【税理士が教える】一人社長の節税対策9つ!個人事業主との違いとは?
目次
節税を考慮して「法人成り」を検討する個人事業主は少なくありません。特に一人社長としていわゆるマイクロ法人を設立すると、個人事業主の時には認められなかった幅広い節税策を活用できます。
本記事では、一人社長が行える9つの節税対策や個人事業主との違いや注意点について解説します。
一人社長が行える9つの節税対策
一人社長とは、従業員がおらず、社長一人で会社を運営する形態の法人です。従業員がいなくても会社として認められるため、法人向けの節税制度を幅広く利用できるのが特徴です。
具体的には、以下の9つが代表的な節税方法です。
- 給与所得控除の活用
- 所得の分散
- 欠損金の長期繰越
- 消費税の納税義務免除
- 出張日当の経費計上
- 生命保険料の経費算入
- 役員社宅制度
- 福利厚生制度
- 決算期の選択
給与所得の控除ができる
個人事業主としての所得は「事業所得」として課税されますが、法人化し役員報酬を受け取ると「給与所得」として課税されます。給与所得には給与所得控除が適用され、収入に応じて一定額を控除することができます。
例えば年収600万円の場合、給与所得控除は約164万円(令和7年時点)となり、課税所得を大幅に減らすことが可能です。個人事業主は給与を受け取る立場ではなく、自分で事業を営み、事業収入を得ます。給与所得控除は「給与所得者」に限られた制度なので、事業収入しか得ていない場合には適用されません。
個人事業主にはこの控除がないため、一人社長の大きなメリットとなります。
以下の表により、控除額を確認できます。
| 給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 1,625,000円まで | 550,000円 |
| 1,625,001円から1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
| 1,800,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
| 3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
| 6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
| 8,500,001円まで | 1,950,000円(上限) |
所得の分散ができる
個人事業主はすべての所得が一人に集中し、累進課税により高額の税金がかかります。
一方、一人社長は「会社の利益」と「役員報酬」に所得を分散でき、法人税と所得税をバランス良く抑えることが可能です。これにより、節税効果を高めることができます。
欠損金の長期繰り越しができる
法人は赤字(欠損金)が発生した場合、最大10年間(令和3年度税制改正後)繰り越して将来の黒字と相殺することができます。これにより、翌期以降の法人税負担を軽減できる点が大きなメリットです。
個人事業主の場合は繰越控除期間が3年間のため、長期的な節税効果では法人に軍配が上がります。
消費税の納税義務が免除される
基本的に消費税では、基準期間(前々期)の課税売上高が1,000万円以下の場合、納税義務が免除されます。
基準期間の課税売上高が1,000万をすでに超えている個人事業主で納税義務がある方が、新規で法人を設立した場合は、2期前は会社設立前(個人事業主期間は含まない)で存在しないため、2年間消費税の納税義務を免除することができます。
出張日当を経費に計上できる
会社として「出張旅費規程」を整備しておくと、出張時に日当を経費として計上できます。
実費が規程額に満たない場合でも、規程で定められた日当を経費として受け取ることが可能です。これにより、役員報酬に上乗せする形で、非課税で手元資金を確保することができます。
経費の節税効果とは?計上する際の注意点も解説生命保険料を経費に計上できる
法人が契約者となる生命保険は、条件を満たすと損金算入でき、法人税の節税につながります。ただし、すべての保険が対象ではなく、いくつかの条件があります。
損金算入の主な条件は以下の通りです。
- 法人が契約者であること
- 定期保険や逓増定期保険など法人向け商品であること 等
制度が複雑なため、取り扱いには注意が必要ですが、適切に活用することで退職金の原資準備や万一の保障にもつながります。
法人保険は節税対策にならない?仕組みから税理士が徹底解説役員社宅として経費に計上できる
会社名義で住宅を借り上げ、役員社宅として利用すると、家賃の大部分を会社経費に計上できます。自宅兼事務所の場合も、業務使用部分を合理的に按分すれば経費に計上することが可能です。これにより、法人税負担を軽減しつつ、役員本人の家賃負担も抑えることができます。
一方で、持ち家の場合は住宅ローンの返済を経費にすることはできません。住宅ローンは個人と銀行との契約のため会社経費として取り扱うことは認められていないためです。
社宅を利用した節税方法!経費にするための要件や注意点について福利厚生制度を活用できる
法人化すると、福利厚生制度を個人に比べ整えやすくなります。たとえば、健康診断費用や慶弔見舞金、レクリエーション費用などを福利厚生費として法人の経費に計上できます。
個人事業主では「事業主本人の福利厚生」は認められませんが、法人化により社長自身も制度の対象となります。
福利厚生の節税効果|経費と認められる条件と8つの具体例を解説決算期をずらすことができる
法人は自由に決算期を設定できます。決算日から2ヶ月以内が申告・納税期限であるため、繁忙期を避けて閑散期に決算期を設定すれば、実務に余裕を持たせられます。
また、売上が大きく上がる月を期首に持ってくることで、期末までに大きな利益に対する節税対策をとる期間を作ることができ、より戦略的な経営も可能になります。
高い節税効果を得るためには税理士に相談すべき!
一人社長が節税を行う場合、自分で制度を調べて活用するのは容易ではありません。法人税・消費税・所得税が複雑に絡み合うため、適用可否を誤ると追徴課税を受けるリスクもあります。
税理士に相談すれば、最新の税制改正や業種特有のルールを踏まえた最適な節税対策を提案してもらえます。自身では見落としがちな最新情報もキャッチでき、結果として手取りを増やし、経営の安定化につながります。
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一人社長と個人事業主における経費対象の違い
一人社長の場合、経費計上の範囲が個人事業主より広がります。例えば以下のような支出が法人では認められるケースがあります。
- 役員社宅の家賃
- 福利厚生費(健康診断・慶弔費用など)
- 出張日当
- 法人契約の生命保険料
一方、個人事業主では自宅家賃や生活費は基本的に経費にならず、本人の福利厚生も認められません。したがって、一人社長と個人事業主では経費計上の範囲や節税余地が大きく異なるため、自身の事業規模や目的に応じて最適な形態を選ぶことが重要です。
一人社長が節税する際の注意点
一人社長は節税の幅が広がる一方、必ずしも手元資金が増えるとは限りません。法人維持にはコストがかかるため、次のような費用を考慮する必要があります。
- 法人設立費用・登録免許税
- 税理士顧問料
- 社会保険料(強制加入)
- 決算申告にかかるコスト
節税額よりも負担が増える可能性もあるため、法人化は手元資金や税金面だけでなく、今後の事業計画や生活設計も含めて総合的に判断することが大切です。迷ったときは必ず税理士に相談しましょう。
一人社長が活用できる節税制度
安定した節税効果を得るには、国の政策的な配慮に基づいた制度の活用が有効です。代表的なものは以下の通りです。
-
小規模企業共済
社長自身の退職金を積み立てる制度。掛金は全額所得控除となり、老後資金準備と節税を両立できます。 -
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)
取引先倒産時の資金確保を目的とした共済。掛金は経費算入可能で、解約時に返戻金を受け取れます。 -
中小企業経営強化税制
一定の設備投資について即時償却や特別償却を認める制度。投資と節税を同時に実現できます。
これらを組み合わせることで、短期・長期の両面から安定した節税効果を享受できます。
【税理士監修】経営セーフティ共済の節税効果について一人社長の節税や法人化についてはキークレア税理士法人にご相談ください
一人社長やマイクロ法人の節税対策には多くの方法があり、正しく活用すれば大きな効果が期待できます。しかし、制度の誤用や過度な節税はリスクを伴うため、専門家のサポートが欠かせません。
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