MS法人の税務否認リスクとは?【税理士監修】

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

税務否認リスクとは、納税者の節税対策や取引内容に対して税務当局が異議を唱え、認められないことのリスクを指します。
MS法人においては、節税を意識しすぎた経営や適正な取引価格を超えた取引をすることにより、税務調査での否認リスクが高まる可能性があります。
その結果、多額の追加納税が発生してしまうこともあります。

MS法人とは

MS法人とは、「メディカルサービス法人」の略称で、基本的には株式会社などと同様の法人です。
医療法人で実施できない業務を行うことができるため、医療法人設立後に設立を検討することが多いです。受付業務委託や薬局などがMS法人の例として挙げられます。
メリットは多岐にわたりますが、良いことばかりではありません。デメリットもあります。

MS法人とは?医療法人との違いなど
基礎知識を税理士が解説

MS法人のメリット・デメリット

MS法人は、下記の表にあるように、化粧品販売や福祉サービスの運営など多岐にわる役務提供が可能となったり、所得税と法人税の税率差を利用した節税効果が期待できるなど、メリットが多くあります。
しかし、良いことばかりではなく、デメリットもあります。

最大のデメリットは税務否認リスクです。
税務調査が入り、医療法人とMS法人の取引が適正ではないと判断されてしまうことです(明らかに税金を減らすための取引と判断されるということです)。
また、税務リスク以外にも費用や手間の増加などのデメリットもあるので、設立には慎重な検討が必要です。

メリット 多岐にわたる役務提供、節税効果
デメリット 税務否認リスク、事務処理の手間や費用の増加
MS法人のメリット・デメリットを税理士が詳しく解説!

MS法人の税務否認リスクとは

税務否認リスクとは、医療法人とMS法人の間の取引内容や節税対策に対して、税務当局が異議を唱え、認められないリスクを指します。MS法人においては、節税を意識しすぎた経営適正な取引価格を超えた取引(または通常考えられないくらいに低額な取引)により、税務調査での否認リスクが高まる可能性があります。その結果、多額の追徴課税が課せられることもあります。

MS法人の税務リスクを減らすために押さえておくべきポイント

税務リスクを減らすために、税理士に依頼をしてサポートを受けることはもちろん重要ですが、まずは自社で取り組めることを実践していくことが大切です。
ここでは、税理士に依頼する前に自社で実践できることをご説明していきます。

報告制度の規定を確認する

医療法人の報告制度とは、医療法人の役員・近親者やそれらの方が経営する会社と行われた取引の内容を各都道府県知事に報告させる制度のことです。
医療法人の非営利性の透明性確保を目的としています。

具体的には、下記の表にあるような取引先や取引内容を都道府県知事に報告する義務があり、規定されているこれらの取引先・取引内容が適切でないと判断された場合、(都道府県知事にしっかり報告していたとしても)税務署から否認される可能性があります。

取引先
  • 医療法人の役員や近親者
  • 医療法人の役員や近親者が代表を務める法人
など
取引内容
  • 取引に係る事業収益、事業費が1,000万円以上かつ総事業収益、総事業費の10%以上を占める取引
など

意思決定・決済の機能に問題がないか確認する

税務調査では事実に基づいた確認が行われます。自社の意思決定・決済のルールや運用を点検し、日々整備・改善していくことが大切です。
同業他社では通常想定されないような形式・ルールをとっている場合、根掘り葉掘り聞かれて怪しまれてしまう、というケースもよくあります。書面で分かりやすく残しておくことで客観的な説明ができますので、そういった仕組みを作り上げておくことも大切です。

過去の税務調査における反省点を活かす

過去の税務調査の経験があれば、その時に否認された項目だけでなく、指導を受けた項目や調査の中で得た反省点などをまとめておくことも有効です。
税務調査官は、業界によって特に注意すべきポイントを把握し、重点的に確認してきますので、過去の税務調査の内容をまとめておくことが、税務調査対策になります。

過去の税務調査の指摘事項をリストに取りまとめておき、年に1度は点検するようにしておくことをおすすめします。

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税務リスクについて税理士に相談するメリット

税務否認リスクを減らすためには、そもそも税務否認リスクの存在に気づくことが大切です。
税金のプロである税理士に任せることで、専門家だからこそ気づけるリスクを洗い出してもらい、リスクの早期解消が可能となります。

また、税理士のサポートを受けて税務否認リスクを事前に解消することで、適切な申告書の作成が可能となり、借入がある場合には、金融機関からの印象も良くなります。税理士に任せることで、税務否認リスク解消以外のメリットも受けられます。

キークレアができるサポート

キークレアはすべてのライフステージで医師から頼られる存在として、医師の「ファースト・コール・カンパニー」を目指しており、医師の独立・開業・医療法人化、MS法人の設立・経営相談、事業承継など、医業に関してトータルサポートを行っています。

グループ内の財務コンサル法人と連携し、節税対策・相続税対策の検討や医師個人の資産管理サービスも行っています。
また、クラウド会計法人や社労士法人と連携し、税金面だけでなく、運営にあたってのサポート(クラウド導入支援、労務相談など)も行っています。

MS法人の税務否認例

以下、具体的な例を紹介します。

税務否認された事例

平成元年4月25日の裁決で、MS法人に対して支払った管理委託料が問題となったケースです。
医療法人がMS法人に委託料として支払っていた金額は、類似の同業者と比較して算定した適正管理料の金額と比較して大きく乖離した異常なものであり、合理的な理由も認められないとされました。
結果的に高額と判断された部分は経費に算入することができず、多額の追徴課税を課されました。

一般的に想定される金額や近隣相場・同業他社相場を大きく乖離している場合は、多くの場合、否認されてしまいます。

税務否認を回避した例

平成13年3月13日の裁決で、個人開業医がMS法人に対して支払った請負業務に関する外注費が問題となったケースです。
こちらのケースは、業務委託契約書に業務に関する費用負担についてや、MS法人が派遣する従業員に関する賃金以外の光熱費等も3~5割負担することが記載されていました。

このような取引形態は、一般的な人材派遣にとどまらず、クリニックの業務全般の委託を受けていると考えるのが相当と判断され、税務否認はされませんでした
このように、MS法人が行う業務に取引実態があると認められれば、経費として認められるのです。
そのために、契約書の作成など、実態があることを証明できる材料を用意しておく必要があります

税務否認されないMS法人の設立・経営はキークレア税理士法人にお任せください

キークレアグループは、医師の独立・開業・医療法人化、MS法人の設立・経営相談、事業承継など、医業トータルサポートを行っています。
グループ内の財務コンサル法人と連携し、医師個人の資産管理のご相談も多数頂いております。
また、社労士法人やクラウド会計法人と連携し、税金面以外も含めたトータルサポートが可能です。

キークレアはすべてのライフステージで医師から頼られる存在として、医師の「ファースト・コール・カンパニー」を目指しています。
税務否認されないMS法人の設立・経営相談はキークレア税理士法人にお任せください。

お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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