MS法人を設立すると節税になる?注意点なども解説
目次
医師に対する節税対策としてMS法人を設立したらよいと聞いたのですが、どうしたらいいですか?といった個人開業医や医療法人の方からのご相談が最近増えてきています。
そこで、MS法人とはなにか、MS法人設立は本当に節税対策になるのかをご説明します。
MS法人とは
MS法人とは「メディカルサービス法人」の略称で、医療法人が、医療法人でなくてもできる事業を行う為に設立する法人をいいます。
MS法人と医療法人の大きな違いは、医療法人は県の許可を受けないと設立ができず、営利目的の事業は行えませんが、MS法人は設立に県の許可は必要なく、一般的な法人と同様に自由に業務を行うことができます。
医療法人がMS法人を設立する最大のメリットは、制約が厳しい医療法人ではできない、自由に様々な業務を行えることです。
医療法人に関連する業種の事業をMS法人で行うことにより事業を分散化でき、利益の配当も行うことができるようになります。
デメリットとしては、設立の費用がかかることと、医療法人とMS法人の密接な関係性から税務調査の対象となりやすいことや事務処理が2か所になるため煩雑になることがあげられます。
MS法人のメリット・デメリットを税理士が詳しく解説! MS法人と医療法人の違いとは?メリットや注意点もわかりやすく解説 MS法人とは?医療法人との違いなど基礎知識を税理士が解説MS法人で節税を行う目的
MS法人を設立し、MS法人を使って節税を行う目的としては、まず、所得を分散させることです。医療法人では行えない事業をMS法人で行うことにより、相互の取引により所得を分散させることです。
また、節税を行うことによって得られた財源を、設備の更新や人材の採用・教育研修の強化などの経営の改善を行い、事業を拡大させる目的があります。
また、この節税対策を早い段階で行うことで相続税負担を軽減させること、また、医療法人の存続を図り、後継者や家族による承継をスムーズに行うことができるようになります。
MS法人を利用した節税対策
では、MS法人を利用した節税対策として、どういった点を重視して進めていく必要があるのかを具体的に見ていくこととします。
法人税の適用
個人の所得税は、累進税率を採用しており、所得が増えるほど税率が上がります。
所得税率と住民税率を合算した最高税率は55%となります。
一方、一般的な法人や医療法人は、利益のうち年800万円以下の部分は15%、年800万円超の部分は23.20%の税率が適用され、住民税とあわせると最高で27%~33%ほどとなります。
個人開業医の方は、所得税率が法人税率よりも高い税率となっている時点で法人成りを検討する必要があります。
所得の分散
個人の開業医の法人設立には、医療法人だけでなくMS法人の設立を行うことも節税対策の1つとなります。
医療法人の役員がMS法人の役員を兼務することは認められていないわけではないのですが、利益相反に該当する可能性があるため、代表には親族を据えることが一般的です。
一方で、個人事業主はMS法人の役員となることが可能な為、役員となり役員報酬の支払いをすることができることとなります。
その際親族も役員に据えることで追加の役員報酬の支払いができ、所得を分散させることができるようになります。
経費枠の増加
医療法人がMS法人を設立した場合、医療法人でしかできない業務以外をMS法人で行うことにより、医療法人よりMS法人へその業務に対する対価を支払うことで所得を分散させることが可能となります。
具体的には、医療法人がMS法人より不動産を賃貸することで支払う地代家賃や、業務を委託することで支払う業務委託料の支払いが可能となります。
相続税対策
医療法人が使用している土地や建物は、代表である個人、相続が発生した場合の被相続人から借り受けていることが一般的であり、医療法人から被相続人に地代家賃が支払われています。
被相続人はこの地代家賃の受取により相続資産が増えて続けています。
その相続対策として、被相続人よりMS法人が土地・建物を購入し、医療法人からの地代家賃をMS法人に支払いをすることで、被相続人の相続資産を抑えることができます。
また、親族をMS法人の役員・従業員にすることで給与や役員報酬を支払うことができ、実質的には生前贈与となるため相続対策につながります。
MS法人を利用した節税を行う際の注意点
MS法人を利用した節税を行う場合、医療法人を経営上、本当に必要な取引であるか、それが節税のための取引になっていないかが注意する点となります。
医療法人とMS法人の関係性が重要となり、不自然な取引を行うことで税務調査が入りやすくなり、更にその取引が否認されるリスクがあります。医療法人とMS法人での取引金額が同業他社や近隣相場と比較して妥当であるか等も、取引金額を決定する場合は細心の注意を払う必要があります。
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MS法人の節税効果を高めるなら税理士への相談がおすすめ
MS法人による節税対策はメリットだけでなく、税務調査でその取引が否認されるリスクもあります。
税務調査の際に、取引や金額の根拠を求められることもあります。その為、まずはMS法人の設立の時点で税理士に依頼をし、1つずつの取引について相談し、検討を行うことが必要となります。医療法人は他の一般的な法人とは異なりますので、医業を専門とした税理士に依頼することをおすすめします。
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法人設立の際にはキークレア行政書士法人、設立後の会計面はキークレア税理士法人、経営・財務分析はキークレア財務コンサルといったグループ会社で連携をし、トータル的なサポートを行うことができます。
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MS法人の設立は、税務上認められるかどうかが一番の問題となります。その為、設立の際は是非医業に強い税理士に相談をすることをおすすめします。
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