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役員借入金の基礎知識と減らす方法6選【税理士監修】

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

会社の資金調達方法の一つである役員借入金は、返済期日や利息を柔軟に設定できる便利な手段です。しかし、その金額が過大になると、金融機関からの評価低下や相続時の税負担増加など、経営上のリスクに繋がりかねません。

本記事では、役員借入金の基礎知識からメリット・デメリット、そして計画的に減らすための6つの具体的な方法まで分かりやすく解説します。

役員借入金とは

役員借入金とは、会社の役員が自己資金を会社に貸し付けているお金のことです。会社側から見れば負債のため、会計上は「役員借入金」として処理されます。

会社の運転資金の補填や、法人設立時の開業資金など、金融機関の融資と比べて手続きが簡便で迅速な資金調達が必要な際に活用されることが多く、無利息・無担保での設定も可能です。

役員貸付金との違い

役員借入金と名称が似ていますが、全く逆の意味を持つのが「役員貸付金」です。これは、会社から役員へお金を貸し付けることを指します。

例えば、役員が会社のお金を借りて「個人的なお買い物をした」等もこれにあたります。役員貸付金は会社の資産ですが、返済が滞ると金融機関からの評価を著しく損ない、税務調査で役員賞与と認定されるなど厳しい目が向けられるため、速やかな解消が求められます。

役員借入金を活用するメリット

  • 柔軟な返済条件
    返済期日や利息を会社の資金繰りに合わせて自由に設定でき、無利息も可能です。
  • 返済時は非課税
    役員報酬と異なり、返済を受けても役員個人の所得税や社会保険料はかかりません。
  • 支払利息は損金算入
    支払利息は会社の経費(損金)にでき、法人税の節税に繋がります(要適正利率)。
  • 迅速な資金調達
    金融機関の審査が不要なため、スピーディーに資金を確保できます。
  • 節税対策
    「役員報酬」を減額し、その差額を「役員借入金」の返済原資に充てる方法が考えられます。これにより、役員の源泉所得税や社会保険料の負担が抑えられるため、節税効果が得られます。

役員借入金が増えるデメリット

役員借入金はメリットがある一方、金額が過大になると、以下のようなデメリットが生じます。経営への影響が大きくなる前に、計画的な解消が必要です。

  • 金融機関からの評価が下がる
  • 相続税の対象になる
  • 所得税に影響する
  • 利益相反取引として役員会の承認が必要になる場合がある

金融機関からの評価が下がる

役員借入金は貸借対照表上「負債」のため、多額になると自己資本比率が低下し債務超過に見えることがあります。これにより融資審査で不利になる可能性がありますが、金融機関によっては返済の緊急性が低いと判断し、自己資本とみなす場合もあります。

キークレア税理士法人では、融資申込時に役員借入金の性質を説明し、金融機関の理解を得るサポートも行っています。

相続税の対象になる

会社にとっては負債ですが、役員個人にとっては会社に対する「貸付金」という債権(プラスの財産)です。そのため、役員が亡くなった場合、この貸付金は相続財産として相続税の課税対象となります。

会社の業績不振で回収困難な場合でも、原則として額面金額で評価されるため、生前からの対策が不可欠です。

所得税に影響する

同族経営の会社では、役員借入金が税金に思わぬ影響を及ぼすことがあります。

所得税

役員報酬として支払った資金を、会社の運転資金として役員借入金で戻すケースがあります。この場合、役員報酬支払時の源泉所得税や社会保険料の負担だけが生じ、結果的に無駄な税金を支払っていることになりかねません。

役員会の承認が必要になる

役員と会社の取引は、会社法上の「利益相反取引」に該当する場合があります。特に、会社に不利な高利率を設定するなど役員の利益を優先する場合は、株主総会等の承認が必須です。

承認を怠ると取引が無効になるリスクがあります。ただし、実務上多い無利息・無担保での借入は会社に不利益がなく、承認は不要とされています。

役員借入金を減らす方法6選

増えすぎた役員借入金は計画的に減らすことが重要です。主な解消方法として以下の6つが挙げられます。それぞれの特徴を理解し、自社に合った最適な方法を選択しましょう。

  1. 役員報酬を減額する
  2. 債務免除をする
  3. 暦年贈与をする
  4. DES(デット・エクイティ・スワップ)を活用する
  5. 生命保険を活用する
  6. 代物弁済をする

①役員報酬を減額する

最もシンプルで実行しやすい方法です。役員報酬の支給額を減額し、その減額分を役員借入金の返済に充てます。この返済金は報酬ではないため、所得税・住民税、社会保険料はかかりません。

役員個人の手取り額を変えずに、会社の負債を減らすことが可能です。会社のキャッシュフローを圧迫せずに負債を圧縮できる有効な手段です。

役員報酬と節税の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。

役員報酬で節税できる節税効果をより高める5つの方法

②債務免除をする

債務免除とは、役員個人が会社に対して「借入金の返済は不要です」と意思表示をすることで、会社の返済義務を消滅させる方法です。 会社側では、返済を免除された金額が「債務免除益」として特別利益に計上されます。

この利益は法人税の課税対象となるため、注意が必要です。そのため、多額の繰越欠損金がある、あるいは固定資産の除却損など大きな損失が出るタイミングで実行すれば、債務免除益と相殺され、法人税の負担を抑えることができます。

また、債務免除によって会社の株価が上昇した場合、他の株主に対して「みなし贈与」と判断され、贈与税が課される可能性もあります。実行するタイミングを慎重に見極める必要があるため、専門家である税理士への相談をおすすめします。

③暦年贈与をする

将来の相続税対策として、役員借入金(貸付金債権)を後継者などの親族に贈与する方法です。贈与税の基礎控除(年間110万円)の範囲内であれば、非課税で債権を移転できます。

例えば1,000万円の債権を10年かけて贈与すれば、将来の相続財産を圧縮できます。ただし、税務調査で否認されないよう、毎年贈与契約書を作成することが極めて重要です。

④DES(デット・エクイティ・スワップ)を活用する

DES(Debt Equity Swap)とは、債務(Debt)と資本(Equity)を交換(Swap)する手法です。具体的には、役員借入金を現物出資の形で資本金に振り替えます。

これにより、会社は現金の支出なく負債を資本に振り替えられるため、自己資本比率が改善し、財務体質が強化されます。ただし、税務上の専門知識が必要なため、慎重な検討が求められます。

⑤生命保険を活用する

法人契約の生命保険を活用し、役員借入金の返済原資を計画的に準備する方法です。

会社が契約者、役員を被保険者として保険に加入し、保険料の一部または全部を損金計上しながら、解約返戻金を将来の返済原資として積み立てます。

役員に万が一のことがあった際は、死亡保険金を遺族が持つ役員借入金(債権)の返済に充てられます。

⑥代物弁済をする

代物弁済とは、役員の承諾を得た上で、現金での返済に代えて、会社が保有する不動産や有価証券、在庫商品などの資産を役員に譲渡することで借入金を返済する方法です。

この方法のメリットは、会社に返済のための現金がなくても、遊休資産などを活用して負債を減らせる点にあります。

ただし、注意点も多くあります。譲渡する資産の評価額は「時価」で算定する必要があり、特に不動産の場合は客観的な評価が求められます。時価が借入金の額を上回れば会社に譲渡益が発生し、法人税が課税されます。

税務上の論点が多く複雑なため、実行にあたっては必ず税理士に相談しましょう。

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役員借入金は決算書の表示にも工夫が必要

役員借入金は負債であるため、決算書(貸借対照表)での表示方法を工夫することで、金融機関や取引先からの印象を改善できる場合があります。

役員借入金の表示方法には、主に以下の3つのパターンが考えられます。

  1. 流動負債の「短期借入金」として表示
  2. 固定負債の「長期借入金」として表示
  3. 固定負債の「役員借入金」として表示

金融機関が財務の安全性を評価する際に見る指標の一つに「流動比率(流動資産÷流動負債)」があります。1年以内に返済が必要な流動負債が少ないほど、短期的な支払い能力が高いと評価されます。

そのため、役員借入金を①の「短期借入金」として流動負債に計上するよりも、②や③のように「1年以内に返済する予定はない」ものとして固定負債に表示する方が、流動比率は高くなり、財務の安全性が高く見えます。

決算書の詳しい見方については、こちらの記事で解説しています。

計算書の正しい見方とは?初心者でも身に付く基礎知識

キークレアなら節税対策も考慮した最適な方法をアドバイス!

役員借入金を減らす方法は様々ですが、どの方法が最適かは会社の財務状況や将来の事業承継計画などによって大きく異なります。安易な選択は、思わぬ税負担を招くリスクもあります。

私たちキークレア税理士法人は、お客様の将来を見据えた最適なプランをご提案します。グループ内の財務コンサルティング法人と連携し、財務分析から経営計画策定までワンストップでサポートできる体制が強みです。

節税に強い税理士とは?選ぶ際のポイントなどを徹底解説!

役員借入金に関するQ&A

銀行借入金で役員借入金を一括返済できる?

銀行からの借入金で役員借入金を返済すること自体は可能です。

ただし、これは負債の相手先が変わっただけであり、根本的な解決ではありません。むしろ、利息負担や厳格な返済義務が生じるため、資金繰りが悪化する恐れがあります。

事業成長に繋がらない融資には金融機関も慎重なため、綿密な返済計画を立て、慎重に判断する必要があります。

役員借入金を返済したときの仕訳方法は?

役員借入金100万円を現金で返済した場合、仕訳は以下のようになります。負債である「役員借入金」と資産である「現金」がそれぞれ減少します。

貸方:役員借入金1,000,000円 / 借方:現金1,000,000円

役員借入金の清算など財務に関するお悩みは、経験豊富なキークレア税理士法人にご相談下さい。

役員借入金は、放置すると財務や相続における大きなリスクとなります。解消にあたっては、会社の状況を的確に分析し、税務的に最適なタイミングと返済方法を選択することが不可欠です。

「役員借入金が年々増えてしまっている」「将来の相続が心配だ」「自社に合った解消方法を知りたい」このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひキークレア税理士法人にご相談ください。豊富な実績に基づき、最善の解決策をご提案いたします。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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