医療法人を設立する際の事業計画書の留意点とは?必要性についても解説
目次
クリニック(個人病院)を既に開業しているドクターが医療法人を設立するとき、都道府県へ提出する書類が多岐にわたることはご存じでしょうか。
医療法人の名称の由来や法人の概要、従業員名簿など、様々な書類を準備します。
その中の事業計画書。
言えば、医療法人運営の事業計画(今後の展開)をまとめたものですが、適当に書いて提出すればよいものではありません。
根拠のある数値を事業計画書に反映させることができれば、とても有意義に活用していくことが可能なのです。
医療法人設立の際の事業計画書の必要性
医療法人はクリニック(個人病院)とは異なり、設立するためには都道府県知事の認可が必要です。医療法人を設立しようとする時期からおよそ半年~8カ月前には、都道府県へ提出する書類を準備しなければいけません。
その書類の中に、事業計画書及び予算書が含まれている場合が多くあります。形式は都道府県によってさまざまですが、およそ2~3年分の事業計画書及び予算書を作成し、提出します。
場合によっては不要となることもあります(福岡県においては、一人医療法人を設立する場合は、事業計画書の提出は不要です)が、事業計画書を活用する場面は多々ありますので、事業計画書がなぜ必要なのか、理解を深めていきましょう。
余裕を持った経営を行うため
まず、医療法人経営の資金不足を避けるために、開業前に事業計画を作成することが大切です。
個人事業主としてクリニックを開業していたドクターが医療法人を設立する場合(医療法人成り)、医療機器の新規購入・一括購入は少ないかもしれません。
ですが、「新しくドクターを雇用したい」「建物や施設設備が古くなったから修理をしたい」「分院をしたい」といった今後の展開を、法人設立を機に考えることも多いでしょう。
この目標をかなえるためにはどれくらいの支出が見込まれるのか、を盛り込んだ事業計画を事前に作成しておくことで、いざ目標に着手するときにお金が足りない!といった問題を防ぐことができます。
開業資金の融資を受けるため
先述のとおり、医療法人成りの場合は医療機器等の購入は少ないかもしれません。
ですが、医療法人になったことにより事業展開が増えて、多額の資金を調達するために金融機関から融資を受ける際には、やはり事業計画書が必要です。
医療法人成りのクリニックが事業計画書を作成する場合は、個人時代の事業実績に伴った事業計画書を作成しなければなりません。まったくの新規開業時は根拠とする数字(前期実績)がないことに比べると、法人成りの場合の事業報告書は作成しやすいかもしれません。
また、個人時代の数字を根拠とすることで、より金融機関からの信頼も高まり、融資に繋がります。
融資についてはこちらの記事をご覧ください。
開業後に検証するため
事業計画書は、想定していた計画と、実際の経営実績とどの程度の差異が出たのか、原因はどこにあったのかを検討して経営改善のヒントにするためにも活用することができます。
また、診療科目や地域の特性を検討しながら、現実的な事業計画書を事前に作成しておくことで、この検証もとても有意義なものになるのです。
事業計画書は、法人設立時や資金調達時にのみ活用するだけではもったいないのです。
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医療法人設立の際の事業計画書の留意点
医療法人設立の際は、各年度の法人全体の事業計画及び新たな事業展開を数値にして都道府県に提出します。
その際、建物の増改築・物品の購入・調達した資金の返済計画・スタッフの採用計画だけでなく、見込まれる患者数から、1日平均の医業収入見込み→1カ月平均→1年の医業収入見込みの額を計画することになります。診療科目や季節によっても患者数は異なるでしょうから、その特性を反映した計画書を作成することが大切です。
また、都道府県に提出する際の事業計画書は予算の内容に関連するので、予算書の内容と一致させる必要があります。 予算についてはこちらの記事をご覧ください。
事業計画で重要となる予算計画の作り方について医療法人とクリニック(個人病院)での違い
医療法人とクリニック(個人病院)での事業計画書の違いは、先述のとおり、個人時代の事業実績を数値に反映させる必要がある点です(医療法人成りの場合)。
実績がある分、より信憑性のある事業計画書が作成できるのではないでしょうか。
その反面、クリニック(個人病院)の新規開業時の事業計画書は、初期投資の見積もりから医業収入の見積もり等、地域の特性を鑑みながら作成していく必要があります。
また、医療法人だからこそできる事業展開(分院開設等)を見込んでいる場合は、その内容も数値化して事業計画書に落とし込み、作成します。
医療法人の事業計画書は専門家に頼むべき?
医療法人設立の手続きをスムーズに行い、その後の運営を円滑に進めていくためにも、事業報告書の作成のみならず、設立時のサポートは、医療法人設立支援の実績や経験がある税理士を選ぶようにしてください。
ドクターはもちろん医療の専門家ですが、医療法人設立に関しては経験のある税理士の方が知っている知識があるかもしれません。
また、クリニック(個人病院)の経営を続けながら医療法人設立の準備を進めるとなると、どちらかが片手間になり、本業である医療に影響が出る恐れもあります。
そのようなことにならないよう、実績のある税理士に頼むことをお勧めします。
医療法人を設立する際などに必要な事業計画書についてはキークレアにご相談ください
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