法人の節税におすすめの対策10選!効果的な方法や注意点などを解説
目次
法人は、事業活動で得た利益に対して法人税などを納める必要があります。
節税は、この税負担を合法的に軽減する手段であり、会社の資金繰りや経営安定化には不可欠なものです。ただし、節税対策は複雑で専門的な知識が必要となるため、誤った方法を取ると逆にリスクを招く可能性もあります。
本稿では、健全な経営を目指す上で知っておくべき節税と実践における注意点について解説します。
法人の節税対策の必要性
企業は、事業で得た利益に応じて法人税等を納める義務があります。企業は、事業で得た利益に応じて法人税等を納める義務があります。そのため、多くの企業が、経営を安定させるために、利益を確保しつつ法律を遵守した上で適正に税負担をコントロールする節税に取り組んでいます。
節税とは、必要経費の適正な計上、税制優遇措置の活用などを通じ、法律の範囲内で税負担を軽減する行為です。これにより、納税額を適正に抑え、企業の資金を有効活用することが可能となります。
【要チェック】法人の節税対策10選
- 役員報酬を最適化する
- 役員・従業員の家を社宅にする
- 自家用車を社用車にする
- 生命保険や共済に加入する
- 短期前払費用の特例を利用する
- 出張旅費規程を作成する
- 健康診断・社員旅行を実施する
- 少額減価償却資産の特例を利用する
- 未払費用を計上する
- 不良在庫を処分する
①役員報酬を最適化する
役員への報酬は、定期同額給与などの要件を満たすことで、会社の経費として計上でき、法人税の節税につながります。報酬額を増やすと会社の利益が減り、その結果、法人税の納税額は低くなります。
ただし、役員報酬の金額設定には注意が必要です。高額に設定すると、法人の税負担は軽減されますが、役員個人の所得税や社会保険料が増加します。反対に、低く設定しすぎると、役員の生活資金が不足する可能性が出てきます。
法人と個人の税負担のバランスを考慮して報酬額を設定することが重要です。
②役員・従業員の家を社宅にする
役員の住んでいる賃貸物件の家賃を、会社の損金とすることも節税対策の1つとなります。
社宅制度は、福利厚生として経費計上でき、節税効果が期待できます。
経費にするには、国税庁が定める賃貸料相当額の50%以上を従業員から家賃として徴収する必要があります。
注意点として、徴収額が50%未満の場合、賃貸料相当額と徴収額の差額が給与と見なされ課税対象となります。そのため、会社が支払う家賃の全額が経費になるわけではありません 。
適切な家賃設定により、企業と従業員双方の税負担を軽減できるのが社宅制度の魅力です。
家賃料相当額の計算方法
- 建物の固定資産税課税標準額に基づく計算
- 建物の総床面積に基づく計算
- 敷地の固定資産税課税標準額に基づく計算
賃貸料相当額 = ① + ② + ③
法人契約への変更で、法人と個人の税負担を同時に軽減できます。
③自家用車を社用車にする
個人名義の自動車を法人名義に変更し、会社の社用車として使用することも節税となります。
自動車保険料の増額分と、その他経費の損金計上分を比較し、どちらの選択が会社にとって有利になるか、検討をする必要があります。
個人所有の車を法人名義に変更し、社用車とすることで様々な費用を経費にでき、法人税の節税につながります。
主な経費
社用車として認められると、以下の費用を会社の経費として計上できます。
- 自動車税
- ガソリン代
- 高速代
- 駐車場代
- 自動車保険料
減価償却費と注意点
購入費用は減価償却費として耐用年数に応じて計上できます。中古車は新車よりも償却期間が短いため、早期に節税効果を得られる点も特徴です。
ただし、法人名義にすると個人契約での保険料割引が使えず、自動車保険料が高くなる場合があります。また、私的利用と混在する場合は業務使用割合に応じた按分処理が必要です。
なお、購入ではなくリース契約を選択する方法もあります。リース料には自動車税や保険料、メンテナンス費が含まれるため、毎月の支払いが一定となり資金計画を立てやすくなります。
④生命保険や共済に加入する
生命保険を法人契約にすることで、保険料を会社の損金として計上でき、節税につながります。保険の種類によっては保険料の全額、または一部が費用なります。ただし、解約返戻金や保険金を受け取った場合は収入となるため、詳細の課税も見据えて活用することが大切です。
経営セーフティ共済
中小企業向けの共済制度である「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」も有効な節税対策です。
この制度は、取引先の倒産時に売掛金等の債権の回収が困難な場合に貸付を受けられる制度で、支払った掛金は全額損金として計上できます。
月々の掛金は5,000円から20万円まで自由に設定でき、合計で最大800万円まで積み立て可能です。また、解約時に掛金を40か月以上納めていれば全額掛金が戻ります。12か月未満は掛け捨てとなります。
生命保険と経営セーフティ共済の併用で、企業の税負担を軽減しつつ、万一のリスクに備えられます。
⑤短期前払費用を計上する
短期前払費用とは、支払日から1年以内に役務提供を受ける費用を、支払時に全額費用として計上できる特例です。
月払いから年払いに変更することで節税効果がありますが、その効果は適用初年度に限られます。この特例は継続して適用する必要があり、一時的な利益調整目的の使用は認められません。
また、年払いにはまとまった資金が必要となるため、資金繰りの考慮も重要です。
短期前払費用として費用計上可能なもの
- 地代家賃
- リース料
- 保険料
- 協会費・年会費
- 電子版の雑誌購読料
- 信用保証料
初年度の効果に過度に依存せず、資金繰りも踏まえた計画的かつ継続的な利用が節税の鍵です。
⑥出張旅費規程を作成する
出張の多い企業にとって、出張旅費規程の整備は、税務調査への備えと適正な経費処理の両面で重要な役割を果たします。規程を設けることで、出張の範囲や支給額が明確になり、税務上も安心して旅費を処理できます。
この規程に基づき日当を支給すれば、一定の要件を満たす限り、所得税や住民税の課税対象とはならず、従業員の手取りが増えてモチベーション向上につながります。会社にとっても、日当を全額経費に計上できるため、法人税の負担軽減が可能です。
ただし、支給額は社会通念上妥当な水準であり、かつ全従業員に公平に適用されることが条件となります。適切な規程整備と運用によって、企業と従業員双方にメリットをもたらす仕組みとなります。
規程整備で節税と安心を両立
⑦健康診断・社員旅行を実施する
従業員の健康診断や社員旅行の費用は、一定の条件を満たすことで福利厚生費として経費計上でき、節税効果が期待できます。 ただし、それぞれに認められる条件があります。
健康診断費用が福利厚生費となる条件
- 全従業員を対象とする公平な制度であること
- 社会通念上、妥当な金額であること
- 会社が直接医療機関に費用を支払うこと
※現金支給や一部の役員のみ対象の場合は給与扱いとなり課税対象
社員旅行費用が福利厚生費となる条件
- 旅行期間が4泊5日以内であること(海外旅行は現地滞在日数)
- 全従業員を対象とし、参加率が50%以上であること
- 一人あたりの費用が社会通念上妥当
- 不参加者には金銭を支給しないこと
これらの条件を満たし、公平な制度設計を行うことで、福利厚生費として認められやすくなります。
公平な制度設計で福利厚生費に!
⑧少額減価償却資産の特例を利用する
少額減価償却資産の特例とは、中小企業者等(資本金1億円以下の法人や青色申告をしている個人事業主など)30万円未満の資産を取得した場合に、一定の条件を満たせば一括して全額を経費計上できる制度です。
通常は数年にわたり減価償却を行いますが、この特例を利用することで即時に費用化でき、資金繰りや節税に役立ちます。ただし、年間300万円までという限度額がある点に注意が必要です。
少額資産は一括経費に!
⑨未払費用を計上する
未払費用とは、決算期までに発生しているものの、まだ支払っていない費用を指します。例えば、決算賞与、固定資産税、社会保険料などが代表的です。これを計上することで、費用と収益を同じ期間に対応させ、正確な損益計算が可能になります。
メリットは、節税効果や決算数値の適正化が図れる点です。一方で、翌期に支払いが行われなければ否認されるリスクがあり、特に決算賞与などは支給要件や通知の有無が重要です。計上の判断には、適切な証拠資料とルールの整備が求められます。
発生済みの費用を計上して利益を適正化!
⑩不良在庫を処分する
不良在庫は抱えたままでは資産として計上され続けます。不良在庫を処分すると、その費用を廃棄損として費用計上でき、法人税の節税につながります。ただし、税務調査で否認されないためには、実際に廃棄した事実を証明する客観的な証拠が必要です。
そのため、処分を依頼した業者からの廃棄証明書は必ず保管しましょう。その他、廃棄の決定を記した稟議書や廃棄品のリスト、なども準備しておくと安心です。
計画的な処分で資金繰り改善
税理士・司法書士・社労士・財務会計・会計・不動産・カンボジア
キークレアグループ一丸となって支援いたします!
受付時間:8:30-17:30 / 定休日:土・日・祝日
効果的に節税するなら税理士に依頼すべき?
顧問税理士の節税対策に納得がいかないと感じることは珍しくありません。会社のことは社長が一番理解しているからこそ、その事業に合わない節税策は不安に感じるものです。
例えば、提案内容が画一的、自社の状況に合っていなかったり、節税額は大きくても、資金繰りを圧迫してしまったりと、むしろ会社に負担を与えるケースもあります。
税理士に依頼する最大のメリットは、自社の状況に合った、本質的な節税対策を提案してもらえることです。税務の専門家として、会社の資金繰り将来計画を考慮した上で、最適な方法を見つけてくれます。
キークレア税理士法人では、顧問先様からのご相談の有無にかかわらず、社内で常に検討を行い、最も適した節税方法を考えています。だからこそ、必要なタイミングで的確なご提案が可能です。もし現在の顧問税理士の節税対策にご不安がある場合は、ぜひ私たちにご相談ください。
税理士を変えるタイミングや手順について法人の節税に関する注意点・ポイント
節税は税金の支払いを減らすことで、手元に資金を残す有効な手段です。しかし、節税対策によっては、かえって資金繰りを悪化させたり、将来的なリスクを招いたりする注意点もあります。これを理解した上で、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
計画的かつ最適な時期に行う
スケジュールに沿った節税計画
節税対策は、決算直前に慌てて行っても効果が薄いことがあります。一般的には、決算日から決算期の3か月前ごろからその期の最終的な利益を予測し、納税額の見込みを立てることをお勧めします。この段階から具体的な節税対策を検討し始めることで、自社の状況に最適な方法をじっくりと見極めることができます。
決算直前では、間に合わない可能性がありますので、早め早めに計画をたて、決算直前で最終判断ができるようにしておくことが必要です。
決算直後は、期末までの費用を洗い出し、2か月後の申告書作成に備えるようにしましょう。
| 決算3ヶ月前 | 利益予測をたてる、資金確認、納税予測 |
|---|---|
| 決算直前 | 最終判断、納税予測 |
| 決算直後 | 期末までの費用の洗い出し |
| 決算2か月後 | 申告書提出 |
会計処理を明確にしておく
節税の第一歩は、なんと言っても自社の正確な財務状況を把握することから始まります。そのために不可欠なのが、月次の試算表や資金繰り表といった「経営管理資料」です。これらはまさに会社の「健康診断書」とも言えるもので、現在の経営状態を客観的な数値で示してくれます。
しかし、もし目先の節税にとらわれ、実態と異なる会計処理を行ってしまうと、これらの資料の信頼性が失われてしまいます。その結果として、会社の真の利益や必要なコストが見えなくなり、資金繰りの悪化や経営判断の誤りを招くことにもなりかねません。
健全な節税は、正確な会計処理の上に成り立つことを忘れないようにしましょう。
過度な節税にならないようにする
節税は法律の範囲内で認められた、企業の利益を守るための正当な行為です。
しかし、その方法を誤ると「行き過ぎた節税」、つまり脱税と判断されかねない危険性もはらんでいます。
会社側では「効果的な節税策」と考えていても、税務署から「経済的合理性のない、実態のない取引」と見なされ、後から追徴課税を課されるケースは少なくありません。
だからこそ、自社の成長フェーズや利益状況といった「身の丈」に合った、適切な節税策を計画的に実行することが何よりも重要になります。そこで次に、企業規模別に安心して取り組める、おすすめの節税対策を解説していきます。
【企業規模別】おすすめの節税対策
企業の成長段階や規模によって、効果的な節税手法は全く異なります。従業員を抱える中小企業と、ひとり社長(マイクロ法人)では、目指すべきゴールや資金繰りの考え方に大きな違いがあるからです。
自社のフェーズに合わない対策を行うと、かえって手元資金を減らすことになりかねません。ここではキークレアの視点から、それぞれの企業規模に最適化した節税のアプローチを解説します。
中小企業向けの節税対策
中小企業が取り組むべき節税対策には、以下のようなものがあります。
- 役員給与の適正設定
- 少額減価償却資産の特例活用
- 福利厚生費の拡充
- 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の加入
- 不良在庫・滞留資産の処分
これらを実践することで資金繰り改善や内部留保の充実につながり、事業の安定性や成長投資の余力を確保できる点がメリットです。
1人法人の節税対策
1人法人での節税対策と中小企業での節税対策とではその目的が異なります。中小企業が行う節税対策においては、会社の存続と成長を目的とします。一方、社長個人の家計と会社の財布が密接なひとり法人では、法人税だけでなく個人の税も含めた「トータルの手残り最大化」を目指します。
下記の節税対策により、個人所得税と法人税をトータルで抑え、資産形成と手取りの最大化が可能になります。
- 役員報酬のバランス調整
- 自宅を社宅扱いにして家賃の一部を経費化
- 生命保険の活用による資金繰りや保障の確保
- 必要経費の法人計上による課税所得の圧縮
法人の節税はキークレアにぜひご相談ください
今まで節税の方法を見てきましたが、みなさんの会社では適切な節税対策を実践できているでしょうか。節税は有効な手段である一方で、かえって資金繰りを悪化させたり、将来的なリスクを招いたりすることもあります。大切なのは、こうした注意点を理解したうえで、自社の実情に合った方法を選ぶことです。
また、節税について迷ったときには税理士に相談するのが最善です。キークレア税理士法人では、顧問先様からのご相談を待つのではなく、平素から社内で検討を重ね、それぞれの会社に最も適した節税方法をご提案しています。
もし現在の節税対策に少しでも不安やご心配がございましたら、ぜひ私たちにご相談ください。