財務指標とは?見方と財務分析に特に重要な指標一覧

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

財務指標とは、会社の業績や財務状態などを確認する為の指標です。

この数値を元に今後の経営判断や経営戦略の構築、現状確認を行う事ができます。

自身の肌感や直感ではなく、企業情報を見えるように数値化し、信憑性のある根拠を持って経営をしていくことがとても重要です。

財務指標とは

財務指標とは財務分析を行うための会社の状態を数値化したものになります。

財務分析を行うことで会社の収益性や安全性、生産性、成長性などを確認する事ができます。

自社の業績や経営状況を知ることで、適切な経営判断を下すことができるようになるため、とても重要な指標となります。

財務指標は主に決算書キャッシュフロー計算書の数値より算出する事が出来ます。

貸借対照表 会社の資産や負債、自己資本
資産:現預金、売掛金など
負債:未払金、買掛金、借入金など
自己資本:設立から現在までの利益の蓄積
損益計算書 売上から原価、販売管理費、当期純利益を表記したもの
キャッシュフロー計算書 会社のお金の動きを表現した資料
キャッシュフロー計算書の見方・読み方と経営分析のポイント

財務指標が重要視される理由

自社の経営状態を客観的に把握できる

財務指標を数値化する事で、肌感覚ではなくリアルな財務状況を知ることができます。

金額だけではなく比率でも表されるため、問題点を見つけやすく、企業規模や業種にとらわれずに客観的な分析が可能となります。

数値をきちんと追うことができている会社は目標値へのアプローチの仕方が明確となり、今後の舵取りがやり易くなります。

逆にそうでない会社は、目標到達点までに何が足りないのか、何を変更しないといけないのかが分からず道に迷う状態となります。

財務指標を理解する事で、長期的な企業運営を前提とした経営戦略を立てられるのはもちろん、財務上の危機をいち早く察知する事が出来ます。

他社と客観的に比較できる

同業他社との比較から自社の強み・弱みを客観的に把握でき、他社と取引する際の与信判断や、銀行融資の審査項目にもなります。

財務分析に特に重要!【財務指標一覧】

財務分析では財務指標をもとに企業の経営状況を調べる事ができます。

財務指標は得られる内容や目的によって「収益性」「安全性」「生産性」「成長性」の4種類に分類します。

①収益性分析 会社がどれぐらい利益を上げているか
②安全性分析 借入返済能力や会社の負債に対する支払能力
③生産性分析 会社の資産や人的資本を効率よく売上や利益に繋げているか
④成長性分析 会社がどれほど成長したか、または成長していくか

①収益性分析の指標

収益性分析とは会社が利益をどれ位上げているのかを見る指標となります。

基本的には率が高い方が良いとされています。(業種によって変動はあります)

財務指標 計算式 分析内容・見方
売上高総利益率 売上総利益÷売上高×100 売上高に対してどのくらい粗利があるかを見る指標。
売上高営業利益率 営業利益÷売上高×100 売上高に対してどのくらい営業利益があるかを見る指標。
売上高経常利益率 経常利益÷売上高×100 売上高に対して営業利益から営業外収益・費用を足し引きした額がどのくらいあるかを見る指標。
総資本回転率 売上高÷総資本×100 会社所有の資本が有効に使えているかを見る指標。
自己資本当期純利益率(ROE) 当期純利益÷自己資本 自己資本でどれだけ利益を上げたかを見る指標。
総資産利益率(ROA) 当期純利益÷総資本 会社所有の総資本でどれだけ利益を上げたか見る指標。
売上高総利益率
計算式 売上総利益÷売上高×100
分析内容・見方 売上高に対してどのくらい粗利があるかを見る指標。
売上高営業利益率
計算式 営業利益÷売上高×100
分析内容・見方 売上高に対してどのくらい営業利益があるかを見る指標。
売上高経常利益率
計算式 経常利益÷売上高×100
分析内容・見方 売上高に対して営業利益から営業外収益・費用を足し引きした額がどのくらいあるかを見る指標。
総資本回転率
計算式 売上高÷総資本×100
分析内容・見方 会社所有の資本が有効に使えているかを見る指標。
自己資本当期純利益率(ROE)
計算式 当期純利益÷自己資本
分析内容・見方 自己資本でどれだけ利益を上げたかを見る指標。
総資産利益率(ROA)
計算式 当期純利益÷総資本
分析内容・見方 会社所有の総資本でどれだけ利益を上げたか見る指標。
営業利益率とは?算出方法・目安・数値を高める方法 経常利益率とは?営業利益率との違いや目安・計算方法について ROEとROAの違いとは?各特徴や注意点をわかりやすく解説 ROEは高い方がいい?ROEを高める方法や注意点を解説

②安全性分析の指標

安全性分析とは会社の支払する能力を見る指標になります。

この数値が高い程、負債・資本の内訳が安定していることになります。

財務指標 計算式 分析内容・見方
流動比率 流動資産÷流動負債×100 流動負債に対して流動資産の割合を見る指標になります。流動資産はすぐにキャッシュ化できるもの、流動負債はすぐに支払わないといけないもの。流動資産が多い程会社の短期的な支払能力が高いといえます。
固定比率 固定資産÷自己資本×100 会社の資産に対する固定資産の比率を見る指標。適切な設備投資を行っているか判断できます。
自己資本比率 自己資本÷総資本×100 総資本に対して自己資本がどれだけあるのかを見る指標になります。高ければ高い程、健全な経営ができているといえます。
負債比率 負債÷自己資本×100 自己資本に対して負債がどれくらいの割合あるかを見る指標。負債比率100%以下なら比較的安全性が高いといえます。
流動比率
計算式 流動資産÷流動負債×100
分析内容・見方 流動負債に対して流動資産の割合を見る指標になります。
流動資産はすぐにキャッシュ化できるもの、流動負債はすぐに支払わないといけないもの。
流動資産が多い程会社の短期的な支払能力が高いといえます。
固定比率
計算式 固定資産÷自己資本×100
分析内容・見方 会社の資産に対する固定資産の比率を見る指標。
適切な設備投資を行っているか判断できます。
自己資本比率
計算式 自己資本÷総資本×100
分析内容・見方 総資本に対して自己資本がどれだけあるのかを見る指標になります。
高ければ高い程、健全な経営ができているといえます。
負債比率
計算式 負債÷自己資本×100
分析内容・見方 自己資本に対して負債がどれくらいの割合あるかを見る指標。
負債比率100%以下なら比較的安全性が高いといえます。

③生産性分析の指標

会社の従業員や設備など、資産を効率よく使えているかどうかを見る指標になります。

ヒト・モノ・カネという経営資源を上手く活用し、売上や利益(付加価値)に繋げているかを確認できます。

比率が低いと上手く活用できていないかもしれない為、注意が必要です。

財務指標 計算式 分析内容・見方
労働分配率 人件費÷付加価値額×100 付加価値に対して人件費がどれくらいあるのかを確認する指標。
人件費が適正かを判断する事ができます。
労働生産性 付加価値額÷平均従業員数 従業員1人がどれくらいの付加価値を出しているのかを確認する指標。
資本生産性 自己資本÷総資本×100 所有している機械設備や土地・建物等がどれくらいの付加価値を出しているのかを確認する指標。
労働分配率
計算式 人件費÷付加価値額×100
分析内容・見方 付加価値に対して人件費がどれくらいあるのかを確認する指標。
人件費が適正かを判断する事ができます。
労働生産性
計算式 付加価値額÷平均従業員数
分析内容・見方 従業員1人がどれくらいの付加価値を出しているのかを確認する指標。
資本生産性
計算式 付加価値額÷固定資産
分析内容・見方 所有している機械設備や土地・建物等がどれくらいの付加価値を出しているのかを確認する指標。

④成長性分析の指標

今までに会社がどのように成長してきたか、今後の成長はどうなるのかを確認する指標になります。

財務指標 計算式 分析内容・見方
売上高成長率(増収率) 当期売上高-前期売上高÷前期売上高×100 前期と比較して、今期はどれくらい売上高が伸びたのかを確認する指標。
経常利益成長率(増益率) 当期経常利益-前期経常利益÷前期経常利益×100 前期と比較して、今期はどれくらい経常利益が伸びたのかを確認する指標。
営業利益成長率 当期営業利益-前期営業利益÷前期営業利益×100 前期と比較して、今期はどれくらい営業利益が伸びたのかを確認する指標。
総資本成長率 当期総資本-前期総資本÷前期総資本×100 前期と比較して、今期はどれくらい総資本が伸びたのかを確認する指標。
売上高成長率(増収率)
計算式 当期売上高-前期売上高÷前期売上高×100
分析内容・見方 前期と比較して、今期はどれくらい売上高が伸びたのかを確認する指標。
経常利益成長率(増益率)
計算式 当期経常利益-前期経常利益÷前期経常利益×100
分析内容・見方 前期と比較して、今期はどれくらい経常利益が伸びたのかを確認する指標。
営業利益成長率
計算式 当期営業利益-前期営業利益÷前期営業利益×100
分析内容・見方 前期と比較して、今期はどれくらい営業利益が伸びたのかを確認する指標。
総資本成長率
計算式 当期総資本-前期総資本÷前期総資本×100
分析内容・見方 前期と比較して、今期はどれくらい総資本が伸びたのかを確認する指標。

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財務指標を上手く活用するためのポイント

目的を明確にする

財務指標を使用する目的を明確にすることが重要です。目的によって必要な指標が異なるため、目的を明確にすることで適切な指標を選択し分析する事が出来ます。

複数の指標を組み合わせる

財務指標を単独で見るのではなく、複数の指標を組み合わせ分析する事が重要です。

時間軸を考慮する

財務指標は現在だけでなく、過去数年の指標の推移を分析する事で、企業の財務状況の変化を把握する事ができます。

業界平均と比較する

同じ業界に属する企業の指標と比較する事で、自社の強みや弱みを客観的に評価する事が出来ます。
また、業界平均と比較する事で、業界全体のトレンドを把握する事が出来ます。

できるだけ複数の指標を活用する

財務指標を複数活用することには以下のようなメリットがあります。

  1. 総合的な分析が可能になる
    複数の財務指標を使用することで、企業の財務状況をより総合的に分析できます。単一の財務指標だけを使用する場合よりも、より詳細かつ正確な財務分析が可能になります。
  2. 財務リスクの把握が容易になる
    複数の財務指標を比較することで、企業の財務リスクをより正確に把握することができます。たとえば、企業の負債比率が高く、流動比率が低い場合、企業が財務的に危険である可能性が高いことが示唆されます。
  3. 企業の成長性を評価できる
    売上高の成長率や利益率の増加傾向など、複数の財務指標を使用することで、企業の成長性をより正確に評価することができます。このような指標を比較することで、企業が将来的に成長する可能性が高いかどうかを判断することができます。

平均値や他社の数値にとらわれない

平均値や他社の数値は、業界全体の傾向を知る上で有用な情報ですが、企業の個別性や事情を考慮した独自の分析が必要です。

例えば業界平均よりも収益性が低い場合でも、その企業が新しい製品開発に多額の費用を投資していた場合、収益性が低いことは戦略的に行った結果となります。

そのため、財務分析を行う際には、単純な平均値や他社の数値にとらわれるのではなく、企業の個別性や事情を考慮した独自の分析が必要です。

企業財務・経営に関するお悩みはキークレア税理士法人にご相談下さい。

企業財務・経営に関する悩みは、経営者や担当者にとって深刻な問題です。特に、財務に関する知識や経験が不十分な場合は、課題解決に時間がかかるばかりか、財務リスクの増大につながることもあります。

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