医療法人化による節税効果は?おすすめの節税対策も紹介【税理士監修】

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

医療法人とは

医療法人とは、病院(もしくは歯科医師)が常時勤務する診療所または介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法の規定に基づき設立される法人のことをいいます。

医療法人は基本的に、「社団たる医療法人」と「財団たる医療法人」に分けられます。

社団とは人の集まりを基盤にした法人、財団とは提供された財産に基づいて作られる法人を意味します。

一般的に耳にすることの多い“医療法人〇〇会”は、「社団たる医療法人」=医療法人社団〇〇会のことを指します。

病院・クリニックの違い

医療施設を開設する主体には、さまざまな形態があり、医療機関としての目的や規模、提供される医療サービスなどが異なるため、下記のような違いがあります。

  • 病院・・・病床が20床以上の医療機関。医師3名以上いることが必須。
  • 診療所・・・病床が19床以下、もしくは無床の医療機関。医師1名から開設可能。

一般的に聞きなじみのある“クリニック”は上記の診療所を指しています。そして医療法人に限らず、個人事業主としての開設が可能です。
※都道府県によって、診療所を医療法人もしくは個人事業主として開設する手続きが異なります。

医療法人化するメリット

診療所を開設するにあたり、個人事業主として開業→医療法人化を行うパターンが主です。

個人事業主としての開業期間がなくても医療法人として開業することが可能な場合もありますので、開業しようとする都道府県に確認が必要です。

ここでは一般的な流れとなる、個人事業主として開業→医療法人化をする場合のメリットを記載します。

  • 医療法人にすることで医師個人の納税負担がコントロールできるようになる
  • 事業展開(分院設立等)が可能になる
  • 事業承継がしやすくなる
  • 対外的信用が高くなる
医療法人とは?メリット・デメリットを税理士が詳しく解説!

医療法人が支払う税金の種類

  • 法人税及び地方法人税
  • 法人住民税(法人道府県民税・法人市町村民税)
  • 事業税
  • 消費税及び地方消費税
  • 固定資産税
  • 償却資産税
  • 源泉所得税
  • 個人市町村民税(特別徴収)

消費税や固定資産税などは、個人開業医でも医療法人でも変わりありませんが、個人開業医とは異なり、医療法人の利益に対する税金は法人税として納めることになります。

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医療法人化による5つの節税効果

医療法人化することで、できるようになる節税対策の選択肢が大きく広がります。

下記のような方法をとることで、法人の利益を圧縮し、適正な納税額に抑えることができるようになります。

個人と医療法人のどちらも上手く納税金額をコントロールしていくことが大切です。

①給与所得控除が適用される

個人開業医の診療所においては、クリニックの利益=個人の所得となります。

一方、医療法人においては、クリニックの利益=法人の所得、個人の所得=法人からもらう役員報酬となりますので、完全に区分されます。

役員報酬は給与所得に該当するため、「給与所得控除」の適用があります。所得金額を算出する際に役員報酬の額面金額から「給与所得控除額」を差し引くことが可能です。

②所得の分散ができる

医療法人の利益に関わらず、個人が負担するのは役員報酬の金額に対する所得税・住民税のみとなります。

個人開業医の場合は、クリニックの利益がでればでるほど個人負担が大きくなってしまいましたが、クリニックの所得と個人の所得を分けることが可能になります。

ただ逆を言えば、クリニックの利益が出なかった(赤字の)場合であっても、役員報酬分の所得税・住民税の負担は避けられません。

また、親族を役員とし経営に携わることにより、役員報酬を支払うこともできますので、世帯収入は変わらないまま所得の分散が可能となり、各個人の納税負担を減らすこともできます。

③生命保険料を経費計上できる

個人が生命保険に加入すると、確定申告の際に、支払った保険料のうち所得から控除できる金額は一定で上限があります。

一方で医療法人で契約する生命保険は、保険料を経費(損金)に算入することができるため法人の利益を圧縮することが可能です。

ただ、保険のタイプにより損金算入できる割合金額が異なるため、保険会社への確認が必要となります。

④退職金を出せる

医療法人では、理事長やその配偶者は死亡退職慰労金や退職慰労金を受け取ることが可能になります。

支給した退職金が適正額の範囲内であれば、医療法人において支給した金額の全額を損金算入することができます。

一般的な計算式が決められているため、退職金の支給をする時期を見越して、役員報酬の設定を慎重に行う必要があります。

⑤確定拠出年金・確定給付企業年金を活用できる

確定拠出年金は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。

確定給付企業年金は、将来受け取る給付額があらかじめ約束されている企業年金制度です。

その掛金を医療法人を拠出し(企業型DC)、その掛金を福利厚生費として法人の経費に算入することができます。

医療法人だからこそできる節税対策 ←“医療法人だからこそできる”わけではないものがあります

MS法人を活用する

MS法人とは、「メディカル・サービス法人」の略になります。

法令上の医療機関でなくても設立ができ、かつ医療機関運営にかかる事業を行う法人です。

営利目的の事業が禁止、など様々な制約がかかる医療法人のデメリットを回避・補填するためにMS法人を活用していくものとなります。

MS法人の活用方法は様々ですが、その目的は主に医療法人・個人開業クリニックとMS法人とで所得を分散できることにあります。

MS法人を設立すると節税になる?注意点なども解説 MS法人と医療法人の違いとは?メリットや注意点もわかりやすく解説

介護事業に土地を無償で提供する

介護事業を営む法人が所有する固定資産は、非課税となるものがあります。

また、所有している場合に限らず、介護事業の利用のために固定資産を無償で貸している場合も非課税になります。

医療法人として介護事業を運営することで固定資産税負担分を節税することができます。

4年落ち中古車を社用車として購入する

患者の送迎用としてのマイクロバスや、職員のための社用車を購入する場合も考えられます。

その際、普通に新車を購入するよりも中古車を購入するほうが、節税という目的ではメリットがあります。

車は固定資産であるため、耐用年数に応じて経費化します(減価償却といいます)。

その際、新車は5-6年かけて経費に算入しますが、中古車はもともとの耐用年数が短く算定されるため、その分短い年数で経費化することができるのです。

節税対策を行う場合の注意点

過度な節税は脱税行為とみなされます。

ご説明した節税対策も、適正額の範囲内、そして大前提として、医療法の範囲内で行っていく必要があります。

医療法人化や節税対策でお悩みなら、医業に強いキークレア税理士法人にご相談下さい。

医療法人化のサポートはもちろん、各節税対策までサポートできます。医療法人化を行ったほうがいいのか分からないという方もご相談ください。

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