【歯科医院向け】節税対策5選!重要性や注意点について税理士が解説

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

個人で歯科医院を開業し、収入や利益が増えてくると当然支払うべき税金も増加します。
そこで、使える節税策は何かないのだろうかと歯科医院を経営する院長は悩まれることかと思います。

本稿では節税の重要性とともに節税ばかりに気を取られないことの重要性、また法人化やMS法人についてなど、歯科医院を経営する院長が気になるアレコレについて解説していきます。

歯科医院は設備投資が多額となり、固定費率が高く変動費率が低くなるケースが多いという特徴があります
この特徴を踏まえて経営について対応策を検討していく必要があります。
ご参考になることができましたら幸いです。

歯科医院における節税の重要性

個人で歯科医院を開業し、利益が見込めるようになりましたら節税策を講じることが重要となります。

何もしなくても問題になることはありませんが、自身の医院に合致した策は講じるべきです。
例えば、家族で経営しているのに専従者給与を設定していない、開業費があるのに計上も償却もしていない、最新の設備を購入したのに税制を活用しなければ払わなくても良い税金を支払うこととなります

節税が目的にならないように注意

先だって利益が見込めるようになると節税が必要と申しましたが、節税が目的にならないようにご注意ください

節税はあくまでも、支払わなくて済む税金を支払わないようにする、お金を手元にできるだけ多く残すための手段であって、目的ではありません。
例えば、年間利益400万の方が、必要のない100万円の修繕費を計上し税金を抑えようと考えたとします。

修繕費を計上

400万円-100万円=300万円ですので所得税率10%を乗じ97,500円の控除がありますので、所得税は202,500円となります。

利益4,000,000円-1,000,000円-202,500円=2,797,500円

およそ280万円を内部留保し次期以降に使えるお金として残すことができました。

修繕費を行わない

400万円に所得税率20%を乗じ427,500円の控除がありますので、所得税は372,500円となります。

利益4,000,000円-372,500円=3,627,500円

およそ362万円を内部留保し次期以降に使えるお金として残すことができました。

上記は確かに支払う所得税は少なくなるかもしれません。
しかし、次期以降に持ち越すことのできるキャッシュに差が出ます。
もちろん、キャッシュが潤沢にあり、他に使う予定もなく、いつか行わなければいけない修繕なので今のうち実施しておくのでしたら、実施するのも良いかと思います。

歯科医院が行うべき節税対策とは?

個人で歯科医院を開業し、利益が出るようになると節税策を講じることが重要となります。
節税策と一口に言っても、例えば、下記のどの段階に位置するかにより講じる策は異なります。
*下記はあくまでも一例です。

  1. 開業期:赤字もしくは利益が少ない
  2. 開業2~5年:コンスタントに利益が見込めるようになる
  3. 開業3年~:規模拡大、法人化、分院…etc

①の段階でしたら、領収書や請求書などの書類をきちんと整理整頓し経理体制を整える、などの基本的なことを守りつつ、次期以降に備えて専従者給与の設定や開業費の計上を行うなどの下ごしらえが必要です。

②の段階でしたら、①で用意した専従者給与や開業費、繰越欠損金を使う時期です。
これらを利用しつつ、小規模企業共済などの所得控除も取り入れましょう。
③の段階では利益も大きくなり、法人化やMS法人の活用も検討すべきかと思います。

医師優遇税制

医師と歯科医師のみにのみ認められる「医師優遇税制」というものがあります。
戦後に日本の医療を強化するためにできた優遇税制です。

とてもざっくりと説明しますと、年間の保険収入が5,000万円以下の場合、概算で経費を計算できる制度のことです。
実費よりも概算の方が多ければ、この税制を使うべき、となります。

POINT
  • 青色申告だけでなく白色申告も適用できる
  • 建物や設備を安価に手に入れた、引き継いだ場合は適用した方がお得になる可能性がある

専従者給与

専従者給与とは税務署に指定の届出を提出することで一緒に生活をしている家族にも給与を支給できる制度を指します。

もちろん、歯科医院の業務を行っている実態が必要です。
資格をお持ちでしたら、ドクターとして衛生士としての業務を、資格を持っていなくとも医院の経理や受付業務などに従事することで要件を満たします。

通常、所得税法では生計を一にする家族に対しての給与は経費にできませんが、労働の対価として当然に支払われるべき報酬は認められるべきなどの趣旨から存在する制度です。

専従者給与は労働の対価として支払われるべきものですので、その専従者がドクターとして従事する場合、経理として従事する場合では支給できる報酬が異なります。
報酬額については顧問税理士に相談されることをお勧めいたします。

専従者給与は所得を分散することができ、節税策として効果的です
ぜひ、要件に当てはまるようでしたら取り入れるべきかと思います。

減価償却

減価償却費はいわゆる経費の一種ですが、お金が出ていかないという特徴があったり、方法がいくつもあたりと、中々理解しづらいものかと思います。

建物やユニットチェア、マイクロスコープやレセコンなどの有形・無形の固定資産を購入しますと、耐用年数に応じた減価償却費を計上します。

基本的には購入した時に一括で経費にならないということです。ただし、少額減価償却資産と呼ばれる30万円未満の資産は購入時に一括で経費とすることも可能です。

減価償却の方法として基本的に定額法と定率法の2つがありますが、後者の方が早期に費用化できるという特徴があります。

利益が多額となる見込みでしたら、少額減価償却資産と定率法を利用することで所得税を抑えることができますし、まだ利益が見込めず成長過程でしたら定額法を選択する方が良いことが多いかと考えます。

家族分もまとめて社会保険料控除を申告

所得税の計算は1年間の稼ぎである所得から社会保険料などの所得控除を差し引いた課税所得に税率を乗じて計算します。

ご存じの方も多いかと思いますが所得税は累進課税制度を採用してます。
従って、所得が多ければ多いほど税率が高くなります。
言い換えますと、税率が高い方の所得控除を増やせば増やすほど効果は高くなります。

所得500万円の院長と所得100万円の配偶者がいらっしゃる場合は、配偶者の社会保険料を院長が負担した方が世帯全体の納める所得税は少なくなります。

小規模企業共済

所得税は所得から所得控除を差し引いた課税所得に税率を乗じて計算します。

理屈上、所得控除が多ければ多いほど所得税は少なくなります。
この所得控除の1つに小規模企業共済というものがあります。

小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業経営者などが退職後の生活資金等をあらかじめ積み立てておくための公的な制度です。
常時使用する従業員の数が5人以下であれば小規模事業共済に加入でき、月7万円を上限に夫婦で加入することができます。
夫婦2人で年間最大168万円を所得から差し引くことができます。

経営セーフティ共済を利用する

経営セーフティ共済とは取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度で、掛金を経費に算入できます。40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ってきます。

小規模企業共済との違い

  • 小規模企業共済は所得控除、セーフティ共済は必要経費として処理します
  • 小規模企業共済は個人のみ、セーフティ共済は個人も法人(医療法人は除く)も加入可能です
  • 小規模企業共済の解約金は一括受取、分割受取も可能、セーフティ共済の返戻金は雑収入計上します

医療法人化・MS法人を新設する

MS法人とは?医療法人との違いなど
基礎知識を税理士が解説
MS法人と医療法人の違いとは?
メリットや注意点もわかりやすく解説

歯科医院経営が軌道に乗り、一定以上の利益が見込まれるようになりますと、さらなる節税策、事業拡大などを検討される方も多いのではないでしょうか。
ご存じの方も多いかと思いますが、分院を新設するには医療法人でなければいけません

このように、医療法人を設立するにあたってはメリット・デメリットを知っておく必要があります。
代表的なものをご紹介いたします。

メリット

  • 法人から院長へ役員報酬を支払うこととなるので給与所得控除を受けられます
  • 家族を理事とすることで役員報酬を支払うことができます
  • 相続税がかからない分、事業承継がスムーズにいく場合があります
  • 生命保険を利用し退職金を準備できます

デメリット

  • 単純に法人が1つ増えるので、事務処理に費用と手間がかかります
  • 株価が高額となる場合が多く、事業承継については慎重に検討する必要があります

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歯科医院の節税を税理士など専門家に相談すべき理由

単に節税と言いましても、その院長に合った節税でなければ効果は発揮されません

例えば、開業初年度で利益がギリギリ出る見込みの院長が先輩ドクターから30万円未満のものは一括で経費にできることを聞き、急いで30万円未満の物品をいくつも購入したとすると利益ではなく赤字となり所得税の支払はなくなるかもしれませんが、キャッシュがショートし追加融資が必要となった場合、業績が赤字であるとこれを受けることができなくなるかもしれません

知人や先輩に聞いて良いと思った節税策が自身に合ったものかどうかは総合的に判断すべきです。
したがって、専門家への相談をお勧めいたします。

医業に強いキークレア税理士法人のトータルサポート

先述したとおり、歯科医師にはそれぞれライフステージがあり、そのライフステージに合った支援が必要です。
節税というのはあくまでも支援のうちの1つでしかありません。

キークレア税理士法人では、独立時の開業資金調達から始まり、税金対策、法人化・MS法人設立検討、院長個人の資産管理、事業承継対策などトータルでサポート可能な体制が整っています。

院長が掲げるビジョン達成に向け支援する準備がありますので是非キークレア税理士法人へお問い合わせください。

歯科医の節税対策や経営のお悩みはキークレアにお任せください!

先述のとおり、知人や先輩歯科医師に効果的である節税策が自身にも効果的であるかというと、そうでない場合もあります。
むしろ、逆効果である可能性すらあります。

したがって、節税は専門家である税理士へ任せることが大事です。
キークレアグループでは、お金や税金は税理士法人が、資金調達や財務支援は財務コンサルチームが、人に関することは社労士法人が、連携し質の良いサービスを提供することで院長が安心して歯科医業に専念できるようサポートしてまいります。

どうぞ、歯科医院経営に関することや院長個人のお金に関するお悩みはキークレアへお任せください。

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