役員貸付金の問題点は?解消方法6つを税理士が解説
目次
役員貸付金とは、簡単に言えば会社が役員にお金を貸している状態のことです。
ついつい「自分の会社だから」と財布を一緒にしてしまいがちですが、銀行融資を受ける際に大きなマイナス要因になってしまいます。また、場合によっては、放置すると追徴課税の恐れがあります。
そこで今回は、役員貸付金が抱えるリスクや具体的な消し方について、私たちキークレアがプロの視点で分かりやすく解説します。
役員貸付金とは?
役員貸付金は、会社から役員個人にお金を貸し付けることを指します。
特にオーナー企業では、公私の区別が曖昧になりやすく、よく発生する項目です。
発生する主な理由
- 役員個人の私的な生活費や納税への充当
- 経費として認められない支出の肩代わり
- 領収書がなく、使途が説明できない支出
- 役員報酬が足りない際の一時的な引き出し
こうした積み重ねが、気づけば大きな金額になってしまうのです。
「役員借入金」との違い
よく似た言葉で「役員借入金」がありますが、これは貸付金とは逆で、役員が会社にお金を貸している状態です。
会社にお金が足りない時や、創業時に社長が資金を出した際などに発生します。
こちらは会社にとって「いつか返せばいい身内の借金」なので、銀行も好意的に見てくれることが多いですが、貸付金の方はそうはいきません。
正反対の性質を持つものなので、しっかり区別して覚えておきましょう。
役員借入金の基礎知識と減らす方法6選【税理士監修】役員貸付金があることの問題点
役員貸付金が残っていると、経営上、主に以下の3つの大きなデメリットがあります。
- 銀行などの金融機関からの評価が大幅に下がる
- 実際には入ってこない「利息」に法人税がかかる
- 万が一の時、相続人に「個人の借金」として引き継がれる
どれも放置して良いことは一つもありません。
次の項目から、それぞれの問題点についてもっと詳しく見ていきましょう。
金融機関からの評価が下がる
銀行は融資の際、貸したお金が正しく事業に使われるかを厳しく見ます。
決算書に貸付金があると、「貸したお金がまた社長のプライベートに消えるのでは」と疑われてしまいます。
また、貸付金は資産価値がないものとみなされ、自己資本から差し引いて計算されることもあります。そうなると、表面上は自己資本がプラスであっても、貸付金により実態評価としては債務超過となる場合があり、融資が難しくなる恐れもあります。
健全な資金調達のためには、発生原因の追求と解消方法を決定し、真っ先に解消しなければなりません。
受取利息により法人税が増える
たとえ無利息で貸していても、税務上は「適正な利息」を受け取ったものとして扱われます。これを認定利息といいます。
2026年現在の利率に基づいた利息を収益として計上しなければならず、実際には1円も入ってきていないのに、法人税だけが増えてしまうのです。
税務調査でも真っ先にチェックされるポイントなので、利息を計上していない場合は特に注意が必要です。
債務として相続人に引き継がれる
役員が貸付金を返せないまま亡くなった場合、その債務は相続人に引き継がれます。会社に関わっていない家族が、突然「会社への借金」を背負うことになるのです。
また会社側としても、相続人から回収するのは現実的に難しく、最終的に「役員退職金」などで処理せざるを得なくなり、会社と個人の両方に重い税金がのしかかるという最悪のケースも考えられます。
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役員貸付金の消し方【解消方法6選】
役員貸付金は会社にとって大きな足かせです。だからこそ、無理のない範囲で少しずつ、確実に解消していくことが重要になります。
解消するための6つの方法
- 役員報酬を増やして返済に充てる
- 自分の資産を会社に買い取ってもらう
- 退職金と相殺する
- 個人でローンを組んで返す
- 役員借入金があれば相殺する
- 債務免除を行う
それぞれの具体的な内容について順番に解説していきます。
①役員報酬の一部を返済に充てる
役員報酬を増やし、その増えた分を返済に回すという、最もオーソドックスな方法です。
法人の利益を削れるので法人税は減りますが、個人の所得税や社会保険料は上がってしまいます。会社と個人のトータルの手残りがどうなるか、しっかり計算した上で行うのが鉄則です。
場合によっては、報酬額を変えずに手取りから地道に返していく計画も必要になります。
役員報酬で節税できる節税効果をより高める5つの方法②個人資産を会社に売却する
役員が持っている車や不動産などを会社に時価で売り、その代金と貸付金を相殺する方法です。
一気に大きな金額を消せるのが魅力ですが、売買価格には注意する必要があります。時価より高すぎても低すぎても、税務署から厳しく指摘されるリスクがあります。
また、不動産の場合は名義変更の登記費用や税金がかかるので、トータルのコストを見極めてから実行するのが賢明です。
③役員退職金を返済に充てる
将来受け取る退職金でまとめて相殺する方法です。退職金は税制面で非常に優遇されているため、所得税の負担を最小限に抑えつつ、大きな貸付金を消し込むことができます。
ただし、退職するまで貸付金が決算書に残り続けるため、銀行評価は低いままという弱点もあります。また、あまりに多額の退職金だと「高すぎる」として税務署に経費(損金)と認められないリスクもあるため、慎重な設計が必要です。
④役員が借入をして返済する
役員個人が銀行から融資を受けて、会社へ一括返済する方法です。
会社の決算書は一瞬で綺麗になり、銀行の格付けも改善されます。しかし、個人側に借金が残りますので利息負担を含めた返済計画が重要になります。
その他、個人契約の生命保険の契約者貸付を利用する方法もありますが、金利などの条件をよく確認しなければなりません。あくまで「会社の見た目を整える」ための最終手段と言えるでしょう。
⑤役員借入金と相殺する
もし社長が会社にお金を貸している「役員借入金」があるなら、それと貸付金をぶつけて相殺するのが一番簡単です。
現金の動きもありませんし、税金も一切かかりません。決算書の見た目がすっきりするだけなので、これを使えるなら真っ先に行うべきです。
ただ、現実にはすでに相殺した上で、それでも貸付金が残ってしまっているケースが多いため、他の方法と組み合わせて考えるのが一般的です。
⑥債務免除をする
会社側で「貸したお金は返さなくていいよ」と放棄する方法です。
貸付金はすぐに消えますが、免除した分は役員への「賞与」扱いになります。会社では経費にできず、個人には所得税や住民税がかかってしまうため、税務負担は大きいです。
役員が自己破産するなどの極端な状況でない限り、安易に選んではいけない手段と言えます。
キークレアが節税も踏まえた最適な方法をアドバイスいたします!
役員貸付金をどう減らすかは、単なる計算の問題ではありません。
法人税、所得税、社会保険料、そして何より銀行からの信頼と、これら全てをバランスよく整える「全体最適」を検討します。
キークレアでは、税務のプロとしての判断はもちろん、財務コンサルティングの視点から「会社にキャッシュを残すための最適解」を一緒に考えます。
例えば、不動産売却のタイミングや退職金設計など、貴社の状況に合わせたオーダーメイドの解消プランを作成します。経理代行や体制整備も得意としていますので、そもそも貸付金が発生しない仕組み作りからサポート可能です。
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会社を廃業する場合、役員貸付金はどのように取り扱われますか?
廃業して会社をたたむ時、役員貸付金は「回収すべき財産」として残ります。
もし返せないまま清算すると、最後は「債務免除」として処理され、役員個人に多額の所得税がかかる可能性があります。
ですので、解散の手続きに入る前に、役員報酬や退職金と少しずつ相殺しておくなど、出口を見据えた事前の整理が非常に重要になってきます。
役員貸付金に消滅時効はありますか?
法律上は5年で時効になります。ですが、これを使って消すのは現実的ではありません。
なぜなら、決算書に載せ続けていること自体が「借金を認めている」とみなされ、時効がカウントし直しになるからです。
また、無理に時効を主張して消そうとすると、税務署からは「実質的なプレゼント(贈与)」とみなされ、結局重い税金を課されることになります。正攻法で消すのが一番の近道です。
役員貸付金を返済されたときの仕訳方法について教えて下さい。
例えば、役員から100万円が普通預金に返ってきたら
(借方)普通預金 1,000,000 / (貸方)役員貸付金 1,000,000
と仕訳します。もし年度末に利息を受け取っていないなら、忘れずに
(借方)未収入金 / (貸方)受取利息
として認定利息も計上してください。少しややこしい相殺や資産売却の仕訳についても、キークレアが丁寧にサポートしますのでご安心ください。
役員貸付金は税務調査において問題はありますか?無利息で貸付している場合どうなりますか?
税務調査では間違いなく狙われます。「利息をちゃんと取っているか」は基本中の基本です。
無利息ですと、利息相当分が役員賞与とみなされ、源泉所得税の追徴を受けます。
さらに怖いのは、「そもそも返す気がない」と判断されることです。その場合、貸し付けた全額が役員賞与とみなされ、法人税の経費にもならず、個人にも多額の税金がかかるという、恐ろしい事態になりかねません。
役員貸付金に関するお悩みは、財務に強いキークレア税理士法人にご相談下さい。
役員貸付金は、放置すればするほど雪だるま式に増え、いつか経営を圧迫する爆弾になりかねません。
銀行評価を落とさず、かつ税金で損をしないためには、早め早めの対策が何より重要です。
キークレア税理士法人は、単なる税金の計算だけでなく、財務面から会社を強くすることを念頭においてサービス提供しています。今の貸付金をどうやって消していくのがベストなのか、将来を見据えた最善のアドバイスをさせていただきます。
一人で悩まず、まずは私たちにその悩みをお聞かせください。一緒に健全な財務体質を作っていきましょう!