黒字倒産とは?キャッシュフローを理解して黒字倒産リスクを回避!
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目次
黒字で利益を出せているのにキャッシュが枯渇して倒産するケースがある事はご存じでしょうか。
黒字倒産の件数は意外と少なくなく、2020年の倒産件数のうち46.8%は黒字倒産となっています(東京商工リサーチ)
この黒字倒産を防ぐにはキャッシュフローを理解することがとても大切です。
黒字倒産の仕組みや原因、キャッシュフローとの関係、回避する方法などを知っておくことは経営をする上で非常に重要な事項になります。
黒字倒産とは?
黒字倒産とは、損益計算書上で利益が出ているにもかかわらず、実際の手元の現金が不足し、倒産してしまう事を指します。
利益が出ていても、資金繰りがうまくいっていないために借入金の返済などに支障が生じ、最終的に経営が破綻することが倒産する原因となります。
利益の増加額とキャッシュの増加額は必ずしも一致せず、業種によって黒字倒産のリスクは異なります。例えば建設業などは、長期プロジェクトに伴う資金の先行投入や、工事完了後の入金までの期間が長いことが要因で支払いが困難となり、倒産してしまう事もあります。
黒字倒産を防ぐためには、キャッシュフローの適切な管理と資金繰りの予測・計画が重要です。
なぜ起こる?黒字倒産になる主な原因
黒字倒産は、主にキャッシュフローの悪化が原因とされています。
具体的な要因としては、まず、売上高が増加しても、資金回収までに時間がかかる場合や、債権回収率が低い場合にはキャッシュインが遅れ、キャッシュフローが悪化する事が挙げられます。
また、運転資金不足や資本支出の増加、借入金の返済などによりキャッシュアウトが増加する場合もありますし、さらに、売掛金の回収遅延や支払い期日の守れない取引先との関係も影響を及ぼします。
黒字倒産を予防するためには、キャッシュフローの悪化要因を把握し、キャッシュインの改善やキャッシュアウトの効率化を図る必要があります。また、資金繰り計画の策定や適切な予算管理、取引先との信頼関係の構築も重要です。
資金繰りの管理不足
資金繰りは、企業が日々の事業活動に必要な現金を確保し、適切に管理することを指します。
黒字倒産が起こる原因の一つは、利益にばかり注目して資金繰りの管理がおろそかになることです。
適切な資金繰り管理を行うことで、支払日が近づくにつれて現金が不足していることに気づき、必要な資金を調達することができます。
資金繰りの適切な管理は企業の安定的な経営を支える重要な要素となります。
売掛金の管理不足や入金の遅れ
売掛金の管理不足や入金の遅れは、黒字倒産の主要な要因となります。
商品を引き渡したからといって、代金を即座に受け取れるわけではありません。売掛金が回収できなければ、会社に現金は入ってこないため、仕入れ費用や給料などの支払いが滞ることになります。
特に新たに起業した会社は、売上の現金化が遅れがちであり、手元の現金が枯渇してしまいやすく、黒字倒産のリスクが高まる可能性があります。
売掛金の管理や債権回収の迅速化は、キャッシュフローの健全性を確保し、経営の安定化に大きく寄与します。
過剰な在庫保有・設備投資
過剰な在庫保有や設備投資も黒字倒産の主な原因となります。
在庫は販売されて現金化されるまでに時間がかかるため、特に過剰な在庫を抱えてしまうと売れ残りのリスクが高まります。
また、在庫を経費化する際も、売れた時に計上となりますので、損益計算書上は費用になっていないことで利益が出ているように見える為勘違いしやすい項目となります。
同様に、設備投資も多額の資金を要し、その効果が現れるまでに時間がかかります。
設備投資による生産能力の増強や効率化は将来的な収益向上につながる可能性がありますが、投資後の現金フローの効果には時間のラグが生じます。
その間に十分な現金を確保できない場合、経営の安定性に悪影響を及ぼし、黒字倒産のリスクが高まります。
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黒字倒産のリスクを確認するには?
黒字倒産のリスクを確認するためには、早期の発見が重要です。
損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書や貸借対照表も確認することが不可欠です。これらの財務諸表を総合的に分析することで、企業のキャッシュフローの健全性や経営状態の安定性を把握し、黒字倒産のリスクを早期に把握することができます。
キャッシュフロー計算書を確認する
キャッシュフロー計算書は、企業の現金の収入と支出を明確にする財務諸表です。
一般的には上場企業が作成する義務がありますが、中小企業や個人事業主においても作成することをおすすめします。
キャッシュフロー計算書を活用することで、黒字倒産のリスクを確認することができます。特に注意すべきポイントは、支出が多くなりそうな月や季節に早急に資金繰り対策を講じることです。詳細な解説や具体的な見方については、以下のリンク先をご参照ください。
キャッシュフロー計算書の必要性とは? キャッシュフロー計算書の見方・読み方と経営分析のポイント貸借対照表の「純資産」を確認する
貸借対照表は、企業の財務状況を示す財務諸表の一つです。
黒字倒産のリスクを確認するためには、特に貸借対照表の「純資産」に注目することが重要です。純資産の合計がマイナスになっている場合、それは借入金で資金がつながっている厳しい状態を意味します。純資産は、試算から負債を引いたもの、もしくは、出資等に累積利益を加算したものであり、企業の純資産が負債を上回っていることが安定した財務状態を示す指標となります。
黒字倒産を回避するためのポイント
黒字倒産を回避するためのポイントは、まずキャッシュフローの改善です。売掛金の回収や在庫管理の最適化など、現金化を促す施策を取りましょう。
さらに、キャッシュフロー経営を心がけることも重要です。
資金の受け渡しタイミングや支出の調整、適切な資金調達策の構築など、現金の流れを見据えた経営を行いましょう。これにより、安定した経営を実現することが可能です。
キャッシュフローを改善する
キャッシュフローの改善は黒字倒産を防ぐための重要な手段です。
キャッシュフローが健全であれば、資金不足や支払いの滞りを防ぐことができます。具体的な改善方法としては、以下のような施策があります。
資金繰り表を作成する
収入と支出を明確に把握し、キャッシュフローの予測と管理を行います。
利益を出す
売上増加やコスト削減により、利益を確保します。
債権回収を徹底的に管理する
売掛金の回収を迅速かつ効率的に行います。
売上は前払い・支払いは後払いで契約する
現金の流れを調整し、キャッシュフローを改善します。
売上債権を売却する(ファクタリング):現金化を図り、資金繰りを改善します。
売上債権を売却する(ファクタリング)
現金化を図り、資金繰りを改善します。
無駄な経費を削減する
コストの見直しや効率化を行い、キャッシュフローを改善します。
不良在庫や遊休資産を売却する
処分可能な資産を現金化し、キャッシュフローを改善します。
クレジットカードを活用する
支払いのタイミングを調整し、現金の確保に役立てます。
自己資本を増やす
株式発行や内部留保の活用など、自社資本を増やします。
また、資金調達やM&Aもキャッシュフロー改善の手段として有効です。
キャッシュフローを改善する10の方法資金調達をする
黒字倒産を回避するためには、適切な資金調達が必要です。
資金調達は融資や他の金融手段を活用することが一般的ですが、資金調達を円滑に進めるためには、専門家のサポートを受けることがおすすめです。
税理士やファイナンシャルアドバイザーなどの専門家は、融資の相談や事業計画の作成において有益なアドバイスを提供してくれます。
具体的には、融資の相談をする際に専門家と相談し、最適な融資方法や条件を選ぶことが重要です。また、融資を受けるには事業計画の作成が求められることもあります。
詳細な解説や融資相談の税理士の選び方については、以下のリンク先をご参照ください。
M&Aを活用する
M&A(合併・買収)を、黒字倒産による経営破綻を回避する手段として活用されるケースも少なくありません。M&Aによって事業を譲渡することで、獲得した資金を債務の返済や経営の立て直しに充てることができ、経営破綻を回避することが可能です。
M&Aにおいては、財務デューデリジェンスが重要な役割を果たします。財務デューデリジェンスは、対象企業の財務情報や資産・負債の状況を詳細に調査・分析するプロセスです。これにより、M&Aを検討する企業は、リスクや企業のポテンシャルを把握することができます。
キャッシュフロー経営を心がける
キャッシュフロー経営を心がけることには以下のようなメリットがあります。
- 長期にわたって安定した企業経営が可能になる。
- 資金ショートのリスクが減少し、対外的な信用力が高まるため、借入れがしやすくなる。
- 手元の資金が豊富になり、経営の自由度が高まる。
- 経営戦略や投資計画を柔軟に実行することができる。
- 緊急の支出や機会に迅速に対応できる能力が向上する。
これらのメリットにより、キャッシュフロー経営を実践することで企業は安定性や持続可能性を高めることができます。
キャッシュフローの管理に重点を置き、収益性だけでなく現金の流れにも注目することが重要です。
黒字倒産を防ぐには専門家に依頼すべき?
黒字倒産を防ぐためには専門家に依頼することが重要です。専門家に依頼する理由は以下の通りです。
改善リスクの低減
自分だけで改善を試みる場合、正しいアプローチや手法を見極める難しさがあります。
専門家は豊富な知識と経験を持ち、適切なアドバイスや戦略を提供します。
専門知識とスキル
黒字倒産の予防には財務分析や資金繰りの適切な管理、節税対策など幅広い知識が必要です。
専門家はこれらの専門知識とスキルを持ち、経営課題の分析や改善策の提案ができます。
キークレアグループでは、財務コンサルティング法人との連携により、経営課題の早期分析や改善提案が可能です。
また、経営革新支援機関としても活動し、資金繰りのサポートを行っています。さらに、クラウド会計の導入支援や効果的な節税対策のアドバイスも提供しております。
キークレアグループには、豊富な経験と専門知識を持つチームがあり、企業の財務分析や資金繰りの相談に応じる事が可能です!
クラウド会計を導入すべき?導入支援・サポートで課題を解決!赤字だからといって倒産するとは限らない
純利益が赤字だからといって必ずしも倒産するわけではありません。
実際には、赤字でもその月の支払いを行う資金が手元にあれば、資金繰りは順調に回ることがあります。そのため、赤字の状況を判断する際には「フリーキャッシュフロー」が重要です。
フリーキャッシュフローとは、営業活動キャッシュフローと投資活動キャッシュフローを合算したものです。営業活動キャッシュフローは企業の日常的な事業活動から生み出される現金の流れを示し、投資活動キャッシュフローは資産の取得や売却による現金の流れを示します。
赤字の状態でもフリーキャッシュフローがプラスであれば、事業から十分な現金を生み出していることを意味します。これにより、赤字に直面しても支払いや投資に必要な資金を確保することができ、倒産リスクを低減できます。
したがって、企業は単に純利益だけでなく、フリーキャッシュフローの状況も注視する必要があります。
黒字倒産を回避するためにキークレア税理士法人がサポートいたします。
黒字倒産を回避するためには、キャッシュフローの改善が不可欠になり、分析や経営改善は専門家のサポートが非常に有効です。
キークレアグループの強みは、経営課題の早期分析や改善提案が可能な財務コンサルティング法人との連携です。資金繰りのサポートやクラウド会計導入支援、効果的な節税対策なども行っています。
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