主総会は決算書承認の場でもありますので、その承認があるまで、決算書は確定できないという事になります。
そのため、定款により、株主総会の開催日を「事業年度終了の翌日から3ヶ月以内」と定めている場合、法人税の申告期限を1ヶ月延長することができます。(但し、事前に申告期限の延長の特例の申請が必要です。)
財務・会計全般の指導を通して、将来のビジョン達成のための決算書作成をキークレア税理士法人がサポートいたします。
期末近くになってからまとめて記帳をすると、本業に支障が出たり、ミスを誘発する原因となります。
そのため、決算書の作成では日々の経理業務をしっかり行うことが重要です。
決算書の作成をスピーディかつ正確に進めるためには、会計ソフトの活用や税理士への依頼がおすすめです。
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