確定申告をしないとどうなる?リスクや申告が必要な人、対処法など
目次
税金を納めるのは国民の義務ですが、確定申告の義務があるにもかかわらず放置してしまうと、後から重いペナルティ(罰金)が課されてしまいます。
「自分は申告が必要なの?」と判断に迷う方も決して少なくありません。
この記事では、確定申告をしないと具体的にどんなリスクがあるのか、申告が必要な人の条件、そして万が一忘れていた場合の対処法まで、わかりやすく解説します。
確定申告をしないとどうなる?
原則、毎年2月16日〜3月15日までに「確定申告」の手続きが必要です。申告義務があるのに期限を過ぎてしまうと、余分な税金を払うといった金銭的なペナルティだけでなく、生活面でも大きな不利益が生じてしまいます。
具体的にどんなリスクが潜んでいるのか、以下の7点に分けて解説します。
- 加算税や延滞税が課される
- 刑事罰や財産差し押さえの可能性がある
- 各種控除を受けられない
- 払いすぎた税金が還付されない
- 収入を証明できない
- 国民健康保険料の軽減を受けられない
- 住民税の申告が必要になる
加算税や延滞税が課される
期限内に確定申告を行わなかった場合、税法上のペナルティとして加算税や延滞税が課されます。
確定申告を無申告のまま放置すると、本来納めるべき税金に加えて高額な罰金や利息が上乗せされてしまうため、結果的に大きく損をしてしまいます。
| 要件 | ペナルティの内容 | |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 期限内に確定申告をしなかった場合 | 納付税額に対し、50万円までは15%、50万円超〜300万円までは20%、300万円超は30%の罰金が上乗せされます。(※自主申告の場合は5%に軽減) |
| 重加算税 | 売上を除外したり架空の経費を計上するなど、意図的な「仮装・隠蔽」を行ってウソの申告をした場合や、わざと無申告にした場合 | 悪質な仮装・隠蔽の罰金(重加算税)は、ウソの申告で追加税額の35%、意図的な無申告ならさらに重い40%が課されます。 |
| 延滞税 | 定められた納期限までに税金を完納しなかった場合 | 納期限の翌日から完納するまでの日数に応じた利息です。2ヶ月を過ぎると年9.1%(令和8年基準)の高い利息が、日割り計算で1日ごとに負担が増えていきます。 |
刑事罰や財産差し押さえの可能性がある
確定申告を期限内に行わず、意図的に売上を隠すなどの悪質な脱税行為や、督促の無視を続けた場合、単なる罰金では済みません。
最悪のケースでは「刑事罰」が科されたり、銀行口座や車などの「財産の差し押さえ」にまで発展したりする可能性があります。
社会的信用も一瞬で失うため、絶対に放置は禁物です。
| 要件 | 罰則の内容 | |
|---|---|---|
| 刑事罰 | 故意に申告しなかった場合 | 5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科されます。(※偽装工作など極めて悪質な場合は、さらに重い罰則になることもあります) |
| 正当な理由がなく申告しなかった場合 | 脱税の意図がなくても、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科される可能性があります。 | |
| 財産差し押さえ | 税務署からの「督促状」が発送されてから、10日を経過しても税金を完納しない場合 | 事前の連絡なしに、銀行口座の預金、毎月の給与、自宅や車などの財産が強制的に没収(差し押さえ)され、滞納している税金の支払いに充てられます。 |
各種控除を受けられない
確定申告をしない大きなデメリットは、税金の負担を減らす「各種控除」が受けられないことです。
控除とは、税金を計算する際のベースとなる利益(所得)から、特定の金額をマイナス(控除)できる仕組みのことです。
- 青色申告特別控除:最大65万円を差し引ける制度ですが、期限を過ぎると10万円に激減します。
- ふるさと納税(寄附金控除):実質2,000円で返礼品が届くお得な制度ですが、申告をしないと単なる「全額自己負担の寄附」になり、税金は1円も安くなりません。なお、便利な「ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告は不要ですが、「6自治体以上に寄附した場合」や「医療費控除などで結局確定申告をすることになった場合」は、改めて確定申告で寄附金を申告し直さないと控除が無効になってしまうため要注意です。
- 医療費控除:年間10万円(所得により変動)を超えた医療費について税金が戻る制度ですが、申告が必須です。
払いすぎた税金が還付されない
会社員の給与所得やフリーランスの報酬、年の途中で退職した場合等では、あらかじめ税金が天引き(源泉徴収)されています。実はこれ、税金を少し多めに前払いしている状態であることが多いのです。
確定申告をして医療費などの各種控除を適用すると、正しい金額で税金が計算し直され、納め過ぎていた分は「還付金」として手元に戻ってきます。
しかし、申告をしなければこの精算が行われません。本来なら戻ってくるはずの差額があっても還付されず、丸々払い損になってしまいます。
収入を証明できない
住宅ローンやアパートの賃貸契約、子どもの保育園の入園手続きなど、生活の大事な場面では「あなたにどれくらい収入があるか」を証明する書類が求められます。
会社員であれば会社からもらう「源泉徴収票」で済みますが、個人事業主やフリーランスの場合、役所で発行される「所得証明書」や「非課税証明書」が必要です。
しかし、確定申告をしていないと役所があなたの収入を把握できず、これらの証明書は発行してもらえません。
また、会社員であっても副業の収入が大きい場合、会社の源泉徴収票だけでは実際のトータル収入より少なく見えてしまい、ローンの審査などで不利になるケースがあります。
国民健康保険料の軽減を受けられない
国民健康保険料には、所得が一定以下の世帯に対して保険料を7割・5割・2割と安くする「軽減措置」があります。これを受けるには、世帯全員の所得が役所に把握されていることが絶対条件です。
確定申告をしていないと、所得がいくらなのか、あるいは無収入なのかを証明する「所得証明書」が発行されません。
その結果、本来なら数万円単位で安くなるはずの軽減が適用されず、高い保険料を請求されてしまいます。収入が少ない時ほど、申告をしないことで逆に支出が増えてしまうという皮肉な結果を招くのです。
住民税の申告が必要になる
税務署に所得税の確定申告を行うと、そのデータは自動的にお住まいの市区町村へ送られます。そして、役所が住民税を計算し、ご自宅に納付書を送ってくれる便利な仕組みになっています。
しかし、確定申告をしないとこの連携が行われません。役所はあなたの所得を把握できないため納付書が届かず、気づかないうちに住民税が「未納(滞納)」になってしまう恐れがあります。
これを防ぐには、ご自身でわざわざ役所へ出向いて「住民税の申告」を別途行わなければならず、結果的に大きな手間とリスクを抱えることになります。
確定申告をしていないことが税務署にバレるのはなぜ?
「無申告でもバレないだろう」と甘く見るのは非常に危険です。近年、税務署はAI(人工知能)やビッグデータを活用した高度な情報網で、あなたのお金の動きを常に監視しています。
- AIによる支払調書の自動照合
取引先が提出する「誰にいくら払ったか」のデータをAIが瞬時に分析し、申告漏れをあぶり出します。 - 銀行口座の取引履歴
マイナンバー等に紐づく不自然な入出金パターンをシステムが検知します。 - 不動産の購入
家や土地などの高額な不動産を購入すると、その登録情報(登記など)が自動的に税務署へ共有されます。過去に確定申告をしていない(あるいは申告収入が少ない)にもかかわらず高額な買い物をしていると、「その購入資金はどこから出たのか?」と隠れた収入を疑われ、調査の対象になります。 - 知人等からの情報提供
国税庁ホームページ等からの「タレコミ」も大きな情報源です。 - 税務調査
蓄積された膨大なデータから、システムが怪しい人物を自動抽出し調査に入ります。
「小さな個人事業主だから」「今年は赤字だから」という言い訳は一切通用しません。企業だけでなくフリーランスもAI監視の対象であり、調査の結果、本来申告すべき収入の計上漏れや、認められない経費の算入などが判明すれば、重いペナルティが課されてしまいます。
確定申告をする必要がある人
「自分は確定申告しないといけない人なの?」「いくらまでなら確定申告しなくていい?」と悩む方は非常に多いです。ここでは、絶対に申告が必要な代表的なケースと、その特徴をかみ砕いて解説します。
個人事業主やフリーランス
事業の利益(売上から経費を引いた残り)や、他に得ている収入を合わせた1年間のすべての所得から各種控除を差し引き、最終的に納めるべき税金が発生する場合は確定申告が必須です。「少しくらいならバレないだろう」と安易に考えて無申告を続けていると、後から本来の税金に加えて重い罰金が課され、事業の資金繰りに深刻なダメージを受けることになります。
年収2,000万円を超える給与所得者(会社員)
給与が2,000万円を超えると、会社の年末調整が使えなくなり、自分で手続きをするルールになっています。「会社員だから会社がやってくれるでしょ」という誤解から、結果として申告が漏れてしまうケースが多く見受けられるため注意が必要です。
副業をしている給与所得者
フードデリバリーの配達員やWebライターなど、副業による所得(利益)が年間20万円を超える場合です。「少しくらいならバレないだろう」と申告を怠ると、取引先が税務署へ提出する支払調書や、システムによる高度な情報網などから無申告は確実に発覚します。(※要注意:所得が20万円以下の場合は「所得税」の確定申告は不要ですが、お住まいの自治体への「住民税の申告」は原則として必要になるため注意しましょう。)
複数箇所から給与を受け取っている人(アルバイト・パート含む)
掛け持ちで働いている場合、2か所目以降の給与については年末調整が行われません。すべての給与を合算すると全体の所得が上がるため、適用される税率が上がり、追加で税金を納めなければならないケースがあります。「アルバイトだから申告しなくても問題ない」と放置していると、無申告としてペナルティの対象になるため注意が必要です。また、逆に税金が多めに天引きされたままの「払い損」になっていることもあるため、必ず正しい計算と申告を行いましょう。
年末調整で反映できない控除を受けたい給与所得者
マイホームを買った最初の年(初年度の住宅ローン控除)や、医療費が年間10万円を超えた年などは、会社員でも自分で申告しないと、払いすぎた税金を取り戻すことができません。
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確定申告が必要か迷うケース
確定申告は、その年の所得(もうけ)の金額や、「今年は事業が赤字だった」「年の途中で会社を辞めた」といった個別の状況によって、申告すべきか判断に迷うことがよくあります。
ここでは、特に間違いやすい代表的な3つのパターンについて、申告が必要かどうかの基準や、申告しておいた方がお得になる理由をわかりやすく解説します。
事業が赤字の場合
1年間の事業が「赤字」だった場合、所得がゼロになるため所得税は発生せず、原則として所得税の確定申告は必須ではありません。しかし、「赤字だから放置」は非常にもったいないです!申告することで以下のメリットを受けられます。
- 税金が戻る(損益通算・還付)
会社員の給料などの黒字から事業の赤字をマイナスする「損益通算」を行うことで、毎月の給与や取引先の報酬から天引き(源泉徴収)されていた税金が手元に戻ってきます。 - 青色申告なら赤字を繰り越せる
青色申告をしている場合、今年の赤字を「最長3年間」繰り越せます。翌年以降に黒字が出た際、この赤字と相殺して将来の税金を大きく減らすことが可能です。
赤字の年こそ、賢く申告してお金を取り戻しましょう!
【個人事業主の確定申告】青色申告とは?年度途中で会社を退職した場合
年度の途中で会社を退職した場合、その後の状況によって確定申告が必要なケースと不要なケースに分かれます。
「退職した後に確定申告を忘れたらどうなるのだろう?」と不安な方は、以下の3パターンを確認しましょう。
- 個人事業主やフリーランスになった場合
退職前の給与と独立後の事業の利益を合わせて、自分で確定申告をする必要があります。 - 年内に別の会社へ転職した場合
新しい会社で前の会社の分もまとめて年末調整をしてくれるため、原則として確定申告は不要です。 - 年内は再就職せず無職(無収入)の場合
「無職で収入がないなら、確定申告はしなくてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、申告を強くおすすめします。退職までに天引きされていた税金が「払いすぎ」になっていることが多く、申告すれば還付金が戻ってくる可能性が高いからです。
満期保険金や解約返戻金を受け取った場合
生命保険の満期保険金や解約返戻金を受け取った際、「保険金を受け取っただけだから申告は不要だろう」と見落としてしまう方が多いですが、これも立派な収入(一時所得)になります。
ただし、一時所得になるのは、保険料を支払っていた人と、お金を受け取った人が「同じ」場合のみです(違う場合は贈与税になります)。
一時所得の金額は、以下の計算式で求めます。
- (受け取った金額 - 支払った保険料の総額 - 特別控除(最高50万円))× 1/2
会社員の場合、この計算結果(他の副業等のもうけと合算)が「20万円」を超えると、確定申告が必要になります。
確定申告で申告漏れがある場合の対処法
「うっかり申告を忘れていた!」「後から申告漏れの収入を見つけてしまった…」と焦っている方もいるかもしれません。
しかし、税務署から指摘される前に自分から対処すれば、ペナルティ(罰金)を大幅に軽くできる可能性があります。
また、払いすぎた税金を取り戻す還付申告であれば、過去に遡って申請できるケースもあります。ここでは、申告漏れや無申告に気づいた際にすぐ取るべき「3つの具体的なアクション」について解説します。
できるだけ早く期限後申告をする
申告期限を過ぎてしまっても、1日でも早く自分から「期限後申告」をすることが非常に重要です。税務署から指摘される前に自主的に申告すれば、ペナルティ(無申告加算税など)を最小限に抑えられます。
さらに、以下の条件をすべて満たせば、ペナルティが「ゼロ(免除)」になる救済措置もあります。
- 期限から1か月以内に自主的に申告した
- 「期限内に申告する意思があった」と認められること
この「意思があった」と認められるには、納付すべき税金を期限日までに全額払っていることと、過去5年間に無申告やペナルティを受けていないことが条件となります。
うっかり忘れていた方は、1日も早く手続きを急ぎましょう!
過去5年分まで遡って還付申告を行う
確定申告は「足りない税金を払う」だけでなく、「払いすぎた税金を取り戻す(還付申告)」ためにも行えます。
この還付申告にはペナルティがなく、申告する年の翌年1月1日から「過去5年分」まで遡って手続きが可能です。
例えば、報酬から税金が天引き(源泉徴収)されているフリーランスの方や、年末調整で医療費控除やふるさと納税などの申告を忘れていた会社員の方は、今からでも申告すればお金が戻ってくる可能性が高いです。
「もう期限が過ぎたから」と諦めず、過去の書類を見直して賢く税金を取り戻しましょう!
税理士に相談する
「自分で計算するのが不安」「何から手をつければいいか分からない」という場合は、プロである税理士に相談するのが一番の近道です。
税理士に依頼すれば、現在の状況に合った最適な解決策がわかるだけでなく、面倒な必要書類の整理や期限後申告の手続き、緊張する税務署への対応まで丸ごと任せることができます。
さらに、自分から申告してペナルティを最小限に抑える方法や、税金が戻ってくる(還付)可能性がないかなど、専門家の視点で「一番損をしない」的確なアドバイスを受けられます。
一人で抱え込まず、まずはプロに頼りましょう!
確定申告を税理士に依頼する6つのメリット確定申告でお悩みの方はキークレア税理士法人へご相談ください
確定申告をしないと、無申告加算税などの重いペナルティが課されたり、本来戻ってくるはずの還付金を取り逃がしたりと、大きな損をしてしまいます。
「どうせバレないだろう」という甘い考えは、AI監視網が発達した今の時代には通用しません。
「申告漏れがあるかも…」「自分は申告が必要なの?」と少しでも不安や疑問を感じたら、手遅れになる前に、ぜひ一度「キークレア税理士法人」へご相談ください。
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