キャッシュフローを改善する10の方法|経営改善のポイントをご紹介
目次
経営をしていると、どんな業種であっても、法人・個人に関係なく、キャッシュフローという言葉はよく耳にすると思います。
今回は、キャッシュフローとはそもそも何なのか、どうして金融機関はキャッシュフローを重要視しているのか。また、その大事なキャッシュフローはどうやったらよくなるのか。といった部分をお話ししたいと思います。
キャッシュフローとは
キャッシュフローとは、その名のとおりキャッシュ(お金)のフロー(流れ)を言います。
キャッシュフローがプラスであれば、お金は増えていて、逆にマイナスであれば、お金は減っています。
ただし、キャッシュフローがマイナスだからといって必ずしも悪い状態というわけではありません。年間や月間などの一定期間ごとにみていきますので、いい経営状態であっても、急に大きな出費がかさんだときには、どうしてもマイナスとなる場面もあります。
個人の生活費と同じで、車を購入した月はマイナスになり、友人の結婚式に子供のランドセル購入が重なればマイナスとなる月もあります。
ですので、キャッシュフロー計算書は、経常的なマイナス(プラス)なのか一時的なマイナス(プラス)なのかの区別がつくように、中身を3つに区分します。
営業活動によるキャッシュフロー | 営業活動のみのお金の流れを表します。 |
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投資活動によるキャッシュフロー | 投資活動(証券投資・設備投資など資産に関するもの)のお金の流れを表します。 |
財務活動によるキャッシュフロー | 財務活動(借入など資金調達に関するもの)のお金の流れを表します。 |
キャッシュフロー計算書については、別の記事でまとめています。
キャッシュフロー計算書の必要性とは?作成する目的やメリットについて キャッシュフロー計算書の見方・読み方と経営分析のポイントキャッシュフローが悪いとどんなリスクがある?
キャッシュフローはお金の流れです。キャッシュフローのマイナスは、そのまま、保有現金の減少を意味しますが、一概に悪いとは言えないマイナスもあります。
単純ですが、マイナスが続くと、お金はどんどん減少します。
お金が少なくなれば、仕入れの支払いも従業員の給与の支払いもできなくなりますし、社会保険料や消費税を滞納することになります。そうなってから金融機関に借入れを申し込もうとしたのでは、断られることも多くなります。
黒字にもかかわらず倒産してしまう黒字倒産と呼ばれるのもこのパターンで、利益はでていたとしても、保有現金が枯渇し支払不能になると倒産せざるを得ないこともあります。
キャッシュフローが悪化した場合のリスク
- 資金繰りが厳しくなる
- 将来への投資が難しくなる
- 黒字倒産のリスクが高まる
キャッシュフローが悪化する要因
キャッシュフローはお金の流れです。キャッシュフローが悪いときは、お金の流入(キャッシュインフロー)とお金の流出(キャッシュアウトフロー)のどちらか(又は両方)に原因があります。
浴槽に水を貯めるために、排水口の栓を開けたまま、蛇口をひねって水を入れているイメージです。キャッシュフローが悪いときは、入ってくるお金が少なく、出ていくお金が多いのです。
キャッシュインの減少による悪化
蛇口から入ってくる水(キャッシュインフロー)が少ししかないと、排水に追い付かずどんどん浴槽内の水は少なくなっていきます。
例えば、
- 本業が赤字
純粋に売上高が経費を下回っている状態です。 - 売掛債権の未回収
売上は立っているけど入金されていないものが多く残っている状態です。
回収が遅れている債権のことを滞留債権といいます。
もちろん、両方が同時に起こっていることもあります。蛇口から入ってくる水を定期的に見直しましょう。
キャッシュアウトの増加による悪化
排水口から出ていく水(キャッシュアウトフロー)が多いと、どれだけ蛇口をひねろうとも、どんどん浴槽内の水は少なくなっていきます。
例えば、
- 売上を生まない(効果が薄い)ムダな出費
- 過剰在庫の保有
仕入費用だけを先に支払い、資金の回収(売上)ができていないものが多額にある状態です。在庫を保管するための倉庫代など、追加でコストが発生する場合もあります。 - 膨大な設備投資
設備投資には多額の資金が必要になるうえ、設備投資の効果が利益に反映されるには時間がかかります。付随して維持管理費等がかかる場合もあります。 - 借入金の返済
借入金を早く無くしたい気持ちから、無理のある返済をしている場合があります。設備投資のための借入金の場合、効果が反映されるまでの間も返済が発生し、支出が先行する場合も多く見られます。 - 売掛金の回収と買掛金の支払いのタイムラグ
売掛金の滞留などで、買掛金の支払いとの間にタイムラグが起きると、支出が先行してお金が不足します。
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キャッシュフローを改善するには?【10の改善方法】
では、キャッシュフローを改善するにはどうしたらいいのでしょう?
具体例をいくつか紹介します。
10の改善方法
- 資金繰り表を作成する
- 利益を出す
- 債権回収を徹底的に管理する
- 売上は前払い・支払いは後払いで契約する
- 売上債権を売却する(ファクタリング)
- 無駄な経費を削減する
- 不良在庫や遊休資産を売却する
- クレジットカードを活用する
- 融資等で資金調達を行う
- 自己資本を増やす
資金繰り表を作成する
資金繰り表とは、月々の資金繰りを表にして可視化したものです。まずはこの資金繰り表を作成することで、現状のキャッシュフローを確認できるようにしましょう。
定期的に確認することでキャッシュフロー悪化の兆候にいち早く気付くことができます。
経営に重要な「キャッシュフロー計算書」と「資金繰り表」の違いとは?利益を出す
一番確実で重要なキャッシュフローの改善方法は、シンプルに利益を出すこと>です。
他の一時的なキャッシュフローの改善をいくら行っても、根本的に赤字体質であれば延命措置にすぎません。
利益を出す方法
(蛇口を大きくする・蛇口の数を増やす/排水口を小さくする)
- 売上高の増加
- 売上は増えずとも、原価を見直し、粗利益を増やす
- 販売費・一般管理費を見直す など
債権回収を徹底的に管理する
売掛金の回収は非常に大事です。
仮に100万円の貸倒れ(回収不能)が発生したときには、粗利益が無くなっただけではなく、原価等の投下資本を含めて100万円全額が「損失」となります。そして、その100万円の損失は、営業利益率が5%の企業の場合2,000万円の売上を失ったことと同じ価値になります。(利益率2%の場合は5,000万円の売上と同じ価値です!)
未回収や遅延のないようにしっかりと管理しましょう。
売上は前払い・支払いは後払いで契約する
売上は前払いで先にお金をもらえる契約、支払いは後払いで支払う契約にすることでキャッシュフローを改善することができます。これにより、同じ流れのまま、浴槽の水位をあげることができます。
これは水位をあげるだけですので、併せて、流入を多くし、流出を少なくする改善策を見直しましょう。
キャッシュフロー改善の4原則について
- キャッシュインは多く
- キャッシュインは早く
- キャッシュアウトは少なく
- キャッシュアウトは遅く
売上債権を売却する(ファクタリング)
売上の現金化(キャッシュインフロー)を早める手段として、売上債権を売却する(ファクタリング)という手段もあります。
ファクタリングには手数料がかかりますが、いくつかのメリットがあります。
ファクタリングのメリット
- 融資を断られていても利用できる可能性が高い
- 金融機関の審査に比べてスピーディー
- 借入金とは異なり負債にはならない など
無駄な経費を削減する
無駄な経費を見直し、削減することで、直接出ていくお金を小さくしましょう。仕入れにかかる経費や通信費、水道光熱費、地代家賃、保険料などひとつひとつ見直しましょう。
固定費の部分を削減すれば毎月の支払額が下がるため、効果的にキャッシュフローを改善することができます。
不良在庫や遊休資産を売却する
不良在庫や遊休資産がある場合は、売却し現金に換えましょう。
不良在庫
- 在庫が売れずに残っていると自由に使える資金がずっと圧迫されます。
- 仕入れ価格よりも安い価格であっても、売却して資金化することも検討しましょう。
- 不良在庫は、倉庫等維持費も必要となる場合が多く、処分することにより固定費の削減も見込めます。
遊休資産
- 遊休資産とは使わなくなった資産、寝かせたままの資産を言います。
- 遊休資産であっても、所有し続けるための維持コストや、借入金がある場合はその返済・利息の負担だけが生じます。
- 固定資産税(償却資産税)の申告対象でもあるため、税金を負担することになります。
- 早期売却した方が、売却価額分のキャッシュを借入金の返済に充てられ、金利負担も軽減できます。
クレジットカードを活用する
クレジットカードを活用することで、実際の支払日を翌月にまわすことができ、キャッシュフローを改善することができます。
また、カードの種類によってはポイントやマイルが貯まるものもありますので、現金決済よりも得する場合もあります。
融資等で資金調達を行う
長期的な資金繰りや設備投資等でまとまった資金が必要な場合は、金融機関からの借入れも検討しましょう。借入れ先は銀行や信用組合・信用金庫、日本政策金融公庫などです。
日本政策金融公庫や自治体の制度融資は中小企業や小規模事業者のサポートを目的としています。そのため金利が低めに設定されており、審査に通りやすいというメリットがあります。
資金調達については別にまとめています。
日本政策金融公庫の融資の流れ自己資本を増やす
借入金同様、自己資本を増やすことも現金残高を底上げします。自己資本が増えると、金融機関からの信頼も得やすくなり、資金調達もしやすくなります。
資本金の額により一部の税金が高くなる場合もありますので、ご注意ください。
自己資本を増やす方法
- 増資をする
- 利益を出す
- 配当を抑える
キャッシュフローの改善は専門家に依頼すべき?
キャッシュフローは、冒頭の悪くないマイナスが存在するように、把握・理解するのに時間がかかり、ご自身だけで改善策を実行するにはリスクや難しさがあります。
しかし、キャッシュフローは企業の血液といわれるほど大事な要素で、うまく回らないと黒字であっても倒産してしまいます。
是非、正しい知識を持った専門家に依頼することをおすすめします。
キークレアに依頼するメリット
キャッシュフローが改善されて、安定した流れを維持できるようになると、資金面で時間をとられることなく本業に集中できるようになります。この効果は非常に大きいです。
また、キャッシュフローが安定すると、いつでも融資を受けられる状態となり、ビジネスチャンスに迅速に対応できるようになります。
キークレアでは、グループ内に財務会計コンサルティング法人もありますので、経営課題の早期分析・改善提案が可能です。
また、早期に試算表や資金繰り表を作成できるよう、クラウド化を推奨しており、クラウド会計導入支援も行っております。
財務コンサルやクラウド会計の良い点は別にまとめています。
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財務改善・経営改善に関するお悩みは、専門家であるキークレア税理士法人にお任せ下さい。
損益が黒字であっても倒産してしまうこともあるように、キャッシュフローがとても大事な要素であることがわかっていただけたと思います。
キャッシュフローが悪化していた場合には早急の改善が必要です。しかし、冒頭の悪くないマイナスもあるなど、正しい知識と豊富な経験がないと、なかなか正しい判断ができません。
キャッシュフロー改善は専門家のサポートがおすすめです。
キークレアでは財務会計コンサルティング法人もあり、財務の知識と経験が豊富にあります。
わたしたちキークレアにサポートをご依頼いただけることをお待ちしております。