節税のための法人化
節税メリット9つとタイミングを税理士が解説


目次
個人事業主として事業を続けていく中で利益が増えてくると、法人成りを検討されることがあるかと思います。
本記事では節税という観点で法人化のメリットについて解説をしていきます。
また節税に関しては適切なタイミングがありますので、こちらも合わせて確認をしていきましょう。
法人化で得られる9つの節税メリット
個人事業主から法人化を行うことで、得られる節税メリットが多くあります。
以下に代表的なものを紹介していきます。
- 給与所得控除が受けられる
- 家族への給与により所得分散や控除を適用できる
- 退職金制度を設けることができる
- 出張手当を経費にできる
- 社宅の家賃を経費にできる
- 車も経費にすることができる
- 生命保険を経費にできる
- 赤字を10年繰り越すことができる
- 消費税の免税期間を活用できる
以下の節税対策についての関連記事も参考にご覧ください。
法人の節税対策5選!計画的な節税はできていますか?①給与所得控除が受けられる
個人事業主が法人設立するかを検討する際に、税金面で大きな差がつくのが「給与所得控除」です。
法人化するとサラリーマンと同様に給与所得控除を受けることができます。
また、売上から経費として社長の給料(役員報酬)を支給することができます。
その給料も給与所得控除を差し引くことができます。
以下の関連記事も参考にご覧ください。
経費の節税効果とは?計上する際の注意点も解説②家族への給与により所得分散や控除を適用できる
法人化して家族に給料を分けることで節税効果が高くなります。
家族が会社の経営に従事している場合、家族にも給料を支給することができます。
役員に就任することにより役員報酬の支給も可能です。
また役員報酬を支払う際は1人にまとめて支払わずに分散して支払うことにより、役員報酬を受けた者それぞれが給与所得控除の適用を受けることができます。
そうすることにより、全体の課税所得額自体を減らすことができます。
所得税の税率は累進課税になっているため、高所得者ほど高い税率が適用されます。
つまり、役員1人に報酬を集中させるよりも、家族を役員として報酬を分散させるほうが所得額が少なくなり節税に繋がります。
③退職金制度を設けることができる
個人事業主の場合は自身へ退職金を支給しても経費には認められませんが、法人化をすることで退職金を経費にすることができます。
退職金は通常の役員報酬や給与に比べ、税制上優遇されています。
計画的に退職金を支払うことで節税対策を行うことができます。
④出張手当を経費にできる
出張手当(旅費日当)は個人事業主では経費にすることが認められませんが、法人化をすることで経費に計上することができます。
ただし出張手当を導入する際は、事前に出張旅費規定を作成し日当金額を明記しておく必要があります。
⑤社宅の家賃を経費にできる
法人化することで社宅家賃を経費にすることができ、節税効果が期待できます。
ただし、社宅家賃を経費として計上するには条件があるので、法人と個人事業主の2つに分けて紹介をします。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、家賃を家事按分することで経費として計上できます。
家賃が経費として認められるのは以下のケースです。
- 事務所と自宅の両方で仕事をしている
- 自宅を事務所にしている
法人の場合
法人の場合は、まず社宅の賃貸借契約を会社名義で結ぶ必要があります。
また、賃貸料相当額の50%以上の家賃徴収を行わなければなりません。
法人が社宅の家賃を経費計上する方法は以下のケースです。
- 会社で借り上げた社宅を使用する
- 会社で購入した社宅を使用する
- 持ち家を社宅として使用する
⑥車も経費にすることができる
車を経費にすることも可能ですが、個人事業主と法人では経費計上をする際に違いがあります。
まず個人事業主の場合、仕事でのみ使用する車は購入代金を経費にすることができ、プライベートと仕事と両方で使う場合は、仕事で使う分のみを経費にすることができます。
一方で法人(法人名義)の場合は、購入代金をすべて経費にすることができます。
もちろん車は資産になるので一括で全額を経費計上することはできません。
減価償却という処理を用いて長期にわたって費用化していきます。
また事業用としてカーリースを利用する場合は、月額料金や各種税金、自賠責保険料なども含めてすべて経費として計上することができます。
社用車を購入すると節税対策になる?注意点やメリットについて 【法人向けカーリースVS社用車の購入】どちらが節税対策になる?⑦生命保険を経費にできる
生命保険については、個人事業主の場合は、確定申告で生命保険料控除を行うことができます。
一方で法人の場合は、保険の種類によっては保険料の半額から全額を経費にすることができます。
法人保険は節税のメリットがある一方で、毎月の保険料の支払いや解約のタイミングによっては会社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があるので、加入する際はその保険の仕組みについてしっかりと確認をしておきましょう。
※以下の関連記事も参考にご覧ください。
法人保険は節税対策にならない?仕組みから税理士が徹底解説
⑧赤字を10年繰り越すことができる
事業を行っていて年間利益が赤字になった場合には、個人事業主の場合は赤字を3年間繰り越すことができます。
一方で法人の場合は赤字を最大で10年繰り越すことができるので、将来黒字化したときには過去の赤字分を今期の利益と相殺して税負担を抑えることができます。
赤字の繰越期間が大きく違っていることも重要なポイントです。
⑨消費税の免税期間を活用できる
消費税の支払いにおける基準期間は前々事業年度になるので、個人事業主や法人であっても同様に、開業・設立して2年間は基本的には消費税の納税義務はありません。
これは個人事業主から法人化をした場合であっても有効になるので、法人化のタイミングによっては消費税の課税事業者となる時期を遅らせることができます。
法人化を検討するタイミングは?
法人化を検討する際の、年収の目安について解説していきます。
【法人化を検討するタイミング】
売上が1,000万円を超えたとき
これは個人事業をはじめて売上が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が2年後から始まることが理由になります。
前述したように法人化のタイミングによっては一時的に消費税の納税を免れることができますが、あくまで一時的なものであるので、年収やその他の目安を考慮して法人化のタイミングを検討するとよいでしょう。
利益が500万円を超えたとき
個人事業主の場合は所得税が課されますが、所得税は利益が増加するにつれて税率上がる累進課税制度が設けられており、税率は5%から45%となります。
これに対して法人の場合は法人税の税率は中小法人の場合15%から23.2%になっています。
そこで個人事業主でかかる所得税率が法人税率よりも高くなれば法人化した方が税金的に有利ということになり、その目安となるのが利益500万円ということになります。
融資や資金調達が必要なとき
融資や資金調達が必要になったときも、法人化を検討するタイミングの一つになります。
一般的に個人事業主の場合だと、信用の面で融資や資金調達が難しい場合が少なくありません。
そういった場合に、法人化をすることで社会的な信用度を高め、資金調達をより受けやすくすることができます。
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個人事業主から法人化する際の手続き
法人を設立した際には手続きとして、以下の書類の提出が必要になります。
- 税務署に提出:
法人設立届出書
青色申告の承認申請書
給与支払事務所等の開設届出書 - 自治体に提出:
法人設立届出書
法人化による節税効果を高めるならキークレアにお任せ!
節税対策に取り組むにあたって一番大事なことは、会社の経営状況や今後の事業計画を把握したうえで、短期的だけでなく、中長期的な計画・ビジョンを持って取り組むことです。
私たちキークレアは、お客様のビジョン達成のためにあらゆる課題に対応すべく集結した7法人グループです。
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ぜひ法人化を検討される際はキークレア税理士法人にご相談ください。
【注意】個人事業主の法人化にはデメリットもある
個人事業主からの法人化にはメリットだけではなくデメリットも存在します。
以下が代表的なデメリットになります。
- 赤字でも法人住民税を支払う
個人事業主にかかる税金は所得に対して発生するものであるため、利益がなければ納税をする必要はありません。
一方で法人の場合は所得の有無にかかわらず法人住民税がかかります。 - 社会保険の加入義務がある
法人化すると従業員が1名でも社会保険への加入が義務付けられています。
また、健康保険や厚生年金といった社会保険料は、会社と従業員の折半と決められており、従業員の数に比例して会社のコストが増加していきます。 - 会社設立時に費用がかかる
個人事業主は開業に関して、基本的に運転資金以外に特別な費用は発生しませんが、会社の場合は設立手続きやそれに伴う費用、資本金などが必要になることがデメリットともいえます。 - 会計・税務が複雑になる
法人の税務処理は大きく分けて決算書の作成、法人税の申告や決算書類の保存があり、社内で行う場合は事務手続きが複雑で負担が大きくなります。
そのため、法人の税務処理は税理士に依頼するのが一般的ですので検討してみるのもいいでしょう。
法人化の節税メリットについてはキークレア税理士法人にご相談ください
本記事でご紹介したように、法人化をすることで多くの節税メリットを得ることができます。
節税対策は、税法上の範囲内で合法的に税負担を軽減させるということが大事です。
また、節税対策にはキャッシュアウトを伴うことが多くなります。
納税額の負担が軽減しても資金繰りに窮することになっては本末転倒になります。
税務の専門家であり、資金繰りにも精通している税理士へ相談されることをお勧めします。
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