法人保険は節税対策にならない?仕組みから税理士が徹底解説

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

当記事をご覧になられている方の中には、法人保険に加入すると節税効果があると思われている、言われたことがある方は多いのではないでしょうか。
確かに法人保険に加入している間、支払う税に影響を及ぼしますが加入から解約までの全期間で考えますと節税になっていない、なんてことも実際にあります。

加入される前に仕組みを理解することが大事になります。
当記事では2019年度の税制改正にも触れながらお役立ち情報を発信してまいります。

法人保険は節税対策にならないのか?

法人保険に加入すると確かに、加入しない場合と比べてその時に支払う法人税は減少します。しかし、加入から解約までを考えてみますと、節税効果はなく税金の繰り延べをしているに過ぎないのです。

法人保険を使った節税対策とは、支払った保険料の全額または一部を損金(※経費のことです)に算入し所得(※利益のことです)を減らすことで法人税を減らす、というものです。
では、本当に節税にならないのか実際に計算してみましょう。

課税の繰り延べにすぎない

仮に毎期3,000万円の利益が見込める法人が元本に到達する全額損金算入可能な保険料500万円を2年支払い3年目に解約したとします。
※このような保険はないはずですが、仮定の話とします。

2,500万円の利益に対して30%の法人税がかかるとして750万円の法人税を2年間支払い、3年目に3,000万+返戻金1,000万円=4,000万円に対して1,200万円の法人税が発生します。
3年間で2,700万円の法人税が発生します。

ここで、気づかれる方もいらっしゃるかもしれませんが、保険に加入しない場合の3,000万円×30%×3年=2,700万円と同額です。法人税の支払うタイミングが異なるだけ、つまり繰り延べているだけで節税になっていないのです

保険金の受け取りを退職金と相殺すればいい?

法人保険を使った節税対策の出口戦略として、解約返戻金と退職金をセットにすることはよくある手法ですが、この方法を使ったとしても結論は変わりません

前述の仮定に退職金を支払うという条件を加えて検証します。
3年目に返戻金と同額の1,000万円の退職金を支払ったとしますと、3,000万+返戻金1,000万円-退職金1,000万円=3,000万円に対して900万円の法人税が発生します。
1,2年目は同条件ですので3年間で2,400万円の法人税支払いとなります。

保険に加入しない場合、3,000万円×2年×30%+(3,000万円-退職金1,000万円)×30%=2,400万円ですのでやはり、同額となり節税効果はありません

2019年の税制改正による保険の節税効果への影響とは?

生命保険を使っての節税のために、過去多くの保険商品が生まれました。この保険商品を使っての節税について国税庁が幾度も通達などを出し、これを封じましたがついに抜本的な見直しを行うために2019年度税制改正が行われました。

そもそもどのような節税だったかというと、支払う法人税が多額だと見込まれた時点で、定期保険などに加入し保険料を年払いすることで全額損金算入、つまり全額を経費にすることで利益が圧縮され支払う税金を抑えることができていました。
そして解約時には高い返戻率が設定されていましたので高額な解約返戻金も得ることができます。

2019年の改正では返戻率が50%以下であれば全額損金に、50%超であれば段階的に資産計上しなければならない割合が高くなることになりました
つまり、損金に算入できる保険料が大幅に減少し節税効果も見込めないこととなりました。

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法人税の節税対策は税理士に相談をおすすめします

法人税の節税、繰り延べは、利用できる方法、税制により実現可能です。ただし、ある方法が全ての法人に適しているかとそうではありません。
その法人、経営者の今置かれている状況や将来の方向性により今取るべき手法は異なります

例えば、3,000万円の利益が見込まれる法人が2社あったとして、一方は節税、繰り延べが必要であって、一方はすべきでないこともあり得るのです。このことについては、総合的に判断可能な税の専門家に相談する方が良いでしょう。

法人の節税対策5選!計画的な節税はできていますか?

節税対策など、財務・経営改善に強いキークレア税理士法人がサポートします

キークレア税理士法人では積極的に法人保険への加入をすすめることは実施しておらず、現在加入中の保険を将来どのようにしていくことが法人や経営者のためになるのかご提案しております。
具体的には、加入し続けるのか、解約し返戻金をどう利用するのかプランを考えます
現在、そして将来の加入を積極的におすすめするのではなく、過去に加入した保険の処分について経営者の意向と今後の事業の方向性を踏まえて総合的にプランニングします
もちろん、保障について不安であるという方の相談もお受けしております。

法人保険に加入する際のポイント

ここまで法人保険が節税にならないことをお伝えしましたが、保険加入本来の意味である保障内容、もしくは税金を繰り延べることを目的で加入することは充分に検討の余地があります。保険加入について、ここでお伝えしたいことは決して節税目的だけで法人保険に加入すべきではない、ということです。
節税以外の目的での加入でしたら上手く利用することで効果を得られることはあります。

残るキャッシュや資金繰りまでしっかり考慮する

再び前述の例を基に考えてみます。
利益3,000万円の法人が500万円の保険料を支払うとするとキャッシュアウトは保険料の500万円と法人税750万円の合計1,250万円です。

保険に加入しなかった場合は、法人税900万円のキャッシュアウトですので、その差は350万円となります。
つまり、一時的に損計上ができたとしても現金は確実に減少することがこの計算で分かるかと思います

補償機能を重視して加入する

法人保険の本来の意味は保障にあるかと思います。
特に従業員が少数である法人は、経営者に病気や事故などの万が一のことが起こると事業が立ち行かなくなるという状況に陥る危険性は充分に考えられます。こういったリスクに備える意味で、法人保険の加入検討が必要になる場合があります。
その他、後継者候補がすでにいらっしゃるケースでは法人保険を活用し資産評価額を抑えることで、贈与税・相続税の対策に利用することもあります。

法人保険での節税など、節税対策に関してご不明点等あればキークレアにご相談ください

キークレアでは、法人保険の活用方法やその他の節税対策について、グループ各社によるワンストップでのご提案が可能です。
現在加入中の保険をどう活用していくのか、出口戦略をどうするのか、税務・財務・労務その他のあらゆる状況を加味した上で最適案を検討していきます。そしてそれが、みなさまの将来の夢やビジョン達成のサポートになればと思っております。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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