事業計画の立て方とは?注意点や税理士に相談するメリット
目次
会社を経営していく際の“目標”と“プロセス”を見える化したものが事業計画です。
5年後10年後を見据えた時に、事業計画がないのは“目的地を決めず、地図も持たずに険しい山を登る”のと同じで、目的地も現在地も分からずに歩き続けるのはとても危険です。
経営も一緒で、ゴールを設定しそこに向かうプロセス(数値)を置く事ができれば、今後どういった戦略を選択し行動していけばいいのか、現状と目標とのギャップはどれくらいあるのか、など具体的な指針と現在地が分かるようになってきます。
事業計画の立て方
- 事業目的(ビジョン)の明確化
なぜ会社を設立し、事業をしているのか?自社はなぜ存在するのか? - 事業環境、現状の分析
自社は今どの様な状況なのか? - 目標設定
ビジョン達成に向けての中期目標 - 課題の抽出
計画と現状とのギャップ - アクションプランの策定
課題を解決するための具体策、行動計画 - 事業計画の実行・検証(PDCA)
①事業目的の明確化
会社運営に当たって最終的なゴールは“ビジョン”の達成です。
ビジョンとは「実現したい夢」会社全体で目指すべきゴールであり、従業員全体での共通認識です。
例えば「全てのお客様を笑顔にしたい」「何か社会貢献したい」「自然環境を守りたい」など様々な考えや想いがあると思います。
あなたの会社のビジョンは何ですか?この問いに答えられるように今一度見つめ直しましょう!
経営理念の考え方
ビジョンを達成する為に会社がどうあるべきかを表したものが“経営理念”です。
経営理念は以下3つの要素に分けられる
- ミッション:企業の使命、社会における役割や存在意義
- ビジョン:将来会社としてどうありたいか、未来の姿
- バリュー:会社と社員が持つ価値観や信念
上記3点の要素を織り込み、経営理念を作りましょう。
経営理念も全社員の共通認識になりますので、どうあるべきかの指標ともなり、「ビジョン」と「経営理念」に強い想いがあるからこそ、同じ目的を持った仲間が集まり、やるべき事や向かうべき方向性が分かりやすくなります。
②事業環境の分析
目標や理念が明確化できたら、それに対して自社が現在どのような状態か分析し、把握します。
決算書や試算表から財務や損益などの数値分析を行う
こちらの分析を行うことで、財務状態や資産に対してどのくらいの売上や利益を上げているのか、利益率や経費の割合は適正か、など、現在地を数字で知ることができます。
数値で見られない物の分析
どういった商品やサービスを誰にどのようにして販売しているか、従業員の質、ノウハウや知識、知名度などの分析、把握を行います。
上記分析を行う事で、ビジョンとのギャップに気が付く事ができます。
また、環境分析には「内部環境」「外部環境」の分析があります。
内部環境の分析
内部環境とは自社の“強み”と“弱み”
自社内の全ての環境を指します。
商品・サービスを始め、社内技術や人材、ノウハウや資産などがあります。
これら内部環境の中から強みと弱みを見つけ出し会社の現状を見える化し、課題を見つけ出します。(ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源ごとに分けて考える)
ヒト | 経営者の知識、ノウハウ、技術、従業員のスキルなど |
---|---|
モノ | 商品・サービスや店舗の立地、設備など |
カネ | 資金、コストなど |
情報 | 会社の知名度、信頼、販売力、開発力、成長性、IT導入の進度など |
<例>
- 商品・サービスの品質が良い(強み)
- 知識や技術はあるが、若手が育たずリソースが足りない(強み/弱み)
- 顧客開拓や営業が苦手(弱み)
外部環境の分析
外部環境とは“機会”と“脅威”
「機会」とはビジョン達成に外部環境よりプラスの影響が与られる要素
「脅威」とはビジョン達成に外部環境よりマイナスの影響が与られる要素
具体的には市場規模や成長性、ライバル企業の状況、景気経済、政治などが会社にどう影響するのかを考えます。
<例>
- 技術力があるライバル企業が新商品を開発した(脅威)
- 市場規模が拡大し、商品の需要が上がった(機会)
③目標設定
環境分析が終わると、現在自社が置かれている状況が見えてくるためビジョン達成に向け、3~5年後に会社をどのような姿にしたいか中期計画目標を設定します。
数値目標(売上、経費、利益など)
稼ぐべき利益は①借入金の返済原資、②従業員の雇用を維持する必要金額、③企業を維持存続また、ビジョン達成のための必要経費を検討の上、設定する必要があります。
現状把握を行い、目標利益を仮定した上で、目標売上高を決定させ、達成可否を確認。その上で目標売上高、固定費、粗利率のシミュレーションを行い最終的な数値を決定します。
姿の目標
顧客などから自社がどのように評価されたいかや、店舗数や従業員育成、事業承継など3~5年後にどんな会社になっていたいか数字以外での目標も設定します。
また、こちらは数値目標と連動させる必要があり、例えば売上を2倍にしたいという場合には
①店舗数を増やす→②店長候補を育成する→③従業員を採用するなど数値を置く根拠にもなります。
④課題の抽出
目標を設定したら、自社にどのような課題があるのかを検討します。
例えば
- 原価率が高い、粗利率が低すぎる
- 従業員を採用したいのに応募がない
- 売上が伸び悩んでいる
- 従業員が育っておらず、生産性が上がらない など
「現在の姿と目標とする姿のギャップを埋めるためにはどうすべきか」を次のアクションプランの策定にて洗い出します。
⑤アクションプランの策定
抽出した課題に対する解決策を検討します。
どのように改善するか数値で定め、事業計画(アクションプラン)に落とし込むと共に、 課題を解決したとして、どのくらい数字に変化があるのかを予測します。
目標達成の為の課題に対するものなので、目指すべき経営とその手段を間違えない様に注意が必要です。
課題抽出できたものを解消できるよう、そして事業計画の数値を達成できるまでアクションプランを積み上げていきます。
アクションプランを立てる際には、「誰が」「いつまでに」「何を」「どのようにするか」を明確にします。
立てた計画通は実行しなければ意味がありません。策定した後は会社全体の共通認識としてしっかり追っていくことが重要です。
⑥事業計画の実行・検証
アクションプランに沿って実行
アクションプラン実行後どういった変化が起きたのかを検証します。
良くなったのか?変化は無かったのか?むしろ逆に悪化してしまったのか?
数値に落とし込んで事業計画で立てた予算と実績を見比べる。計画があるからこそ分析とタイムリーな改善ができ、さらなる対策が打てるようになります。
また、数値が悪化していたとしても一時的なものもあり、数か月後の為の布石であれば問題はありません。
重要なのは立てたアクションプランを毎月見直しながら、実行と検証を繰り返して行くことです。
事業計画を立てる際の注意点
ビジョン達成のプロセスとなっているか?
せっかく立てた事情計画もビジョンや経営理念に沿っていなければ、目標に近づく事はできません。
また、立てた数値はちゃんと目標数値に届くのかも注意が必要です。
「稼ぐべき利益=目標」です。この目標に届くような数値とアクションプランの設定をしなければいけません。
ただ目標数値の設定と、計画数値の立て方はとても難しい部分にもなりますので考えを数字に落とし込むのが得意な“税理士”や“財務コンサル”などに相談することが、より実現の可能性を高くすると言えます。
計画に実行可能性があること
事業計画を立てても実行されなければ意味がない
よく“計画は立てたものの忙しくて実行できていない”という話しを耳にします。
実行不可能な計画や数値目標を立てないか?
現場の現状を把握できておらず無理をさせてないか?
目標設定のコツとして“できるかできないかギリギリの数値”を置くと良いかもしれません。
説得力や合理性があること
事業計画は分析結果などを反映したうえで、合理的に策定されていることが重要
事業計画は時に金融機関にも提示する事があります。融資交渉や、事業報告などに説明をする際
“根拠のある数値で説得力のある事業計画”を見せなければなりません。
内部分析と外部分析にて現状分析を行い、課題とアクションプラン策定にて算出された数値になっている必要があります。
これらが検討されてた上での計画書が“合理的に策定された計画書”になりますので、夢だけで終わらない、実現性があるものにしましょう。
わかりやすい事業計画書であること
第三者が読んでも分かる内容にする
先述しましたが、金融機関に見せる事もありますし、従業員へも経営方針発表として提示する事もあります。事業計画を作ってしまえば「地図」ができたようなものなので、この計画に沿って実行していけば目標を達成できると思ってもらえるよう分かりやすく作成する必要があります。
決まったテンプレートはないが、最低限記載すべき項目がある
下記内容を盛り込んでおけばどんな会社なのか、すぐに把握する事ができます。
【記載項目】
- 代表者の経歴
- 事業の概要
- 事業の理念・ビジョン・目的
- 商品・サービスの説明
- 市場規模・競合分析
- 財務計画 など
事業計画を立てるときは誰に相談すべき?
事業計画を自分だけで立てるリスク
一人で計画を立てると自信の価値観や考えしか反映できず、計画に何かしらの穴があっても気づきにくいことがあります。
第三者に見てもらい、意見を聞くことでブラッシュアップできる
自分一人の考えではなく、相談する事で自身で気づかないことや新しい発見があります。
相談先は主に家族、税理士、中小企業診断士、商工会議所などが考えられますがまずは“税理士”へ相談するのが良いでしょう。
財務分析から数値への落とし込みを行い、経営者の頭を整理して、見える化までしてもらえます。
頭で分かっていても具体化できず、結局そのままになっている事が多いはずです。
専門家である税理士に相談するメリット
税理士なら損益計算書や決算書などの資料を分析し、事業計画に反映させることができる
税理士は過去の会計にとても強いです。今までの数値を分析し、より良い精度で事業計画に反映させることができます。目標数値も合理的になっているかのチェックを行いますので、過去の数値分析から可能なのか不可能なのかを数値のプロとして提示してもらえるので、信憑性も高く、納得のいく計画書ができるでしょう。
融資を受けやすい事業計画書を作成できる
融資目的も含まれていれば、対金融機関へ向けた計画書も作成する事が可能です。
税理士事務所には融資交渉などのノウハウがありますので、自身で作るよりも万能な計画書を立てる事ができます。また、専門家の目が通っていることで、より信頼される計画書とみなされます。
事業計画を立てる時間を短縮することもできる
財務分析や数値検証など、実際やって頂くと分かりますがとても時間がかかります。
その点、税理士へ相談すると、数値面など難しいものも資料作りから説明までしてもらえるので精度も高く、スムーズに策定が進める事ができます。
事業計画の立て方など経営に関わるご相談はキークレアにお任せください。
起業支援や事業計画などの業務に力を入れている税理士に相談するのがおすすめ
税理士事務所には“過去会計”に強いが計画書に係る“未来会計”に強い事務所はそんなに多くありません。
ただ単に毎月の試算表作成を主としている事務所ではなく、“早期経営改善計画”や“財務コンサル”などに力を入れている事務所に相談するのがおすすめです!
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