個人開業医・クリニックがMS法人を設立するメリットと注意点

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

個人開業医・クリニックにおいて、MS法人を設立することは、様々なメリットがあります。
しかし、目的を明確にして設立しないと逆効果になってしまうこともあるため、注意が必要です。
下記では、個人開業医・クリニックがMS法人を設立することのメリット・注意点を解説します。

個人開業医・クリニックにおけるMS法人の必要性

MS法人とはメディカルサービス法人の略称で、基本的に一般的な株式会社などと同様の法人です。
MS法人は、営利目的での事業が制限されている医療法人が設立するイメージを持たれがちです。しかし、節税面のメリットがあるため、個人開業医でもMS法人を設立する意義はあります
まとめると、MS法人と個人開業医・クリニックはともに営利事業が可能ですが、MS法人は所得の分散が可能です。医療法人はMS法人と同様に所得の分散が可能ですが、営利事業が制限されています。
医療法人は個人開業医・クリニックと比べると煩雑な事務手続きも多いですが、社会的信用を得られます。

MS法人とは?医療法人との違いなど
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MS法人と医療法人の違いとは?メリットや注意点もわかりやすく解説
MS法人 個人開業医・クリニック 医療法人
  • 所得の分散
  • 営利事業が可能
  • 営利事業が可能
  • 事務手続きが少ない
  • 所得の分散
  • 社会的信用の向上

個人開業医がMS法人を活用するメリット

法人税の税率が適用される

個人開業医の場合、所得税と住民税は最高で合計55%の税率が適用されます。
MS法人の場合は法人税のため約30%の税率が適用されます。
業務の一部を外部委託としてMS法人へ移行し、利益を圧縮することで節税効果が期待できます
MS法人の場合、年間800万円までの所得について中小企業の軽減税率15%が適用されるため、個人開業医の税率差分、節税となります。

家族を役員にして所得を分散できる

家族をMS法人の役員にすることで所得分散を図ることができます
家族に役員報酬を支払うことができるため節税効果が期待できます。
個人開業医でも事業専従者として所得を分散することはできますが、MS法人の方がハードルは低いです(個人開業医の場合は専従者は業務に「専ら」「従事」している必要があります)。
また、MS法人は役員への退職金を支払うことも可能です。

生命保険料を経費にできる

個人開業医の場合、生命保険料は事業とは直接関係がないため、基本的に経費処理は認められていません。
所得税の確定申告で生命保険料控除(上限12万円)が適用できるだけで、節税効果は低いです。
しかし、MS法人の場合、役員分の生命保険料をMS法人で支払うことで、その一部または全部を経費とすることが可能となり、節税につながります

自宅を経費にできる

個人で自宅を購入した場合、通常は住宅ローン控除を受けられます(ただし、所得2000万円以上の高額所得者は適用されません)が、経費処理することはできません。
しかし、MS法人で購入し、社宅として処理をすれば、建物についての減価償却費を経費計上することができます
また、ローンの金利、固定資産税も法人の経費処理が認められています。

個人開業医がMS法人を活用する際の注意点

ここまでは個人開業医がMS法人を設立することのメリットを説明しましたが、メリットと同時に下記のようなリスク・注意点ももちろんあります。
ここからは個人開業医がMS法人を設立することのリスク・注意点を解説していきます。

消費税の増額リスク

消費税法上、保険診療報酬は非課税とされています。保険診療報酬を収入の柱としている個人開業医の多くは消費税の免税事業者に該当します。
年間の課税売上が1,000万円を超えると課税事業者に該当します。MS法人に外部委託などで経費を払いすぎると(MS法人で売上が多くなると)、MS法人が課税事業者に該当してしまい、MS法人を設立する前よりも、結果的に納税額が増え、節税が有利にならないケースもあります

近年では消費税率が引上げられたり、インボイス制度の導入が予定されているため、設立前の慎重な検討が必要です。
その他税務リスクについても解説しておりますので、ご参照ください。

MS法人の税務否認リスクとは?

MS法人の役員構成

個人開業医・クリニックの院長先生は、MS法人の代表者や役員、従業員になることは原則禁止されています
院長先生以外のご家族(配偶者やお子様など)はクリニックに勤務していたとしても、MS法人の代表者や役員に就くことは可能ですので、院長先生の配偶者やお子様がMS法人の代表者や役員に就いていることが一般的です。

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MS法人を設立する流れ

  • 1
    必要事項の決定
    発起人や業務内容・事業目的、資本金など、必要事項の決定を行います。
  • 2
    法人印鑑の作成
    会社実印だけでなく、実務上頻繁に使用されるゴム印なども一緒に作成します。
  • 3
    定款の作成
    会社のルールである定款を作成し、認証を受けます。
  • 4
    資本金の払い込み
    会社が設立されていないので、発起人の個人口座に払い込みます。
  • 5
    法務局へ登記申請
    書類をそろえて管轄の法務局で登記申請をします。

MS法人の設立については、別に詳細を解説していますので、ご参照ください。

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お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。 お客様のビジョン達成のために、グループ一丸となり全力で支援してまいります。

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