事業計画におけるキャッシュフローの必要性や計算書の作成方法

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

キャッシュフローとは直訳するとお金の流れであり、事業を継続する上で最も重要な財務諸表といえます。

ここでは、具体的なキャッシュフローの基礎、見方、作成方法等を解説していきます。

事業計画書におけるキャッシュフロー

事業計画書を作成する際には、同時にキャッシュフローも予測・作成するのが通常です。
事業計画における最終利益から、実際にはお金の出入りが時差で起こったり、貸借対照表科目によるお金の変動があったりするため、最終利益と手元資金は異なるためです。

よって、資金繰りも加味した上での事業計画書作成が重要となります。

キャッシュフローとは?

キャッシュフローとは、一定期間の現金の流れ(流入と流出)を示したものです。現金が会社にどれだけあり、将来にわたってどうなっていくのか予測していくためにも必要になります。

手元に現金がなければ、仕入れもできず、給与も払えません。
それほどに現金管理は重要であり、キャッシュフローが大きな役割を担っていると言えるのです。

キャッシュフローの必要性

キャッシュフローに注目することで、黒字倒産の危険性を予測・回避することができます。

黒字倒産とは、損益計算書(PL)上で利益が残っているにも拘らず、借入返済や資産の購入等により資金の流出が利益より大きくなり、手元資金が不足することで倒産に陥ることを言います。

こういったことを避け、資金繰りをしっかり把握するためにもキャッシュフローは重要です。

また、融資の申込や中期計画を策定する際にもキャッシュフロー計算書を同時に作成し添付する必要があります。
どのような理由で資金の減少、増加が起こって、将来どの様になっていくのか、把握し予測することで、安心して事業を継続することができるのです。

キャッシュフロー計算書とは

キャッシュフロー計算書とは、上述したキャッシュフローを明確化した書類のことを言います。
書類の成り立ちとしては、資金の流れによって3つ(営業活動によるキャッシュフロー・投資活動によるキャッシュフロー・財務活動によるキャッシュフロー)に分けることが出来ます。

また、このうち、営業活動によるキャッシュフローは間接法と直接法の2種類の作成方法があります。
以下に詳細を解説していきます。

営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローとは、本業による営業活動によって生じたキャッシュの増減を表しており、プラスであることが原則です。合計値がプラスであれば、本業によって現金も増えていることを表し、企業経営として良好な状態といえます。

プラスになった現金は、借入返済の原資や、将来に向けた新たな投資に充てることが出来ます。
逆にマイナスの場合は、本業が不振である可能性が高く、早急に対処すべきといえます。

営業活動によるキャッシュフローの構成(直接法)

本業による現金収入(現金収入、売掛金回収等) プラス
本業以外による現金収入(雑収入、受取利息等) プラス
本業による現金支出(原価、販管費等の支出) マイナス
本業以外による現金支出(支払利息、特別損失等の支出) マイナス

営業活動によるキャッシュフローの構成(間接法)

当期純利益 プラス
減価償却費等の現金流出のない費用 マイナス
売掛金 プラス・マイナス
棚卸資産 プラス・マイナス
買掛金 プラス・マイナス
その他 プラス・マイナス

投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローは、設備投資や資産運用によるキャッシュの増減を表しています。事業拡大の際にはマイナスになることが多い項目と言えます。

投資活動によるキャッシュフローの構成

有価証券等の購入 マイナス
有価証券等の売却 プラス
有形固定資産の取得 マイナス
有形固定資産の売却 プラス

財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローは、資金の借入や返済によるキャッシュの増減を表しています。プラス・マイナスどちらが良いということは明言できません。

事業のためにどのようにお金を調達(プラス)し、どのように返済しているのか(マイナス)等を把握して実行することが重要です。

財務活動によるキャッシュフローの構成

借入による現金収入 プラス
借入の元本返済による現金支出 マイナス
株式発行による現金収入 プラス 等

直接法と間接法の違い

営業活動によるキャッシュフローの作成方法として2種類あります。

間接法

損益計算書の税引前当期純利益から調整科目を加算・減算して計算する手法。

  • メリット:簡便に作成可能
  • デメリット:明確な金額は把握できない
直接法

現金収入や現金支出を主な取引ごと(売上収入、仕入支出、人件費支払支出、経費支払支出等)に一つ一つ把握して計算していく手法。

  • メリット:明確に金額を把握できる
  • デメリット:細かなデータが必要、作成時も手間がかかってしまう

国際会計基準では直接法を推奨されていますが、実情としては手間も考えて間接法が主に活用されています。

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キャッシュフロー計算書の作成は専門家に相談すべき

今までにご説明してきたとおり、キャッシュフロー計算書は損益計算書(PL)とは違った視点・手法で作成することになるため、比較的高度な専門性を要します。資料作成時には、損益計算書(PL)貸借対照表(BS)との関連性も理解していなければなりません。

また、専門家が関与せずに作成すると、間違いが発生する可能性もあります。
自身で作成も可能ではありますが、専門家に任せるもしくは教わる方が時間短縮になって良いのではないかと思います。

キークレアでの事例やメリット

キークレアグループでは、融資の際や中期計画作成の際に、キャッシュフロー計算書作成支援を実施しています。

相談事例

  • これまで成り行き経営
  • コロナ融資の資金は潤沢だが今後の返済が不安

解決方法

  • 早期経営改善計画(補助金事業)を活用
  • ヒアリングしたビジョンをもとに将来稼ぐべき利益を設定し、資金繰りも加味したPL・BS・CFを作成の上、最終成果物としてフィードバック

ご自身で作成することが困難でも、私達に想いをお聞かせいただくことで、専門性を持って作成支援をし、社長の想いを形にすることができると考えています。
実際に数値化されたキャッシュフローを確認して頂ければ、安心した経営ができると同時に明確な目標に向かって業務を遂行できると思います。

キャッシュフロー計算書の作成

作成方法としては以下のとおりです。

  • 1
    貸借対照表の科目の増減を分析(場合によっては損益計算書も分析)
  • 2
    貸借対照表の増減額をキャッシュフローに換算
  • 3
    キャッシュフロー計算書の科目に整理し記載

貸借対照表(BS)はあまり見慣れない財務諸表かもしれませんが、これにより「資金の調達方法と、その資金の運用先」が可視化されているのです。貸借対照表(BS)を確認しながら、キャッシュの増減を計算していくことになります。

なお、これら数値の確認・作成の際には、マネーフォワードの活用をおすすめします。そして、キークレアグループでは、マネーフォワード導入のサポートも可能です。

マネーフォワードを活用して税理士と連携するメリットは?

必要な資料

キャッシュフロー計算書を作成する際に必要な資料は以下のとおりです。

  • 貸借対照表(BS)
  • 損益計算書(PL)
  • 固定資産の取得・譲渡書類
  • 有価証券の取得・譲渡書類
  • 新株発行に関する書類  等

項目ごとの加減

営業活動、投資活動、財務活動それぞれの項目ごとに必要となる加減の調整科目を概算で記載しています。

プラスの項目 マイナスの項目
営業活動によるキャッシュフロー
  • 売掛金の減少
  • 棚卸資産の減少
  • 買掛金の増加
  • 減価償却費
  • 売掛金の増加
  • 棚卸資産の増加
  • 買掛金の減少
投資活動によるキャッシュフロー
  • 固定資産の減少・売却
  • 有価証券の売却
  • 貸付金の減少
  • 固定資産の増加・購入
  • 有価証券の購入
  • 貸付金の増加
財務活動によるキャッシュフロー
  • 借入金の増加
  • 社債の増加
  • 借入金の減少
  • 社債の返済

事業計画やキャッシュフローに関してはキークレア税理士法人にご相談ください

以上の通り、自社のキャッシュフローを把握・予測することは、事業継続において大変重要です。融資申込みの際だけでなく、黒字倒産を回避するためにも、常に自社のキャッシュが問題ないのか知っておく必要があります。

また、その反面、キャッシュフロー計算書を作成する難しさがあり、手間がかかるのも事実です。 キークレアグループでは、マネーフォワードを活用したクラウド会計で数値を迅速に確定しつつ、税務・財務の観点から、現状把握や計画策定時にキャッシュフロー計算書の策定支援も行なっております。

自社の事業継続のためにも、お気軽にお問い合わせください。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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