MS法人を設立する流れやポイントを税理士が詳しく解説!

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

クリニックや医院などが別事業体としてMS法人を運営するケースが多くなっています。

MS法人は医療関係のサービスを行うことができることから、医療経営の効率化や合理化を図ることができ、勤務医や開業医において様々なメリットがあります。

今回は、このMS法人の概要や設立の流れについてご紹介をしていきます。

MS法人とは

まず、MS法人とは、「メディカル・サービス法人」の略称で、法令上の医療機関でないとできない業務以外のサービスを提供できる法人のことです。

そのため、法令上の医療機関である医療法人にはできない、営利を目的とした事業を行うことができます。

MS法人は総称で、資産管理型会社ともいわれており、法人の形態としては、株式会社や合同会社などがあげられます。

MS法人とは?医療法人との違いなど基礎知識を税理士が解説

MS法人を設立する目的

MS法人を設立する目的は、医療経営の合理化・効率化を図り医業に専念できる体制を構築するためです。

医療法人では、医療法により営利事業が規制されるため、営利を目的とした事業を行うことができません。

そのため、MS法人を設立し、医療行為以外の業務を行うことで、より顧客満足度の高い医療サービスを提供することが可能となります。

また、MS法人を設立することで節税となることや、医療法人では難しい資金調達をしやすくなることもMS法人を設立する目的の一つともいえます。

メリット ・医療経営の効率化 ・節税 ・資金調達がしやすくなる
デメリット ・費用と手間がかかる ・税務否認リスクがある
MS法人のメリット・デメリットを税理士が詳しく解説! MS法人と医療法人の違いとは?メリットや注意点もわかりやすく解説

設立に適したタイミングとは?

MS法人を設立する際には、節税となるのに適したタイミングがあります。これは、個人事業主の場合、所得1,800万円が目安となります。

所得税は、1,800万円を超えると40%の税率がかかることから、1,800万円を超える時点でMS法人を設立すると、節税となる可能性が高いでしょう。

また、医療法人の場合は、法人利益800万円が目安となります。法人の場合は、800万円を超えると法人税が大幅に増加することから、800万円を超える時点でMS法人を設立すると節税になりやすいでしょう。

MS法人の設立に許認可は必要か?

MS法人は医療法の適用を受けないことから、基本的には許認可は必要ありません。

そのため、一般的な法人と同様に会社法等の手続きを経ることで法人を設立することができます。

しかし、別途、許認可が必要なケースもあります。この許認可が必要なケースとしては以下のような例が挙げられます。

  • 医薬品卸売販売業許可
  • 管理医療機器販売業/賃貸業許可
  • 高度管理医療機器販売業/賃貸業許可

これらの許認可申請は、時間と手間がかかり、非常に大変な作業です。

また、知識が不十分なうえでの正確な申請書の作成は難しいと考えられます。

そのため、許認可申請を行う際には専門とする行政書士に業務を委託することも検討するとよいでしょう。

MS法人設立の流れ

MS法人を設立する際の流れは、一般的な会社設立の際の流れとほとんど同様になります。

以下の流れをもとに、手続きを行うことで、よりスムーズにMS法人を設立することができるでしょう。

①必要事項の決定

MS法人を設立する際には、以下の項目を最低限決めておくとよいでしょう。

MS法人設立事項 内容
商号(社名) 会社の名称
事業目的 取引先や金融機関などが会社をチェックする際の判断材料となる
本店所在地 法律上の会社の住所/同一住所に同一の商号では登記不可
資本金 事業を行う運転資金/資本金1円以上から設立可能
設立日 法務局に設立の登記申請をした日
事業年度 決算書を作成するために区切る年度のこと
株主/役員の構成 株式会社において、誰がどれだけの株式を持っているかということ

これらの内容のみでMS法人を設立できるわけではありませんが、上記内容を最低限決めておくことで、スムーズに設立することができるでしょう。

②法人印鑑の作成

法人を設立する際、法務局へ登記申請を行うことから、法人印鑑が必要となります。そのため、事前に作成しておくことをおすすめします。

MS法人を設立する際に必要となる印鑑は会社実印となります。

また、実印(代表者印)を作成する際には、銀行印や、角印、住所印もあわせて発注しておくことで、会社設立後にもう一度印鑑を作成するという手間を省くことができますので、おすすめです。

③定款の作成

定款とは、会社の事業目的や組織の形態、活動内容などについて規定した書類のことであり、会社の憲法とも呼ばれる重要な文章です。

この定款に記載する内容は、以下の3種類があります。

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項
  • 任意的記載事項

このうち、絶対的記載事項は、必ず記載しなければならない内容で、具体的には以下のとおりです。

定款の絶対的記載事項

  • 事業目的
  • 商号
  • 本社所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名または名称及び住所

MS法人を株式会社として設立する場合には、定款の認証が必要となります。
公証人役場に出向いて定款の認証を受けなければ会社設立の設立ができません。

そのため、不備のないようにするためにも、定款の作成は専門家に相談し、サポートを受けることをおすすめします!

④資本金の払い込み

定款の認証後は、銀行口座に資本金の払い込みを行います。

この時点では、まだMS法人設立の前であるため、会社名義の口座を作ることができません。
そのため、発起人(資本金の出資者)の個人口座に振り込むことになります。

定款は資本金の金額を明記する必要があるため、その明記した金額を払い込むようにしましょう。

また、登記を申請する際には、資本金の振込を証明する書類が必要となります。
そのため、払い込みの際には、通帳の写し(表紙、表紙裏、入金が記載されているページ)のコピーを取っておくことがポイントです。

⑤必要書類の作成

定款の認証と資本金の払込が終了したら、登記申請に必要な書類を作成します。
必要書類は以下の通りです。

必要書類 株式会社 合同会社
定款
登記申請書
株主全員の印鑑証明書
発起人の決定書
払込証明書
印鑑届出書
役員の就任承諾書

書類に不備があるとMS法人設立時にトラブルとなる場合があります。

必要書類や内容が間違いのないように一つずつ作成するように心がけましょう。

また、トラブルを避けるためにも、事前に税理士や行政書士に相談することを考えてもよいでしょう。

⑥法務局へ登記申請

必要書類の準備がすべて整えば、法務局へ書類を提出します。
この際、書類に不備があったときのために訂正印を持っていくことをおすすめします。

法務局への登記申請は、不備がなければ2週間ほどでMS法人の設立が完了します。

ただし、不備があった場合は、改めて提出する必要があるため、登記の申請を行う際には、時間に余裕を持つようにしましょう。

MS法人の設立にかかる費用

MS法人の設立にかかる費用は以下の通りです。

項目 株式会社 合同会社
定款用収入印紙代 40,000円(電子定款では不要) 40,000円(電子定款では不要)
定款の謄本手数料 約2,000円(250円/1ページ) 0円
定款の認証料 資本金100万円未満:30,000円
資本金100万円以上300万円未満:40,000円
資本金300万円以上:50,000円
0円
登記免許税 ①②のどちらか高い方
①150,000円
②資本金額×0.7%
①②のどちらか高い方
①60,000円
②資本金額×0.7%

合同会社は、公証人役場における費用が掛からないことから、株式会社よりも設立時の費用を抑えることが可能です。

そのため、株式会社では25万円程度、合同会社では10万円程度の準備が必要とされています。

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MS法人の設立・運営には専門家のサポートが不可欠!

ここまでは、MS法人設立の流れについて解説をしましたが、実際にMS法人を一人で設立・運営するには複雑で注意すべき点が多いです。

特に、MS法人は医療法人の役員とMS法人の役員を兼任することができないため、役員構成を慎重に検討する必要があります。

知識が不十分な状態でMS法人を設立しようとすると税務調査の際に否認されることも十分に考えられるため、MS法人の設立は専門家に依頼することを強くおすすめします

また、専門家に依頼することで、設立後の運営についても相談ができることから、専門家に依頼するメリットは大きいと考えます。
相談をする際には、税法をはじめとした関連法制に詳しい専門家に相談をするとよいでしょう。

MS法人の税務否認リスクとは?

キークレアによるMS法人設立トータルサポート

専門家へ依頼する際にはぜひキークレアをご検討ください!

キークレアは以前より医業のお客様とのかかわりが多く、経験と実績が豊富です。
そのため、医業特有の相談や問題にも積極的に取り組んでいます。

また、キークレアグループ内には行政書士法人もあることから、MS法人の設立時に必要な許認可の手続きも含め、トータルサポートいたします!

キークレアでは、すべての手続き・業務をワンストップで行うことで、会社設立をよりスムーズに進め、経営者の負担を軽減できるよう努めています。

また、設立時だけでなく設立後の経営相談や財務相談等もキークレア税理士法人に依頼していただくことで、よりよい会社経営となるようサポートいたします。

ぜひ一度、キークレアにご相談ください!

MS法人を設立する際の要件

MS法人を設立する際の要件は以下の通りです。

  • 資本金:1円以上(資本金の制限なし)
  • 出資者:1人以上
  • 取締役:1人以上(取締役が2人以上の場合は、そのうち1人を代表取締役に就任)

※監査役の設置についでは、一般的な法人と同じく任意となっています。

MS法人の役員・株主の構成

すでに述べたように、MS法人の役員構成には注意が必要です。

例えば、個人開業医や医療法人の理事長がMS法人の役員になることは、原則として認められていません。

ただし、医療機関の非営利性に影響を与えない場合には、例外として取り扱われることがあります。

また、個人開業医や医療法人の理事長がMS法人の株主になることは認められています。
詳しくは下記の表をご覧ください。

法人の役員・株主の構成

このように、MS法人の役員や株主構成には注意をする必要があり、役員について深く考えていないと、設立自体が困難になる場合もあります。
そのため、MS法人の役員は慎重に検討するようにしましょう。

MS法人の設立を検討されている場合は、キークレア税理士法人にご相談ください。

今回はMS法人の設立についてご紹介をしました。

MS法人は、基本的には一般の法人設立の流れと同様ですが、役員構成など注意すべき点もいくつかあります。

また、設立の際には様々な手続きを行なう必要があり、非常に複雑かつ手間がかかります。

キークレアグループでは、MS法人設立時の許認可の申請から、設立後の経営のサポートまですべてワンストップでサービスを提供し、経営者の負担軽減に努めています。
MS法人の設立を考えている方は、医業に強いキークレアに、ぜひ一度ご相談ください!

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