相続税の無申告はどうなる?ペナルティや時効などを詳しく解説
目次
相続税には申告・納付の期限があり、期限を過ぎると「無申告」として扱われます。そのまま放置していると、延滞税などの重いペナルティが課されたり、税務調査が入ったりする恐れがあるため注意が必要です。
この記事では、相続税が無申告の場合に発生するリスクや時効の仕組み、税務署に「無申告」が発覚する理由について詳しく解説します。
申告が必要か不安な方や、期限を過ぎてしまった方が、適切な対応を取るための判断材料としてご活用いただけます。
相続税の申告・納付には期限がある
相続税の申告および納付の期限は、被相続人の死亡により「相続の開始があったことを知った日」の翌日から10ヶ月以内と定められています。この期限を過ぎて何も手続きをしなければ無申告扱いとなります。
相続税には原則として申告期限から5年という時効が存在しますが、国税庁の管理システム等は高度化しており、時効の成立を待つのは現実的ではありません。
追徴課税などのリスクを回避するためにも、逃げ切ろうとはせず、申告漏れや未申告に気づいた時点で直ちに申告と納税を行うことが重要です。
相続税が無申告だと課されるペナルティ
期限内に正しく申告・納税を行わないと、本来の税額に加えて、状況に応じた以下のペナルティ(附帯税)が課されます。
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 重加算税
- 延滞税
これらは自主的に申告したかどうかや、隠蔽工作の有無によって税率が大きく異なります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
無申告加算税
無申告加算税は、災害が起きたなど、申告ができない正当な理由がなく、期限内に申告を行わなかった場合に課されるペナルティです。課税される税率は一律ではなく、本来納めるべき税額のうち「50万円以下の部分」と「50万円を超える部分」の2段階に分けて計算されます。
また、適用される税率は申告のタイミングによって大きく変動します。税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告すれば税率は低く抑えられますが、調査を受けた後では高くなる仕組みです。
放置するほど負担が増すため、申告していないことに気づいた際は早急な対応が求められます。
| 納付すべき税額 | 自主的に期限後申告 | 税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受ける前に期限後申告 | 税務調査を受けたあとに期限後申告 |
|---|---|---|---|
| 50万円以下の部分 | 5% | 10% | 15% |
| 50万円を超え300万円以下の部分 | 15% | 20% | |
| 300万円を超える部分 | 25% | 30% |
過少申告加算税
過少申告加算税は、期限内に相続税の申告書を提出していたものの、財産の計上漏れや計算ミスによって、申告額が本来納めるべき金額よりも少なかった場合に課される税金です。
主に税務調査などで指摘を受け、修正申告や、修正申告に応じなかった場合にされる更正処分が行われた際に適用されます。
原則として不足していた税額の10%相当額が課されますが、その不足額が当初の申告額や50万円を超えるような高額なケースでは、税率が引き上げられます。
| 自主的に修正申告 | 税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受ける前に修正申告 | 税務調査を受けたあとに修正申告 | |
|---|---|---|---|
| 「当初の税額」か「50万円」、どちらか高い方の金額以下の部分 | なし | 5% | 10% |
| 「当初の税額」か「50万円」、どちらか高い方の金額を超える部分 | 10% | 15% |
重加算税
重加算税は、相続財産を意図的に隠蔽したり、事実を仮装したりするなど、極めて悪質性が高いと認められる場合に課される最も重いペナルティです。
悪意の有無は、税務調査の実態や関係資料をもとに総合的に判断されます。単なる計算ミスではなく、財産隠しを行っていたと判断された場合の税負担は甚大です。
重加算税の税率
- 過少申告の場合:35%
- 無申告の場合:40%
さらに、特に悪質な脱税行為とみなされた場合は、行政処分にとどまらず刑事罰が科される可能性もあります。
延滞税
延滞税は、相続税を納期限までに納められなかった場合に、納付日までの遅延利息として課される税金です。納期限の翌日から完納するまでの日数に応じて、日割り計算で算出されます。
現在は特例措置により、原則の税率ではなく特例税率が適用されています。ただし、納期限から2ヶ月を過ぎると税率が跳ね上がる仕組みとなっており、時間が経つほど支払額は雪だるま式に増えてしまいます。無駄な税負担を避けるため、一刻も早い納付が必要です。
| 税率 | ||
|---|---|---|
| 原則 | 特例 (納期限が令和7年の場合) | |
| 納期限から2カ月以内 | 年7.3% | 年2.4% |
| 納期限から2カ月過ぎ | 年14.6% | 年8.7% |
相続税の無申告が発覚する理由
税務署は強力な情報収集力と調査権限を持っています。無申告や申告漏れを正確に把握するため、国税庁の高度な管理システムや関係機関との連携を駆使し、常に監視体制を整えています。
「黙っていればわからない」ということは通用せず、あらゆる情報源から資産状況が把握されていると認識しておく必要があります。
国税総合管理システム(KSK)による情報共有
税務署は「国税総合管理システム(KSK)」という巨大なデータベースを駆使し、相続税申告が必要な人物を特定しています。このシステムには、亡くなった方やその家族に関する長年の税務データが集約されています。
具体的には、過去の給与や役員報酬、退職金などの収入に加え、不動産所得、株式や不動産の譲渡益、さらには所得税や固定資産税の納税記録などが網羅されています。
税務署はこれらの情報を分析して財産規模を推測するため、申告漏れは容易に発覚します。
死亡届提出に伴う税務署への通知
家族が亡くなり市区町村の窓口へ死亡届を提出すると、その事実は相続税法に基づき、自動的に所管の税務署へと通知されます。つまり、税務署は「誰がいつ亡くなったか」を即座に把握できる仕組みになっています。
また、この通知の際には、故人が所有していた財産の情報もあわせて共有されます。遺族が税務署へ直接報告をしなくても、行政機関同士の強固な連携により、相続の発生と所有財産の状況はすべて正確に把握されているのです。
税務署による銀行等への調査権限
税務署は強力な調査権限を持っており、職権で金融機関に対し、被相続人はもちろん相続人や親族の口座情報まで照会・入手することができます。
この調査を通じて、亡くなる直前の多額の出金や、家族の名義を借りた「名義預金」、不透明な親族間贈与の有無などが厳しくチェックされます。
金融機関側は正当な理由なくこの開示請求を拒否できないため、銀行口座を通じたお金の動きは、税務署にすべて把握されていると考えるべきです。
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相続税が無申告でも問題ない3つのケース
相続税は、遺産を受け取ったすべての人が申告・納税をしなければならないわけではありません。計算の結果、課税対象額が一定の範囲内に収まる場合や、特定の控除により税額が発生しない場合は、申告手続き自体が不要となります。
具体的には、主に以下の3つのケースが挙げられます。
- 相続財産の総額が「基礎控除額」以下の場合
- 生命保険金や退職手当金の非課税枠を適用し、基礎控除額以下となる場合
- 特定の税額控除を適用し、納税額が0円になる場合
ご自身の状況がこれらに当てはまるか、それぞれの詳細を確認していきましょう。
①相続財産の金額が基礎控除額以下の場合
相続税は、遺産の総額が「基礎控除額」を超えた場合にのみ課税されます。亡くなった方の遺産総額が、この基礎控除額以下であれば相続税は一切かからず、税務署への申告手続きも不要です。
基礎控除額は、以下の計算式で求められます。
基礎控除額= 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例えば、法定相続人が妻と子供2人の計3人であれば、4,800万円が基礎控除額です。遺産がこの金額を超えない限り、何もしなくても問題ありません。
相続税の基礎控除とは?1人当たりの金額や計算方法などを解説②生命保険金や退職手当金の非課税により基礎控除額を超えない場合
受け取った生命保険金(死亡保険金)や死亡退職金には、相続人の生活保障という観点から、一定の金額まで税金がかからない「非課税枠」が設けられています。この非課税枠を差し引いた結果、課税対象額が基礎控除額以下になれば、申告は不要です。
具体的に計算してみましょう。
計算例
- 被相続人:母
- 相続人:父と子2人(計3人)
- 相続財産:預貯金4,000万円 死亡保険金1,000万円
- 基礎控除額: 4,800万円(3,000万円+600万円×3人)
- 死亡保険金の非課税枠: 1,500万円(500万円×3人)
生命保険金の受取額(1,000万円)は、非課税枠(1,500万円)の範囲内のため、全額非課税となります。課税対象になるのは預貯金(4,000万円)ですが、基礎控除額(4,800万円)を下回るため、相続税申告は不要です。
③税額控除の適用で税額が0円になる場合
遺産総額が基礎控除を超えていても、計算された相続税額から各相続人の事情に応じた「控除できる税額」を差し引いた結果、税額が0円になれば申告は不要です。
| 控除の種類 | 控除できる税額 |
|---|---|
| 未成年者控除 | (18歳-年齢)×10万円 |
| 障害者控除 | (85歳-年齢)×10万円 ※特別障害者に該当する場合は20万円 |
| 相次相続控除 | その相続開始前10年以内の前回の相続で、被相続人が納付した相続税額のうち、経過年数に応じて算出される一定金額 |
一方で、以下の制度は、適用した結果、税額が0円になる場合でも申告書の提出が必須要件です。申告をしないと特例が認められず、相続税が課されてしまうため注意が必要です。
- 配偶者の税額軽減
- 小規模宅地等の特例
- 寄付金控除
- 農地等の納税猶予の特例 など
相続税の無申告に気づいた場合の対処法
相続税の無申告や申告漏れに気づいた際、そのまま放置していても事態が好転することはありません。むしろ、時間が経つほど延滞税などの負担が増し続けます。
ペナルティを最小限に抑えるために、以下の対処法を直ちに実行してください。
- 速やかに期限後申告や修正申告を行う
- 税理士に相談する
それぞれの具体的な手順と重要性について解説します。
速やかに修正申告を行う
計算ミスや無申告に気づいたら、一刻も早く正しい申告書を提出してください。税務署から調査の連絡が入る前に、自分から自主的に申告を行えば、ペナルティである無申告加算税や過少申告加算税の税率が大幅に軽減されます。
指摘を受けてからでは高額な税率が適用されてしまいます。負担を最小限に抑えるためにも、気づいた時点で直ちに行動することが重要です。
相続税の修正申告とは|必要なケースやペナルティ、手続き方法税理士に相談する
相続税の無申告状態を解消するには、複雑な計算や税務署との専門的な交渉が必要です。自己判断で進めると新たなミスを招く恐れがあるため、専門家である税理士への相談を強く推奨します。
税理士に依頼すれば、正確な申告書の作成はもちろん、税務署への対応や、ペナルティを最小限に抑えるための対策など、状況に応じた適切なサポートが受けられます。
問題が深刻化する前にプロの手を借りることで、精神的な負担を減らしつつ、迅速かつスムーズに解決への道筋をつけることが可能です。
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