MS法人のメリット・デメリットを税理士が詳しく解説!

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

MS法人の導入にはさまざまなメリットがあります。
従業員の生産性向上や業務効率化、情報共有の円滑化など、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。
さらに、セキュリティ面での安心感やITシステムの統合による管理の簡素化も期待できます。

本稿では、これらの利点を詳しく解説し、なぜ多くの企業がMS法人を選択しているのかを記載しております。

MS法人とは

MS法人とは「メディカルサービス法人」の略であり、医療機関でなくてもできる病院運営に関わる事業を行う法人のことです。
株式会社や合同会社などが一般的な形態として考えられます。具体的な業務としては、保険請求業務や会計業務、医薬品や医療機器の仕入れ・管理・販売業務、人材派遣などがあります。
病医院からこれらの業務を受注し、業務委託を受けることが特徴的です。

MS法人設立の主なメリットは、所得を分散することによる節税効果が挙げられます
個人クリニックがMS法人を設立すれば、院長がMS法人の役員となることで給与所得控除を受けることが可能になります。さらに、家族をMS法人の役員として就任させることで節税の幅が広がります。

MS法人とは?
医療法人との違いなど基礎知識を税理士が解説
MS法人と医療法人の違いとは?メリットや注意点もわかりやすく解説

MS法人の5つのメリット

MS法人を作ることで様々なメリットが受けられます。
ここでは主に5つのメリットにて解説を行っています。

節税効果が期待できる

MS法人の節税効果は複数の要素によってもたらされます。
個人開業医がMS法人を設立することで、個人と法人との所得を分けることができるため、個人の収入に対する税金が軽減されます。

また、院長がMS法人の役員となり、給与所得控除を活用することができるほか、家族を役員として就任させることでさらなる節税効果が期待できます。
また、MS法人は法人として税金を納めるため、所得税よりも低い法人税の適用を受けることができます。法人税率の引き下げや特別控除の活用など、法人税に関する優遇措置を利用することで節税効果が期待できます。

さらに、MS法人の設立により、経費枠が増加します。
経費を法人として計上できるため、業務に必要な費用を効果的に活用できるだけでなく、経費控除による税負担軽減も可能となります。

これらの要素により、MS法人は個人開業医などにとって節税の手段として魅力的な選択肢となっています。
ただし、節税効果を最大限に活用するためには適切な会計・税務アドバイスを受けることが重要です。

MS法人を設立すると節税になる?注意点なども解説 個人開業医・クリニックがMS法人を設立するメリットと注意点

経営の分離ができる

MS法人の経営の分離には大きなメリットがあります。
MS法人を導入することで、医療行為と医療行為を含まない業務を明確に分離することができます。これにより、医療機関は診療業務に専念できるため、医療の専門性を高め、患者へのサービス向上につながります。

一方で、非医療の業務はMS法人が担当することで、業務効率の改善を図ることが可能となります。
経営の分離により、各業務を専門的に担当することで、より効率的な経営が実現されるでしょう。
また、経営の透明性が高まり、業務の透明性や評価の明確化も促進されることでしょう。
医療機関と非医療の事業が分かれて運営されることで、それぞれの業務に特化した運営が可能になります。

医療法の規制を受けずに事業展開ができる

MS法人は医療法人ではないため、特定の診療科目に限定されずに事業展開が可能です。
医療法の規制を受けずに事業を展開することで、幅広い医療関連事業を行うことができます。

具体的な別事業の例としては、以下のようなものがあります

  • 化粧品販売
  • 健康食品の製造や販売
  • 福祉サービスの運営
  • 保育施設の開設

ただし、別事業を行う際には注意点があります。例えば、化粧品や健康食品関係の事業を行う場合は、薬事法や食品衛生法に該当する可能性があるため、それらの法令を遵守する必要があります。
また、福祉サービスの運営や保育施設の開設なども、関連する法律や規制に適合する必要があります。

MS法人を利用することで、医療と非医療の事業を切り離し、多様な事業展開が可能になりますが、適切な法的なアドバイスを受けることが重要です。
法令遵守を念頭に置きながら、新たな事業展開を検討することが成功の鍵となります。

株式や社債発行による資金調達ができる

MS法人の大きなメリットの一つは、株式や社債の発行を通じて資金調達ができる点です。
一方、医療法人は資金調達の手段が限られています。MS法人の設立によって、医療法人の枠を超えて資金を調達する柔軟性が生まれます。

また、MS法人が調達した資金を医療法人に貸し付けることも可能です。
このような方法により、事業の成長や設備投資を効果的にサポートし、経営の安定性を高めることができます。

相続対策ができる

MS法人は相続対策においても大きなメリットがあります。
親族や家族による事業の承継を円滑に進めることができ、医師でない親族にもMS法人を承継することができるため、事業の継続性を確保しつつ、経営を家族内で移行することが可能です。

上記の流れにより、親族をMS法人の役員や従業員として雇用することで、給与や役員報酬、配当などを支払うことができ、生前贈与として財産を親族に支払い、相続税対策をすることが可能です。

MS法人を活用することで、財産の移転や相続に伴う税金負担を軽減し、家族や親族間の事業継承も円滑に行うことができます。

MS法人の5つのデメリット

MS法人の導入にはメリットだけだは無くいくつかのデメリットも存在します。
これらのデメリットを理解した上で、MS法人を導入する際には慎重な判断と適切なアドバイスを受けることが重要です。

税務否認リスクがある

税務否認リスクとは、MS法人の導入において節税目的などで不適切な取引や手法が使用されることで、税務当局からその取引の認められない可能性を指します。
法的に正当性のない節税手法が検出されると、税務調査が行われて過少課税が是正される可能性があります。
MS法人を設立する際には、適切な法的助言や取引の透明性を確保するための注意が必要です。

MS法人の税務否認リスクとは?

法人設立に時間とお金がかかる

法務局での法人登記手続きには時間とコストが必要となります。
厳格な手続きを必要とし、登記簿謄本の取得や印紙代、登記料などコストがかかります。
また、会社設立には資本金の用意も必要です。
さらに、設立後も運営に伴う経費がかかり、給与、業務に必要な設備や物品、会計や税務処理のためのアドバイザーの費用などが考慮されるべきです。
これらの要因を踏まえて、法人設立の際には計画的な準備と予算の確保が重要です。

薬機法の知識が必要になる

薬機法は、医薬品や医療機器などの製造・販売・取扱いに関する法律です。
医療機関や薬局、医療機器メーカーなどがこれらの取引を行う際には、薬機法に基づく規制や要件を遵守する必要があります。

MS法人が医薬品や医療機器を取り扱う場合、これらの法的な制約や安全基準に適合するための知識が必要です。なぜなら、医療機器や薬剤の取り扱いには患者の安全や健康がかかわるからです。
適切な取り扱いや品質管理を確保するために、薬機法に関する理解が不可欠です。

消費税が増加する可能性がある

多くの医療機関が節税を目的としてMS法人を設立していますが、その効果が必ずしも節税につながるわけではありません
相続税や法人税の観点からはメリットがある一方、消費税に焦点を当てると、損失が生じることもあります。
例えば、医療法人が不動産をMS法人から借り受けて家賃を支払うケースが見られます。

医療法人が消費税非課税の社会保険診療を中心としている場合、MS法人に支払った家賃の消費税は部分的にしか取り戻せず、逆に支払うことになります。
このような消費税面での損失も考慮し、法人設立の際には法人税や相続税だけでなく、消費税を含めてメリットを検討することが大切です。
質問や疑問点があれば、専門家に相談することをおすすめします。

赤字でも税金の支払い義務がある

MS法人は、赤字であっても法人税の支払い義務がある点に留意が必要です。
法人市民税と法人県民税には「均等割り」という税項目があります。
こちらは資本金や従業員数を参照し一定の税金を徴収する仕組みとなっており、利益に対しての税金ではありません

赤字を出しても絶対に発生する為、この点も考慮しながらプランを検討する事をおすすめします。

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MS法人のメリットを最大限に活かせるケースとは?

MS法人のメリットを最大限に活かすためのケースは次の通りです。

事業の独立性が確保できる場合

MS法人に担当させる事業が医療法人から分離可能な規模である場合、経営を効率的に分離し、各事業を専念して運営できます。例えば、医療とは関連しない不動産投資や資産管理などが該当します。

独立した事業展開が可能な場合

事業として独立して行える規模の株式投資や不動産投資、資産管理会社を設立し、MS法人内で運営することで、法人税や相続税のメリットを最大限に活かすことができます。

MS法人設立にはデメリットや注意点もあり、最適な活用方法を見極めるには専門家への相談が重要です。
税理士に依頼することで、税務面や法的規制に詳しい専門家のアドバイスを受けることができ、法人設立や運用の際に適切なステップを踏むことができます。
MS法人のメリットを最大限に引き出すためには、事業の性質や規模に応じた戦略を立てることが大切です。

MS法人を設立する流れやポイントを税理士が詳しく解説!

キークレアによるMS法人の設立・経営トータルサポート

キークレアは、MS法人の設立・経営に関するトータルサポートを提供する事が可能です。
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医業に特化した専門スタッフも在籍しており、MS法人の設立手続きや運営に関するアドバイス、経営戦略の立案や効率的な業務プロセスの構築、財務会計の管理、税務申告や節税の提案などをしっかりとサポート致します。
医療業界に特化した専門知識と経験を活かし、クライアントのニーズに合わせた総合的な支援を提供することで、適材適所な提案をすることができます!

MS法人設立は慎重に行う必要があります。ぜひキークレア税理士法人にご相談ください。

MS法人設立は慎重な判断が必要です。メリットとデメリットの両面を考慮し、本当にプラスになるかどうかを確認することが重要です
その際、キークレア税理士法人にご相談いただければ、専門家のアドバイスを通じて最適な判断をサポートします。キークレアは医業に特化した知識と経験を持ち、MS法人の設立から経営・税務までトータルに支援する強みがあります。クライアントのニーズに合わせたカスタマイズされたアドバイスを提供し、MS法人の成功に向けた道筋を一緒に描きます。

まずはキークレアにご相談いただき、MS法人設立に関する適切な判断を専門家と共に進めていきましょう。

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