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現金に相続税がかかるのはいくらから?計算方法や節税対策などを解説

代表税理士 三嶋 泰代
監修代表税理士三嶋 泰代

「多額の現金や預貯金を所有しており、このままでは相続税が高額になりそうで不安…。」と感じている方は少なくないでしょう。

現金や預貯金は、その金額がそのまま相続税の評価額となるため、不動産と比べると相続税が高くなりやすい傾向があります。

本コラムでは、現金や預貯金を相続する際の相続税の計算方法や注意点、さらに生前に行える節税対策について詳しく解説します。

現金を相続した時の相続税の計算方法

現金や預貯金の相続税評価額は、不動産とは異なり、所有している残高がそのまま評価額となります。
一方、土地や建物などの不動産は、国税庁が定める評価方法に基づき算出され、実際の取引価格の約70~80%の評価額になるのが一般的です。

しかし、現金の場合はそのような評価減が適用されないため、相続財産に占める割合が大きくなるほど、相続税の負担も増える傾向にあります。

このコラムでは、実際に現金や預貯金を相続した際に発生する相続税の具体的な金額について、計算方法を詳しく解説します。

相続税を自分で計算する方法

①遺産総額を確認し正味の遺産額を算出する

相続税の計算は、被相続人が所有していたすべての財産の正味の遺産額を基に行われます
そのため、まずは被相続人が所有していた財産をすべて把握することが重要です。

相続税の課税対象となる財産には、以下のようなものがあります。

  • プラスの財産(現金、不動産など)
  • マイナスの財産(借入金などの負債)
  • みなし相続財産(死亡保険金など)
  • 相続開始前7年以内の生前贈与財産
  • 相続時精算課税制度を適用した財産
  • 葬式費用
  • 非課税財産(墓石など)

これらの財産は、国税庁が定める方法によって評価され、次の計算式によって正味の遺産額を求めます。

正味の遺産額=プラスの財産 + みなし相続財産+生前贈与財産+相続時精算課税財産-マイナスの財産-葬式費用-非課税財産

相続財産調査が必要な理由とは?

②正味の遺産額から基礎控除額を差し引く

次に正味の遺産額から相続税の基礎控除額を差し引き課税遺産総額を求めます
基礎控除額は次の算式で求めます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

基礎控除額の計算例

  • 相続人:配偶者、子2人
    基礎控除額=3,000万円+(600万円×3)=4,800万円

この例で正味の遺産額が8,000万円の場合は、以下の算式で計算した3,200万円が課税遺産総額となります。
8,000万円₋4,800万円=3,200万円

課税遺産総額が基礎控除額を超えない場合は、相続税は課税されません。

相続税の基礎控除とは?

③相続税の総額を算出する

次に、課税遺産総額を各相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定し、それぞれの取得額を算出します
その後、相続人ごとに相続税率表に基づいて税率を適用し、控除額を差し引いて個別の相続税額を計算します。

こうして算出した各相続人の相続税額を合計し、相続税の総額を求めます。
最後に、この総額を実際の相続割合に応じて按分することで、各相続人の最終的な相続税額を決定します。

②の例を基にした相続税の総額の計算例は次の通りです。

  • 相続人:配偶者、子2人
  • 法定相続分:配偶者1/2、子それぞれ1/4ずつ
  • 正味の遺産額:8,000万円
  • 課税遺産総額:3,200万円
    配偶者 3,200万円×1/2×20%₋200万円=120万円
    子2人 3,200万円×1/4×10%=80万円
    相続税の総額は120万円+80万円×2=280万円です。

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超~ 55% 7,200万円

現金を相続すると相続税は高くなる?

現金や預貯金を相続する場合、その評価額は所有している残高と同額となるため、額面に相続税が課されます

一方で、土地や建物などの不動産は、相続税評価額が実際の取引価格の約70~80%に抑えられるのが一般的です。
さらに、被相続人が事業用または居住用として使用していた土地を相続し、一定の条件を満たす場合には、「小規模宅地等の特例」が適用され、相続税評価額を最大80%まで減額することが可能です。

そのため、相続財産のうち現金や預貯金の割合が大きい場合、相続税の負担が増える傾向があります。

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現金にかかる相続税を節税する9つの対策

相続税の負担を少しでも軽くするために有効な相続税対策として現金や預貯金を減らすことがあげられます
例えば贈与をする、生命保険を契約する、相続税評価が下がる不動産を取得するなどです。以下で具体例を紹介します。

  1. 年間110万円以下の暦年贈与
  2. 教育費や生活費の援助としての贈与
  3. 夫婦間贈与の特例
  4. 教育資金の一括贈与の特例
  5. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例
  6. 住宅取得等資金の贈与の特例
  7. 相続時精算課税制度
  8. 不動産を取得する
  9. 墓地・仏具を取得する
  10. 生命保険を契約する
相続税の税額控除とは?

①年間110万円以下の暦年贈与

年間110万円までの暦年贈与であれば、贈与税がかからず申告も不要であるため、この制度を活用した生前対策は、相続税の節税方法として広く利用されています。
しかし、適切に行わなければ、税務署に贈与と認められず、相続税や贈与税の課税対象となる可能性があります。

そのため、贈与契約書を作成すること、受贈者が自由に使えるようにすること、贈与の金額や時期を一定にしないことなどに注意が必要です。

また、相続人が受贈者となる場合、生前贈与された財産は相続財産に加算されることがあります。
特に、2027年1月1日以降開始の相続からは加算対象期間が段階的に延長され、2031年1月1日以降開始の相続では、相続開始前7年間の贈与が対象となるため、早めの対策を検討することをおすすめします。

【相続税対策】生前贈与の基礎知識

②教育費や生活費の援助としての贈与

扶養義務者から、その都度必要な教育費や生活費の援助を受ける場合は、贈与税の課税対象にはなりません。
扶養義務者には、両親や祖父母、子どもや孫といった直系血族だけでなく、配偶者や兄弟姉妹も含まれます。

ただし、扶養義務者からの援助であっても、教育費や生活費として使用しきれなかった残額や、本来の目的とは異なる用途で使われた金額が年間110万円を超えると、贈与税が課される可能性があります。
さらに、使い切れずに残った資金を相続人名義の口座に預けた場合、それが名義預金とみなされ、相続財産として加算される可能性があるため、注意が必要です。

入学金の援助に贈与税はかかる?

③夫婦間贈与の特例

夫婦間の贈与の特例とは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合に適用される制度です。
一定の条件を満たせば、基礎控除額110万円に加え、最大2,000万円まで贈与税が非課税となります。この制度は「おしどり贈与」とも呼ばれています。

ただし、夫婦間の贈与の特例を利用すると贈与税は免除されますが、不動産取得税や登録免許税が発生する点には注意が必要です。
さらに、相続税の「配偶者の税額軽減」を活用すれば、1億6,000万円までは相続税がかからないため、所有財産の状況によっては特例を利用することで逆に損をしてしまう可能性もあります。

相続税の配偶者控除とは?

④教育資金の一括贈与の特例

「教育資金の一括贈与の特例」を利用することで、贈与した金額を非課税とすることができます。
この制度は平成25年4月1日に開始され、令和8年3月31日までに行われる教育資金の贈与が対象となります。

制度の主な適用要件は以下の通りです。

  • 受贈者の直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)からの贈与であること。
  • 適用を受けるためには、教育資金専用の口座を開設すること。
  • 非課税となる金額の上限は、受贈者1人あたり最大1,500万円。
  • 受贈者は、一定の場合を除き0歳から30歳未満であること。
  • 教育資金口座から資金を引き出す際には、一定の期限内に金融機関に領収書を提出する必要がある。

⑤結婚・子育て資金の一括贈与の特例

「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」を利用することで、贈与した金額を非課税とすることができます。
この制度は平成27年4月1日に開始され、令和7年3月31日までに行われる教育資金の贈与が対象となります。

制度の主な適用要件は以下の通りです。

  • 受贈者の直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)からの贈与であること。
  • 適用を受けるためには、結婚・子育て資金専用の口座を開設すること。
  • 非課税となる金額の上限は、受贈者1人あたり最大1,000万円(結婚に関する支払いは300万円までとする)。
  • 受贈者は、18歳から50歳未満であること。
  • 結婚・子育て資金専用口座から資金を引き出す際には、一定の期限内に金融機関に領収書を提出する必要がある。

⑥住宅取得等資金の贈与の特例

「住宅取得等資金の贈与の特例」とは、父母や祖父母といった直系尊属から住宅取得資金を贈与された場合、一定の要件を満たせば最大で1,000万円まで贈与税が非課税になる制度のことです。
令和6年の税制改正によって、令和8年12月31日まで適用期限が延長されています。

制度の主な適用要件は以下の通りです。

  • 受贈者の直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)からの贈与であること。
  • 受贈者は、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上であること。
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた住宅取得資金の全額をあてて住宅を取得すること。

⑦相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」とは、父母や祖父母から子や孫への生前贈与について、「2,500万円の特別控除額+年間110万円の基礎控除額×贈与年数」までは贈与税が非課税となり、贈与者が亡くなった時点で「相続時精算課税制度を適用して贈与された額-贈与で基礎控除とされた額」と相続財産とをあわせた額に相続税が課税される制度です。

贈与者は贈与を行った年の1月1日に60歳以上の父母もしくは祖父母であること、また受贈者は贈与を受け取った年の1月1日に18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)であることが要件です。

相続時精算課税制度を一度選択すると、暦年課税に戻れなくなります。また相続時精算課税制度では、贈与時の評価額を相続財産に加算して相続税額を算定します。
評価額が贈与時よりも相続時の方が下がっている場合は、相続税の課税価額が高くなり損をしてしまうことに注意が必要です。

相続時精算課税制度とは?

⑧不動産を取得する

不動産の相続税評価額は、国税庁が定める評価方法に基づき、購入価格の約70~80%の水準になります。
さらに、取得した不動産を賃貸すると、土地の借地権や建物の借家権が発生し、所有者が自由に利用できる範囲が制限されるため、その影響を考慮して評価額をさらに引き下げることが可能です。

ただし、不動産は現金や預貯金と異なり、相続時に分割しにくい資産であるため、分け方に悩むケースもあります。
加えて、不動産を賃貸すると、管理業務や税務申告などの手間が増える点にも注意が必要です。

⑨墓地・仏具を取得する

墓地・仏具などの祭祀財産(位牌,仏壇,墓碑,墓地など)は相続税の非課税財産とされています。
そのため、生前にお墓や仏壇を購入しておくことで相続税の節税対策になると言えます。

ただし、社会通念上著しく高額な祭祀財産や墓地に墓石が建っておらず売却可能な場合は、非課税財産とはみなされない場合があります。
また、ペット用の墓地は非課税財産には含まれません。

⑩生命保険を契約する

契約者と被保険者が被相続人で、相続人が受取人である死亡保険金は相続税の基礎控除額とは別に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
これは、死亡保険金には残された家族の生活保障という目的があるためです。

例えば、配偶者と子2人が相続人の場合、500万円×3人=1,500万円までが相続税の非課税枠となります。
この額を、受け取った死亡保険金の額を限度として相続財産から控除することができるため、相続税の額が下がります。

現金の相続税申告における注意点

現金は流動性が高いため、税務署が特に注意して調査する相続財産の一つです。
現金の相続税申告における注意点を次で解説します。

タンス預金は危険

タンス預金とは、銀行などの金融機関に預けず、手許に置いている現金のことです。
タンスだけではなく、本棚や仏壇、金庫などに入れてあるケースもあります。

タンス預金をしておくことで、好きな時にお金を使える、銀行が破綻しても預貯金を失うことがない、相続発生時に口座が凍結されても困らない、などのメリットがあります。
一方で災害や盗難、紛失などで現金を失うリスクがあります。
現金を「現金」のまま扱うことが少なくなり、銀行口座を通じて支払いをすることが多い今日では、日常生活で使い切れないほどの現金を手許に置くことはデメリットの方が多いでしょう。

タンス預金は申告漏れが起きやすい

タンス預金は被相続人がいろいろな場所で保管している場合が多く、相続人が把握できないと相続財産から漏れてしまうことが多くあります。
被相続人の生前の収入や生活レベルに対して相続財産が少なすぎる場合、タンス預金が疑われて、税務調査が入る可能性もあります。

タンス預金が相続税申告から漏れていた場合には、追加の相続税の支払いの他にペナルティとして延滞税がかかります。
また税務調査で発見された場合には、これらに加えて過少申告加算税がかかります。
相続税申告後にタンス預金が見つかった場合には速やかに修正申告をすることをお勧めします。

相続税の修正申告とは

相続により取得した現金は確定申告が必要?

相続により取得した現金は、相続税申告の有無にかかわらず確定申告の必要はありません。
ただし、相続で取得した財産の売却や運用により取得した現預金は、相続財産ではなくその財産を取得した人の所得になるので確定申告が必要になる場合があります。

確定申告が必要な主なケースは以下の通りです。

  • 相続した財産を売却した場合
    相続した財産を売却して売却益が出た場合には、確定申告が必要です。
  • 相続した財産を運用した場合
    賃貸物件の収入や、株式の配当など相続財産を運用して得た現預金は、その財産を取得した人の所得になります。
    そのため、一定額以上の所得を得た場合は確定申告が必要です。

現金にかかる相続税についてのお悩みは、キークレア税理士法人にご相談ください。

相続税は被相続人が所有していた財産が課税対象です。
現金や預貯金の相続税評価額は、不動産とは異なり所有している残高そのままの額で評価されます

そのため現金や預貯金が相続財産に占める割合が大きいほど相続税も高くなる傾向にあります。
この場合、現金や預貯金を生前贈与したり、不動産や生命保険金に変えたりすることで、相続税を減らすことができます。

キークレアグループには税理士法人の他に、不動産会社や財務コンサル会社があります。
生前贈与や不動産の取扱い、生命保険契約などをワンストップでご相談頂けます。

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